プロローグ
地に落ちた王 その真相とは
「はぁ〜めんどくさい…… 退屈だなぁ〜」
目の前の王が嘆く。ここ最近の彼はずっとこんな感じだ。
こんなのを毎日聞かされていてはこちらもため息が出てくる。
「まあまあ、そう気を落とさないでください。これはこれで結構楽しいと思いますよ、僕は。」
僕は退屈なんだ、と肩肘をつき頬を膨らませる王。もちろん俺も楽しいなんて思ってなどいない。
彼を座らせている玉座は周りの風景とはあまりにも不釣り合いで、その周りだけ違う世界を演習している。
というのも、ここは王の在るべき宮殿ではなく、
王という言葉には似ても似つかない廃墟なのであった。
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今から50年前、立て続けに起こった第三次世界大戦と第四次世界大戦により国と国とのバランスが崩れ、世界は崩壊しかかっていた。
資源は取り合いになり、毎晩のように戦争が起こる。
いつかは資源が底をつき、人類は滅びるだろうと悟ったアメリカはある計画を提案する。
世界王国同盟。
それは全人類の政権や資源など、あらゆる管理を一人の王を中心にコントロールするというものだった。
言わば世界中を王国化する計画。
リスクが大き過ぎるようにも見えたが、世界中の資源を共有し、戦争による無駄な消費を最小限に抑えるにはこのような方法をとるしかなかった。
多くの国々がYesと答え、この計画は実行に移された。
これにより戦争をしていた国同士も手を取り合い、争いによる消費はほとんどゼロに近くなっていった。
しかし、人々が生活に使う資源が減る訳ではない。
さらに世界大戦による浪費は凄まじく、再び資源は危機にさらされた。
だが、アメリカが長年研究してきたあるものによってまたも資源難は救われることになる。
魔法。
人間の脳は基本3%しか使われてないという。
アメリカは独自の研究を重ね、残りの97%を利用し、魔法による資源の開発実験に成功していた。
混乱や反乱を避けるため、このことは市民には公表せず宮殿にいる極一部の人間にのみ魔法が手渡され、資源供給の支援を行った。
一件落着に見えたが、またまた新たな問題が発生する。
それが今目の前にいる王────独裁者である。
この王、レイル・クレイアード四世はその魔法を使って独裁をはじめてしまった。
気に入らない者は殺し、魔法は自分のためのみに使う。
あまりに残忍で非道なその行為は全世界を怒らせ、遂に反乱を起こさせた。
アメリカvsその他全国でも、王宮vsその他全都市でもなく
王様vsその他全人類の反乱。
まともに戦っても勝ち目がないと判断した王は逃走を図った。
結局王の味方についたのは俺だけだった。
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反乱から早一週間。
「はぁ〜退屈だ退屈だ〜 王都に戻りたい〜」
また先程と同じ事を言う王様。誰のせいでこんなことになってるんだか。
本当に先が思いやられる。
こうして僕と王様の全人類を敵に回した逃亡劇が始まった。
はじめて小説を書くので少し緊張してます。
色々おかしいところとかたくさんあるとは思いますがどうか温かい目で読んでくださると幸いです。