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プロローグ third

やっとプロローグが終わりました……!

ふと気がつくと、私は椅子に座っていた。

周りを見渡せば大きなシャンデリアや絵画があり、まるで中世の貴族の館のような上品で豪華な雰囲気で、今日訪れたメイド喫茶にそっくりだった。

唯一の相違点は、店員がメイドさんではなく執事さんだということだ。

(ここは……執事喫茶? あれ、何で私ここに……)

思索にふけっていると、「初めまして。藤瀬様」という声が聞こえてきた。

名前を呼ばれたのに驚きつつ声のした方を向くと、そこには執事さんがいた。

「は、初めまして。あの、何故私の名前を?」

「それは今日訪れる転生者の資料に、藤瀬様のお名前が書かれているからです」

「へ、転生者?」

戸惑いつつ尋ねると、執事さんは「順を追って説明致します」と言った。

「まず、私達は藤瀬様が今まで住んでいた世界をヴェロニカ、藤瀬様が今おられる世界をセレスティアと呼んでいます。藤瀬様は本日店内と同じ内装のタリアというメイド喫茶に行かれましたが、その店の商品には全てこの魂転生薬が混ざっています」

そう言って執事さんは、透明な液体の入った透明瓶を取り出した。

「この薬品は飲んだ方がお亡くなりになり魂だけの存在になられた際、その魂をセレスティアで転生させる効果があります。因みにこの薬品は転生後自然消滅しますので、その点はご安心下さい」

「えっと、質問です」

そう言って、私は右手をおずおずと挙げた。

「はい。何ですか」

「つまり、その……私は死んだということでしょうか?」

「はい。因みに資料には事故死と書かれていました」

「事故死ですか? うーん……あ、そういえば帰宅途中に鉄骨が……」

そこまで言って、私は血の気が引いた。

「あの、大丈夫ですか?」

執事さんは心配そうな顔をして言った。

「……はっ、大丈夫ですっ! 続きの説明お願いします」

つい私は鉄骨の衝撃を思い出して戦慄してしまった。

「分かりました。では続きを説明致します。先程私はこの薬品にはセレスティアで転生させる効果があるとお話しましたが、これは一般的な転生を指してはいません。まず一般的な転生の場合ですが、死後は同じ世界で全く別の存在として転生します。つまり肉体や記憶や人格などが全て同一ではないということです。しかしこの薬品で転生した場合は違います。容姿は全く別の存在として転生しますが、記憶や人格などの内面的な部分と性別と年齢は前世のままです。またお亡くなりになる直前に身に付けていたものや持っていたものは、すべてコピーされ転生者と共にセレスティアに転移されます。そこに姿見鏡がありますからぜひ見てみてはいかがでしょうか?」

「はい。使わせて頂きます」

自分の容姿がどんな風に変わったのか興味があった私は、淡いの期待を胸に椅子から立ち上がると姿見鏡の前に立った。

見ると、姿見鏡の中には一人の美しい少女がいた。

長い睫とくっきりとした二重、大きくて爽やかな空色の瞳を持つ少女の顔は、端整で愛らしい。

真っ直ぐに腰上辺りまで伸びた少女の髪は、銀に近い金色でとても艶やかだ。

身長は160cmくらいだろうか。華奢な体付きだが、凛と立つ姿からか芯が強そうに見える。

また肌は雪のように白く、紺色の制服と鞄や黒色の革靴と良く似合っていた。

(わぁ……、ん? あれっ? もしかしてこの子が私……?)

そう思うと、私は少し手を振ってみた。

すると、鏡の中の少女も少し手を振った。

「うっ、動いた? ……ってことは……」

(やっぱり、この子が私なんだっ! 嬉しいけど、慣れるまで時間がかかりそうだな……)

「そういえば……」

私はふと二つの大きな疑問が湧いたので、執事さんに尋ねた。

「何故べ……ヴェロニカの人々をこの世界に転生させているのですか?」

「そ、それは私にも分かりかねます」

(今執事さんが一瞬固まったような……)

執事さんは「聞かないで下さい」というオーラを大量放出していたので、深くは聞かないでおくことにし、もう一つの疑問を尋ねた。

「えっと、では私はこの後如何すれば良いのでしょうか?」

「藤瀬様にはセレスティアで生活して頂きます。それからこちらをどうぞ」

そう言うと、執事さんはいつの間にか手に持っていた麻袋を私に手渡した。

(えっ、何故に麻袋っ? いやそれよりも……)

「これは何ですか?」

困惑しつつ尋ねると、執事さんは「これは放浪者セットです。中には50000イラナ、ライター5本が入っています」と答えた。

(ライター無駄に多いような……。それに放浪者セットってことはもしかして……)

「助かります。後、イラナって通貨のことですか?」

「はい。共通通貨です。それで暫くの間は生活出来ると思います。ところでそろそろ時間切れですが……」

そう言って、執事さんは下を見た。

釣られて私も下を見ると、そこには白く光った床の上に立つ自分の足元が見えた。

「え、魔法陣?ってまだ聞きたいことが……!?」

そう言うと、魔法陣は更に強い光を発して私の視界を真っ白に塗り替えた。

途中、「行ってらっしゃいませ」という執事さんの声が聞こえた気がする。

私は一瞬浮遊感を感じた後、真っ直ぐに落下した。

今回はちょっと堅苦しい説明編でした。

次回にはあらすじまで辿り着けるように頑張りますね。

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