増尾が麦茶を取りに行く
ドアがガチャッと開いて、増尾の母さんがひょっこり顔を出した瞬間、
俺の心の中でBGMが「救世主降臨!」って鳴り響いた。「あらいらっしゃ〜い! 宅間くん、ミッチー、暑かったでしょ〜!
あ! アンタお茶ぐらい出してやんなさいよ、気が利かないね〜!
お母さん今からすぐしないといけないことあるから、アンタ冷蔵庫からお茶出して入れてあげなさい!」って、増尾にビシッと一喝して、
そのままサッサと出て行った。
……母さん、最高。
一瞬で状況を掌握して、俺の喉の叫びを代弁してくれた。
神対応すぎる。
増尾の母さん、俺の中で「夏の守護神」認定確定。
増尾はベッドの上で「はぁ……」ってため息ついて、
ようやくPSPをポイッと置いた。
「麦茶入れてくるか……」
って、めっちゃ渋々って感じで立ち上がって部屋を出てった。
お前、今さら渋るなよ……!
母さんに言われて渋々動くとか、ものぐさ極めてるわ。
でもさ、冷静に考えてみたら、
俺が自分で買って持ってくるべきだったよな。
呼ばれてる側なんだから、
お菓子とか飲み物ぐらい持参するのがマナーってもんだろ……。他の男子の家に遊びに行ったとき、
毎回「お茶出して〜」って甘えて出してもらってる俺が悪いんだわ。
完全に甘え体質が染みついてた。
今日のこの一件で、ちょっと反省モード入った……(入ったフリ)。増尾が戻ってくるまでの間、
俺はクーラーの風に当たりながら、
「次からはペットボトル2本持参するぞ……」
って心に誓った。
……まあ、次も忘れるんだろうけどな。




