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息切れ

作者: あまね

 初めに言っておくが、僕は不細工ではないが、取立て顔のいい部類でもないし。

 長時間の運動が苦手で、体力が続かなく、息切れもすぐにする小太りだ。

 

 頭は悪いわけではないと思うが、それでも中の下もしくは、中の中にいけたらいいぐらいの学力

 外で遊ぶよりは、家でゲームやマンガを読む事が多いが、オタクの様に深い知識があるわけでもない。

 

 まぁこれらで分かるとおり地味というより中途半端なのである。


 体育の時間に仲のいいグループで組んで授業をすることが多い。

 その時間というのは残酷で僕と似たり寄ったりの面子でしか仲良しグループというのは組めない。

 

 体育が得意な奴は得意な奴と組む、かっこいい奴らはかっこいい連中と組む、まぁ大体のカッコイイやつらは、アクティブな連中が多いので運動神経がこちらの倍いや数倍は上であろう。


 つまりは、負け組み対勝ち組の構図が、出来上がっているのにもかかわらず、これからスポーツで対決をするという八百長もする事もないぐらい、シナリオどおりの展開で僕らは無様にさらされるという事になる。


 案の定というより、案ずる事も無く、いつもどおり本日のバスケットの試合というには、あまりにも酷い内容だ。


 そんな、予定調和の試合をみて面白いのか、いや問わずとも分かってはいる。

男子は、僕らがやられる姿を、女子は、勝ち組のカッコイイ姿をみたいのだ。


 野次、そして相手への声援。

 ヒーローショーの悪役にもなったような気分だ。


 相手は、いいところを見せたいのであろう。

数人がわざわざマークする必要も無いのに、僕をマークしたり、パスをワザワザ近くでまわして遊び、その後ドリブルで、ご丁寧に抜く際に、見栄えのいいフェイントを混ぜて格好良くシュートを決めていく。


 体力もない僕らのチームとしては、相手が適当に流しているだけでも、勝てる。


 全力で当たるというのとは違う、完全なる引き立てとしてしか見ていない、考えていないようなプレーだ。


 僕が、ボールを受け取ると、相手の数人が、今度は別のチームメイトに、マークが行き、1対1の状況にして、僕からボールをカットし、また華麗に決めるつもりなんだろう。

 

 全くもって、イライラする、まわりの連中が見て笑っている事も、応援している事も、完全に見下されている事も。


 そのイライラしている僕なんて見ていないんだろう。


 悠長に歩きながら、立ちふさがろうとしている相手を前に、思いっきり全力でドリブルで抜いた。


 後ろから足音が聞こえてくるが、そんなのはお構いなしに、全力で相手ゴール前にいく。

 後ろの相手よりも、自分の息切れや動悸、めまいまでしてくるが、とりあえず一矢報うために、ドリブルをして、シュートを決める。


 時が止まったように、歓声もなにもない空間、味方も敵も声を上げなかった。

 

 まだ先程の運動で悲鳴を上げている心と息切れする体から搾り出す小さな声で、ざまぁとだけつぶやいた。

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