増尾の母さんが帰ってきた
俺、宅間はるき、増尾の部屋のクーラー直下に陣取って、
買ってきた缶コーヒーを一瞬でグビッと飲み干した。
……あ、終わった。
マジで一瞬。
喉の渇きが「まだまだぁぁぁ!」って叫んでるのに、
手の中には空のアルミ缶だけが残されてる。
こんなちっこい180ml缶じゃ、夏の俺の水分補給欲を満たすわけないだろ……!
ペットボトルのお茶、2リットル級のを買ってくればよかった……後悔しかない。増尾は相変わらずベッドの上でPSPカチャカチャ。
ミッチーは机の上でノート広げて「ここ難しいなあ〜」って苦戦中。
どっちも俺の喉の悲鳴に全く気づいてない。
……仕方ねえ、言うか。「ご、ごめん、あのさ……厚かましくて悪いんだけど、
なんか飲み物、出してくれないかな……?」
って、声ちっちゃく絞り出そうとしたその瞬間――「ただいまー!」玄関の方から、明るい女の声が響いてきた。
増尾の母さんだ!!
俺の心の中で花火がドッカーンと上がった。
ラッキー!!!
神!!!
俺から言わなくても、絶対何か出してくれる!!
増尾の母さんって、昔からめっちゃ気が利く人で、
俺らが来る日はだいたい冷蔵庫から麦茶とかスポーツドリンクとか、
冷えたやつをトレーに乗せて持ってきてくれるんだよな……!増尾がようやくPSPから顔を上げて、
「ん? おかん帰ってきた?」
ってボソッと言った。
お前、今さら気づくなよ……。ミッチーも「増尾くんのお母さんだ!」って喜んでる。
俺はもう内心で「来てくれた……! 救世主……!」って
ガッツポーズしながら、
ドアが開く音を今か今かと待ってる。
頼む、麦茶じゃなくてもいい、
水でもいいから、氷入りのやつを……!
第4話、2/16(月)朝8:00投稿予定。




