心温まる童話:まほうのエレベーターと「お留守番の数字」
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心温まる童話:まほうのエレベーターと「お留守番の数字」
あるところに、世界中を旅するのが大好きな、小さなおばけのポポがいました。
ポポは驚くと、自分の体が数字の形に変身してしまう、ちょっと変わったおばけです。
ある日、ポポはアメリカのニューヨークにある、とっても高いホテルのエレベーターに乗りました。
チーン、と音がしてドアが閉まり、エレベーターが上へまいります。
ふとポポがボタンを見ると、不思議なことに気づきました。
「あれれ? 11、12……その次が14になっているよ? 『13』のボタンがどこにもないや!」
ポポはびっくりして、自分の体が「13」の形になってしまいました。
すると、足元から小さな、しょんぼりした声が聞こえてきました。
「シクシク……やっぱり、僕の席はないんだね……」
声のする方を見ると、エレベーターのすき間から、一人の小さな男の子がのぞいていました。その子の頭には「13」という帽子がのっています。彼こそが、このビルで行き場をなくした「13階の妖精」でした。
「どうしてここに隠れているの?」とポポが聞くと、13階の妖精は涙をぽろぽろこぼしながら言いました。
「この国の人たちはね、僕のことを『縁起が悪い』って怖がるんだ。だからホテルの人たちも、僕のボタンを作ってくれなかったの。僕はみんなを驚かせたいわけじゃないのに、いつもひとりぼっちで、お留守番ばかりさ」
ポポは胸がギューッと痛くなりました。
「そんなの悲しいよ。数字はみんな、順番に並んでこそ素敵なのに!」
ポポは少し考えて、にっこり笑いました。
「よし、僕にまかせて! 僕が君の代わりに、みんなにハッピーを届けてあげる!」
ポポは「13」の形のまま、エレベーターの壁をすーっとすり抜けて、14階のロビーへ飛び出しました。
そこには、旅の疲れで不機嫌そうにしている人間の家族がいました。
ポポは、キラキラ光るおばけの魔法を使って、家族のまわりで「13」の形になってダンスを踊りまし
た。
さらに、近くにあったお花を13本の花束にして、小さな女の子に手渡したのです。
「わあ、かわいいおばけさん! お花をありがとう!」
女の子は満面の笑みを浮かべ、お父さんとお母さんも「なんて不思議で優しいおばけだろう」と、みんなで笑顔になりました。
それを見た13階の妖精は、目を丸くしました。
「すごいや……! 誰も怖がっていない、みんな笑っている!」
ポポはエレベーターに戻ると、妖精の肩を優しく叩きました。
「ね? 君は悪い数字なんかじゃないよ。ただ、この国の人たちが君のことを少し誤解しちゃっているだけ。僕の生まれた日本の国ではね、13歳になると『知恵をもらいにいく』っていう、とってもおめでたいお祝いの日があるんだよ」
「本当……? 僕、お祝いの数字なの?」
妖精の顔に、パッと明るい光が灯りました。
「そうだよ! だから、お留守番のときも寂しがらないで。僕たちがみんなを笑顔にすれば、いつか世界中の人が君を大好きになるからね」
その日から、アメリカのそのホテルでは、13階のボタンはなくても、なぜかそのフロアを通るときだけ、乗っている人たちの心がふんわりと温かくなる、不思議なエレベーターとして噂になりました。
今でも13階の妖精は、見えないお留守番をしながら、旅人たちが楽しい時間を過ごせるように、そっと優しい魔法をかけ続けているのです。
(おしまい)
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