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思いつきです!!

楽しんでいただけると嬉しいです




それはある日のことだった




「何これ?」

「ん?」

真葵(まき)結愛(ゆな)は高校2年生の吹奏楽部員であり、2人は楽譜のコピーや管理をする係だった。3年生が引退し、部の中心が2年生に移った今日この頃、2人は近々行う定期演奏会に使える楽譜をリストアップする、という仕事をしていた

そう言った真葵の手には1つのファイル。少し古びたそれは楽譜棚の奥に眠っていたもので、もちろん中には楽譜

「ずいぶん古い楽譜だね。なんて曲?」

「んーとね…『Summon the Dragon』…だって」

「へえ?聞いたことないなぁ」

「調べてみる?」

「そだね」

真葵はポケットからスマホを取り出すと、某動画サイトで音源を探し始めた

「ん、あった」

「どれ?」

「これ。あ、でも音だけだ。動画じゃないや」

真葵が指が再生の文字に触れると同時に、ゆっくりとトランペットの音が流れ出した。それに重なるようにトロンボーンが響き、荘厳な曲が奏でられる

「何これカッコいい!!」

「すごいいい曲だね」

「これもリストに入れとこうか」




2人がそう話していると、2人のいる準備室のドアが開き、小柄な少女が顔を出した

「あれ?果奈(かな)?どうしたの?」

すると果奈と呼ばれた少女の後ろから少し大柄な少年が顔を出した

(こう)も。どうしたの?」

「どうしたのって…もう部活終わりだぜ?」

紅と呼ばれた少年が少し口を尖らせた

「え?うそっ」

真葵と結愛が時計に目をやると、確かに時計の針は部活終了の時刻を指していた

慌てる2人に果奈が近づくと、果奈は真葵の手に握られたスマホを覗き込んだ。そう言えば曲の再生を止めるのを忘れていた

「何これカッコいい曲だね。なんて曲?」

「『Summon the Dragon』、だって」

「へえ?聞いたことない曲だ。最初から聴かしてよ」

「うん」

真葵がスマホを操作して曲を再び再生すると、みるみるうちに果奈の目が輝いた

「この曲やりたい!!トランペットカッコいい!!ね、紅!!やりたい!!だめ!?」

果奈が勢いよく紅を振り向くと、紅は苦笑を溢した

「出た。果奈のトランペットバカ」

「だってよ?ぶちょー」

真葵と結愛もそう言って苦笑いを紅に向けた

果奈は2人と同じく2年生でトランペット担当なのだが、生粋のトランペットバカでトランペット関連の話が出るとみるみるうちに目を輝かせる。この曲のようにトランペットがカッコいい曲にも目がなく、見つけるとすぐにやりたがるのだった

紅はやっぱり同じく2年生でチューバ担当、部長である。なので曲を決める際の権限は彼にある。もちろん部の中心である2年生と相談の上で、だが

紅は苦笑いのまま口を開いた

「果奈、2年で相談してからな。真葵、結愛、それもリストに入れといて」

「「りょーかい」」




そして

2年生でミーティングが行われた

件の『Summon the Dragon』はやっぱり知っている人がおらず、紅のスマホで音源をみんなに聴かせた

「これさ、また果奈のトランペットバカが発動したの?」

そう言ったのはトロンボーン担当の真悟(しんご)。フロント組だからなのかなんなのか、トロンボーンパートとトランペットパートは仲がいい。なんなら1年生同士でつきあってたりする

紅が苦笑いで頷くと、真悟は呆れたように果奈を見た。他のメンバーも苦笑いで果奈を見た

「だってカッコいいんだもん!!ね、ね、この曲やりたい!!みんなやろ!!」

果奈は大して……というかほとんどない胸を張ってみんなを見回した

「わたし達は賛成」

そう言って笑った結愛と真葵。ちなみに結愛はフルート担当、真葵はユーフォニウム担当

「私もやってみたい」

そう言ったのは、サックス担当の郁未(いくみ)。女子にしてはかなり背が高く、シャープな顔立ちの彼女はほっそりとした手を軽く挙げて微笑んだ

「ボクも賛成」

そう言って軽く手を挙げたのは同じくサックス担当の悠李(ゆうり)。ちょっぴり小太りなのと女子みたいな名前がコンプレックス

「私も」

同じように軽く手を挙げてそう無表情に言ったのは、パーカッション担当の理世(りよ)。かなりの美少女なのだが常に無表情

「私もです」

その横で遠慮がちに挙手したのはクラリネット担当の(あお)。眼鏡をかけたいかにも真面目な彼女は、実際とても真面目……を通りすぎてお堅い性格で、常に無表情で口数の少ない理世の数少ない理解者でもある

「俺もいいよ」

そう言ったのは同じくクラリネット担当の真緒(まお)。こんな名前だが男子である。学生指揮者

「アタシも賛成」

ぴんっと挙手をしたのは同じくクラリネット担当の美紗緒(みさお)。くっきりした目鼻立ちがハーフを思わせるが純日本人。副部長

「まあ、おれも賛成」

と真悟

「うちは楽しければなんでもいいよ〜」

そう言ったのはクラリネット担当の紗季(さき)。長い髪を軽くかきあげながら微笑んだ

「右に同じく〜」

そう言ったのはピッコロ担当の睦月(むつき)。少し……どころかかなり天然な彼は紗季の彼氏

「私はみんなに任せます」

そう言ったのはパーカッション担当の花菜(はな)。誰にでも敬語でおしとやかな彼女は小首を傾げて笑った

「あれオレ最後!?」

そう言って周りを見回したのはオーボエ担当の涼介(りょうすけ)。アイドル顔負けの顔立ちをした彼は苦笑すると、ぴんっと挙手をして笑いながら

「賛成」

と言った

果奈が嬉しそうに笑った




そして

練習なう

「じゃ合わせてみよー」

ただいまトランペットパートとトロンボーンパートでセクション中

いつもなら窓を開けて外に向かって吹くのだが、今日は外を向いてはいるが窓が閉まっている。窓の外ではもう夜ではないのかと思うほど黒い空を背景にどしゃ降りの雨が降っていた

「いくよー。1、2、3…」

メトロノームに合わせて果奈がカウントし、トランペットが一斉にメロディを奏で始める。それにトロンボーンが重なっていく

その時




…ッドンガラガラ…ピッシャーンッ!!!!!!




「きゃあっ!?」

「うおっ!?…停電か?」

轟音と共に部屋の電気が消えた

「落ちた…っぽいですね」

そう不安気に眉を寄せたのはトロンボーンパート1年の奎子(けいこ)

「奎子怖いのか?」

そう言ったのは同じく1年トランペットパートの奏太(そうた)。奎子の彼氏でもある彼は心配そうに奎子の顔を覗き込んだ

「ちょっとだけ」

「ふーん。手ぇ繋いでてやろっか?」

そんなバのつくカップルを横目に同じくトランペットパート1年の遊星(ゆうせい)は部屋の電気のスイッチをパチパチ押してみる。が、一向につかないのを見て

「ダメですね。つかないです」

冷静にそう言った

果奈はと言えば、音に驚いたあまり隣にいた真悟の腕に引っ付いていた

「近辺は全部停電ですって。なんか近くに落ちたらしいですよー」

そう呑気に言いながら部屋に入ってきたのはトロンボーンパート1年の理央(りお)。彼は停電になってすぐブレーカーの確認に行っていたのだが、ついでに職員室に寄ってきたらしい

「復旧のめどが立たないんで今日はもう全校生徒帰るように、だそうですよ。放送機器が使えないんで今先生達が伝えにまわってます」

「まじか。しゃーねぇ、片付けて帰ろう。おい果奈離せ」

真悟は器用にトロンボーンを片手で机に置くと、もう片方の腕に引っ付いている果奈を促して譜面台を畳み始めた。1年生4人もそれに倣って片付けを始めた

けれどこの時

彼らは知らなかった

これがこれから起きる信じがたい出来事の予兆だと




数日後

「じゃ1回通してみよっか」

真緒が指揮棒で譜面台を叩きながら言った

合奏なうである

部分的には合わせていたもののこの曲を通すのは今日が初めて

真緒が指揮棒を上げた瞬間緊張が走る

真緒の指揮棒が

降り下ろされた




通し終えた

ホッとする前に

異変に気づいた

「な、なにこれ」

美沙緒がその場にいる全員の気持ちを代弁した

それもそのはず

演奏が終わると同時に床一面が淡く光り出したのだ。それと同時に腹に直接響くような地鳴り

「と、とりあえず逃げ…え!?な、なんで…!?」

ドアの1番近くにいた紅がドアを開けようとした。しかし不思議なことにドアは鍵がかかっていないにも関わらず、びくともしない

そうこうしているうちに床の光は更に眩しさを増し、地鳴りは大きくなりまるで地震のようになっていた

「ひ…」

果奈の喉が小さくひきつった音を立て、真悟にしがみつく。碧と結愛はお互いの手を取り合って小さく震えている

床の光が突然眩さを増した。辺りが真っ白に染まり、全員誰彼構わずお互いに抱き合うと目を瞑った




1番最初に目を開けたのは真緒だった

ゆっくり瞼を上げてまず見えたのは自分と抱き合っている睦月の背中。そしておそるおそる顔を上げた瞬間見えたのは

「え…」

青い青い空だった

慌てて見ると自分達がいる音楽室の屋根が、ものの見事にきれいさっぱりなくなっていた。呆然とした。真緒に倣って顔を上げていた睦月も同様で

その時

大きな(ふいご)がなっているような音が聞こえた

それは後ろから聞こえた

真緒は今振り返ったら何があるのかを考えた。普段だったら後ろには何の変哲もない黒板があるだけのはず。けど今背後にあるのは間違いなく黒板以外のもの

冷や汗がたらりと垂れた

睦月も同じことを思っているのだろう。2人で顔を見合わせるとせーの、と小さな掛け声をかけて

振り向いた




「「…ぎゃあああああああああああああああああ!!!!!!」」

2人の悲鳴が青い青い空に響いて溶けた




「な、何!?何何何!?なっ……」

2人の悲鳴に驚いた紅が飛び起き、2人の目線の先を見て口をあんぐり開けた。紅と同じく2人の悲鳴に驚いて顔を上げた他の部員達もそっくり紅と同じ反応を示した

全員の目線の先

普段そこにあるはずの黒板はそこにはなく、壁と共に破壊されて粉々になっていた。その向こうには隣の部屋である準備室が見えている

そこまではまだいい

問題なのはその黒板があった場所にいる大きな大きな…

「…ドラゴン…」

そう、大きな大きなドラゴンだった

赤茶色にテラテラと光っている固そうな鱗に口の端から覗く鋭い牙。コウモリを連想させる大きな翼に頭から伸びる角。まさに物語で語られるドラゴンそのものだった

そのドラゴンの閉じられていた瞳がゆっくりと開いた。瞼の隙間から覗いた瞳は恐ろしいほど美しい真紅をしていた

「ひ…」

恐怖のあまり部員の何人かが後ずさった。後ずさらなかった部員達も硬直し動かない

ドラゴンは少しめんどくさそうな、気だるげな目で、ゆっくり部員達と音楽室を見回すと、ゆっくり口を開いた




「私を召還したのは貴方達?」

ドラゴンが発したのは見た目に似合わない女性の声だった。美しく落ち着いた大人の女性のような声

部員達は予想外の声に唖然とすると共に、ドラゴンの質問の意味が分からず部員同士で顔を見合わせた

「貴方達もしかして知らずに召還したの?」

ドラゴンはそう言って1番近くにいた真緒を見下ろした。真緒は一瞬身を竦めると小さく頷いた

ドラゴンは小さく溜め息をつくと…小さくと言っても目の前にいた真緒と睦月がひっくり返ったが…爪を器用に使って睦月の譜面台から譜面をつまみ上げた

「『Summon the Dragon』、ね…。この曲は私達ドラゴンを召還するための曲なのよ」

『え…?』

部員全員の声が綺麗にハモって

『ええええええええええええええええええ!!!!??』

青い青い空に溶けた



楽しんでいただけたでしょうか?


この話中の『Summon the Dragon』という曲ですが

ちゃんと実在する曲です

ピーター・グレーアムさんという方が作曲した吹奏楽曲です

話中でも書きましたが、トランペットとトロンボーンがとってもカッコいい曲ですので是非聴いてみてください


もう1つ

この話中のキャラクターは全員私の愛すべき部活メンバーがモデルとなっています

性別や性格真逆にしてあったりはしますが

あ、でもキャラの名前は全員覚えなくても問題ないので


長々と書いてしまいましたね


次もよろしくお願いします!!

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