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2008年5月14日 (水) 21時32分 [名前] : 土中喪黒う
リリカさんこんばんは、お久しぶりです。喪黒うです。
結構長い事ごぶさたしていましたが、
僕はなんとか元気に頑張っています。
リリカさんに言われた通り病院に行き、薬をもらったおかげで、
体の震えもおさまり、前より落ち着いて仕事ができるようになったからです。
これも、リリカさん、そしてマリアさんのおかげです。
お礼を言わせて下さい。
ありがとう
さて、リリカさん。
最近、僕には大きなナゾができました。
僕には障害者の友人がいます。
とても、いい人で、僕にとっては尊敬できる人なのですが、
その人と外を歩いていると、みんなが僕らに注目します。
中には、笑っている人間もいます。
僕にはそれが、腹立たしくてなりません。
なのに、その友人は、怒りもしないし、泣きもしません。
どうして、あの人はあんなに強くいられるのでしょう?
2008年5月14日 (水) 22時43分 [名前] : リリカ
もぐちゃん、お久しぶり。
仕事頑張ってるみたいだね(^^)
私なんかでも役に立ててよかった。嬉しいです☆
さて、もぐちゃんの知り合いの話ですが
実は、私にも障害者の友人がいて、
彼女と遊びに行くたびに
知らない人達の視線を感じる事がよくあります。
そして、やはり、彼女も泣きもせず、怒りもせず、
自分の境遇を嘆く事もなく、強く、明るく生きています。
私は、そんな彼女を見ていて、心の底から凄いと思います。
そして、私にとっても、彼女がどうして強くいられるのかはナゾですが
敢えて言うのなら、
人が生まれた時に与えられる物は決まっていて、
それを受け入れて生きるしか仕方がないという事を
彼女が誰よりも分かっているからかもしれません。
2008年5月14日 (水) 23時01分 [名前] : 土中喪黒う
>人が生まれた時に与えられる物は決まっていて、
>それを受け入れて生きるしか仕方がないという事を
>彼女が誰よりも分かっているからかもしれません。
そうなのかもしれませんね。
彼女達は、そう、割り切っているのかもしれませんね。
でも、僕は思うんです。
もし、神様がいて、人間の幸せを願っているのなら
どうして、誰もに同じ物をくれなかったのでしょうか?
皆が同じピースを持っていたなら、
誰もが平等にパズルを完成させる事ができる筈です。
そうすれば、不平等もなく、誰もが不幸を感じず
誰も悲しむ事もなく生きられるだろうにと思います。
2008年5月14日 (水) 09時32分 [名前] : リリカ
そうかな? みんなが同じピースを持って、同じパズル完成させるのが
平等で、幸せな事なのかな?
それじゃあ、違う人間に生まれて来る意味がないんじゃないのかな?
もぐちゃんに言われて、一つ気がついた。
誰もが生まれた時に与えられるピースは、色も、形も、数も違って
きっと完成させられる絵も、それぞれ違うんだろうけど。
きっと、誰もが、それぞれの絵を完成させられるように
神様は平等にピースを与えてくれるんじゃないのかな?
大事なのは、自分に与えられた物の価値に気付き
それを大切にする事じゃないのかな?
「なるほどね」
俺はパソコンの画面に表示された文字を目で追いながらつぶやいた。
「パズルのピースか、なかなかうまい事言うな」
「詩人ね、もぐちゃん。さすが、小説を書くだけあるわ」
「俺は、森崎の書き込みに感動したんだけど。でも、弟の事ほめてやってくれてありがとう。森崎だけだよ」
そう言うと、俺はマックから離れ、テーブルの上に置かれたコーヒーに手を伸ばした。
日曜、俺は森崎の家にいる。
オンライン上での弟の様子を見る、という理由で上がり込んだのだ。
森崎の部屋は全体的に白いトーンで統一されていた。机も、椅子も、パソコンも、壁も何もかも白い。白い壁の中に、トーマス・マックナイトの月が浮かんでいる。異国の港の上に浮かぶ、丸い月だ。
「で、結局弟さん、今日は行かなかったのね」
白いキーボードに手を乗せて森崎が言う。
「あいつが行くわけがないよ」
俺は答えた。
例のみーさん主催のデート(と決めつけていいのかどうか分からないが)の事である。
「まだ、そこまで他人に気を許していないよ」
「そうなんだ」
そう言うと、森崎はマウスをクリックしてパソコンを終了させた。
「もったいないね。おもしろそうな子なのに」
「おもしろそうって、例の彼女の事?」
「そうよ。ケンカした相手に会いたがるなんて、おもしろいと思わない?」
「おもしろいっていうより、意図が分からなくて不思議だよ」
「私が思うに、人にすごく興味のある子か…それとも…」
「それとも?」
「単にもぐちゃんのルックスが好みだったか…」
「まさか! あいつ、身なりに少しも気をつかってないのに」
「じゃあ、人に興味がある子なのかな」
「ふうん」
それじゃ、俺とは正反対だな…と思いつつ、コーヒーをひとくち飲む。
「でも、いい感じね。もぐちゃん、仕事頑張ってるみたいだし」
「まだ、スムーズにとはいい難いけどな」
「…続きそうなの? 仕事」
「微妙なとこ。でも、この間いった通り、上司が気に入ってくれたみたいだから、この調子でいけばもしかするとって感じかな…」
「そっか…」
それを聞いて、森崎はなぜかため息をついた。
「何か残念」
「どうして?」
「…そろそろ、お悩み相談室のお姉さんも廃業だと思うと、ずごく残念」
その言葉に、俺は思わず吹き出す。
「何? それ?」
「サイトの書き込みの事よ。最近、もぐちゃんの書き込みも減ったし…。でも、これって、いい事なのよ。ちゃんと現実を生きているって事」
「そういうもんなの?」
「そう。すごく良い事よ。ちょっと寂しいけど…」
「ふうん…そうなんだ」
あいにく俺は、ネットなどほとんどやらないから、その気持ちは分からない。で、何の感慨もなく壁の時計に目をやると、既に2時15分を回っていた。
「おい。それより、そろそろ出ないとヤバいぞ。映画、間に合わない」
「え? もうそんな時間?」
森崎が驚いて時計を見上げる。
「確か、上映開始3時だったろ? 歩いていくなら、もう出ないと」
「本当だ!」
そういうと、森崎はばたばたと立ち上がり、飲みさしのコーヒーカップを盆に乗せた。
「先に外に出てて、私はここを片付けてから行くから…」
「わかった」
うなずくと、カバンを持ち階下へ急ぐ。そして、玄関から外に出て、森崎を待った。5分ほどして森崎が出て来る。そして、俺達は歩き出した。
映画館までは、ここから歩いて10分ほどの距離のショッピングモールの中にある。以前、森崎と一緒に似顔絵書きのバイトをしてたあの店だ。近所とはいえ、行くのは結構久しぶりだ。店までは、小さな川沿いの道を行く。初夏。沿岸の木々は緑色の若葉を風にそよがせている。一年で一番いい季節だ。その葉の隙間からこぼれる光の中を歩きながら、ふと、森崎が言う。
「ねえ、河井君」
「うん?」
「もしもさ…」
「何?」
「もしも、もぐちゃん…弟さんがこのまま社会復帰できそうなら…」
「…?」
「社会復帰できそうなら…」
「何だよ?」
「河井君はこの先どうするの? 東京に戻るの?」
「…」
それは、いずれは答えを出さなければいいけないと思いながらも、ずっと、目をそらしていた問題だった。