幕間 ノーマンズランド:呪われた大地の物語
青白い月明かりのもと、死者たちが闊歩する。息も止む静かな夜。灰の丘に彼らは姿を現し、もはや失われた命への嘲りと、苦々しい憤りを込め、鋼の刃を振りかざす。そして時折、炎に焼かれる木々のざわめきのような、ひどく乾いた声で生前から覚えていた唯一の言葉をささやく。彼らをかようなる存在へと成り果てるべく呪った者、キリウスという者の名を……。
アルフレッド・フォン・シュナイダー『主なき地』より抜粋
――ノーマンズランド。
遠い昔、彼の地は「エステリア帝国」と呼ばれていました。広大な都市は壮麗な輝きを放ち、そびえ立つ宮殿は大理石と宝石で飾られ、そして、無敵の軍団は全ての定命なる者の王国を征服するほどの力を持っていました。
エステリアは征服帝「キリウス・アウグストゥス・インペラトール」の意志によって統治され、あらゆる文明の灯台として君臨していました。
しかし、その栄光は一夜にして灰と化し、今やノーマンズランドは生き物を拒む呪われた荒野と化しています。灰と塩に覆われた大地には、死してなお、決して安息を許さぬ「ブラックモノリス」がそびえ立ち、永遠の夜の色を映した冷たい輝きで全てを嘲笑うのです。
帝国の終焉と呪いについて、今こそ語りましょう。
エステリア歴代皇帝の中で、キリウスの偉大さ、残酷さ、そして傲慢さに匹敵する者は誰もいませんでした。彼は虚栄心が強く、自己中心的な男で、臣民に服従だけでなく、絶対的な崇拝をも要求しました。
しかし、キリウスは決して愚か者ではありませんでした。彼は民の言葉に耳を傾け、民の欲望を満たせる指導者だけが、民衆の完全な崇拝を得られることを理解しました。この目的のため、キリウスは民に無償の食料を配り、コロシアムで血なまぐさい闘技大会を開催して、民の欲望を満たしました。
キリウスの戦争への渇望と征服への渇望を抑えるものは何もなく、エクステリアの軍勢は長年にわたり世界を席巻しました。帝国は広大な版図を得、数々の勝利と功績を残したにもかかわらず、征服帝は決して満足していませんでした。
治世50年目、エステリア帝国は絶頂期にありましたが、一方で皇帝の身には、肉体と精神に衰弱の兆候が現れ始めていました。キリウスは広大な帝国の最果て、青天山脈の峰に立ち、征服したすべてのものを見渡したと伝えられています。彼は振り返り、山の向こう側に広がる遥かな地を見つめ、怒りの咆哮を上げました。キリウスは、たとえ後100年生き永らえたとしても、自らの手が届かぬ場所があることを悟り、深い失望を感じたのです。
そして、キリウス帝は永遠の命を求め、禁断の魔術に手を伸ばしました。
突如として、ノーマンズランドの大地に黒曜石の柱が現れました。ブラックモノリスと呼ばれる大小さまざまのオベリスクは、帝の欲望を呼び覚ます暗黒の囁きを放ちましたが、彼はこれを神の啓示と信じ、この漆黒のモノリスを帝国の新たな神として崇めました。だが、モノリスの力は祝福ではなく、破滅の呪いでした。
モノリスの影の下で死した者は、魂を奪われ、アンデッドとして蘇りました。帝国の兵士、民、果ては獣までもが、理性を失った怪物と化し、互いを喰らい、都市を荒らしました。ガイウス帝は自らの狂気に飲み込まれ、帝国全土に不死の呪いを刻む「大災疫」の儀式を執り行いました。
この一撃でエステリア帝国は崩れ去り、かつての壮麗な都は廃墟となり、ノーマンズランドは死と絶望の大地と化したのです。
今、ブラックモノリスはノーマンズランドの各地に屹立し、その周辺では死者がアンデッドとして蘇り、命ある者たちを執拗に襲います。空はすえた腐臭のする灰色の帳に覆われ、陽光は届かず、霧と沈黙が大地を支配します。
だが、この呪われた土地に新たな希望の火が灯りつつあります。
開拓者たち――すなわち、君たちが現れたからです。
ノーマンズランドに足を踏み入れた開拓者は、失われた帝国の遺跡を探索し、古代の技術や魔術の欠片を収集する使命を負います。崩れかけた神殿、朽ちた要塞、呪われた地下墓地には、今も帝国の財産が眠っています。これらの遺物は拠点の建設や装備の強化に不可欠です。しかし、遺跡はアンデッドの巣窟であり、罠と謎に満ちています。一歩道を踏み誤れば、君もまたモノリスの呪いに飲み込まれ、死者の仲間入りを果たすでしょう。
開拓者の最大の試練は、ブラックモノリスそのものです。モノリスは単なる石碑ではなく、内部に未知の魔力と意志を宿し、近づく者に幻覚を見せ、狂気を囁きます。モノリスを破壊するには、神秘に満ちた古代の遺物を用いた儀式が必要です。しかし、その試みは過酷なものになるでしょう。モノリスを破壊しようとすればその守護者、巨大なアンデッドや魔物が立ちはだかり、あなたの破壊の試みを阻もうとするからです。しかし、モノリスを打ち砕くごとに、ノーマンズランドの呪いは弱まり、大地にわずかな希望が戻るのです。
中でも、キリウス帝と不可思議なつながりを持つ「インペリウム・モノリス」は、ノーマンズランドの呪いの心臓部です。この巨大なオベリスクを破壊する手段――「征服者の冠」を手に入れた開拓者は、皇帝の狂気を呼び覚ますことになります。
見つかった資料によれば、キリウスの魂はモノリスに縛られているようです。自らの帝国を脅かす者を許しはしないでしょう。聖遺物を手に儀式を始めた瞬間、大地は震え、空は血のように赤く染まり、「天罰」を下すキリウスの声が轟きます。彼の声はノーマンズランド全域を揺るがし、アンデッドの嵐を巻き起こします。かつての帝国臣民であるゾンビの大群、皇帝の近衛兵、司祭、そして「キリウスの影」が、儀式を阻止すべく襲いかかります。
天罰は三つの波で押し寄せ、開拓者は儀式場を守り抜かねばなりません。成功すれば、皇帝のモノリスは砕け、ノーマンズランドを縛る呪いの鎖が一つ解けます。
しかし、儀式に失敗すれば、モノリスの力はさらに強まり、同時に死者たちも力を増します。彼の地はより深い闇に沈むでしょう。
天罰のさなか、開拓者たちは互いに協力するか、裏切るかを迫られます。
儀式に使う聖遺物を奪えば、莫大な富と力を手にできるからです。
空に響く雷鳴とアンデッドの咆哮の中、君は仲間を信じ、儀式を完遂するのか。
それとも、欲望に駆られ、血に染まった手を伸ばすのか。
ノーマンズランドは、弱者が生き延びることを許さぬ過酷な戦場です。この呪われた大地には、休息を約束する安全な地など存在しません。開拓者は拠点を築き、資源を蓄え、帝国のアンデッド軍団と戦わねばなりません。
――しかし、真の脅威は、君と同じ開拓者たちかもしれません。
この土地では、力のみが唯一の法です。開拓者たちは互いに競い合い、遺跡の財宝やモノリスを止められる聖遺物を奪い合います。信頼していた仲間が夜陰に紛れて君の拠点を襲い、積み上げた資源を略奪するかもしれません。だが、戦いの果てに倒れた者もまた、ブラックモノリスの呪いによってアンデッドとして蘇り、復讐の刃を振るうのです。死すら終わりではなく、新たな戦いの始まりに過ぎません。
拠点を守るため、仲間と協力して防壁や罠を築きましょう。とはいえ、呪いに蝕まれたノーマンズランドの資源はあまりにも少ないです。きっと、少ない資源を巡って争いが起きるでしょう。貧しさは、時に血なまぐさい裏切りを招きます。彼の地においては、昨日の友が敵となり得るのです。
ノーマンズランドの中心には、キリウス帝の宮殿「エテルノス・パラティウム」が廃墟としてそびえます。キリウスはこの場所でモノリスと契約を結んだと言われており、宮殿には呪いの核心が隠されていると囁かれます。
宮殿は最強のアンデッドと致命的なトラップに守られ、到達するのは至難の業です。伝承では、キリウス帝自身が完全な死を迎えず、モノリスの力で「何か」に変貌し、宮殿の奥深くで眠っていると言います。
開拓者たちが皇帝のモノリスを一つ、また一つと破壊するたび、宮殿への道が開かれます。全てのモノリスが砕かれた時、ノーマンズランドは最後の試練を迎えるでしょう。キリウス帝との対決は、呪いを終わらせ、フロンティアに新たな時代をもたらす戦いです。だが、その戦いに勝利する者は、英雄となるか、それとも新たな呪いの担い手となるか――それは、君の選択にかかっています。
ノーマンズランドは、勇気と知恵を試す試練の地です。ブラックモノリスの呪いを解き、エステリア帝国の真実を暴き、キリウス帝の狂気を終わらせるのです。
ですが、気をつけなさい。
この土地は生き物を拒み、死者にさえ安息を与えません。
仲間を信じ、敵を打ち倒し、死者の行進を食い止めるのです。
君の剣が、君の魔法が、彼の地の運命を切り開くでしょう。
ノーマンズランドへようこそ、開拓者。
・
・
・
ノーマンズランドのルール概要は以下の通り
ーーーーーー
1. 基本ルール:エリア全域がPvP可能。セーフゾーンなし。
PvP常時有効:
ノーマンズランド全域でプレイヤー間戦闘(PvP)が可能。いつでも他の開拓者から攻撃を受けるリスクがある。信頼していた仲間が裏切り、資源や装備を略奪する可能性も。
セーフゾーンなし:
ガード圏は存在せず、拠点であっても敵プレイヤーやアンデッドの脅威に晒される。
PKのリスクとリターン:
他のプレイヤーを倒すと、相手の所持品(資源、装備の一部)を略奪可能。
※ただし、ブラックモノリスの呪いにより、倒されたプレイヤーがアンデッドとして蘇り、復讐を試みる可能性がある。
2. 拠点構築と防衛
拠点の構築:
開拓者は遺跡から収集した資源を使い、拠点を建設。防壁や罠を築き、資源の保管や休息の場を確保する。拠点は小規模な野営から、城塞のような大規模構造まで拡張可能。
拠点の襲撃:
他のプレイヤーが拠点を攻撃し、資源や装備を奪う「レイド」ができる。
アンデッド軍団も定期的に拠点を襲撃。防衛はソロではほぼ不可能で、プレイヤー同士の協力が不可欠。
拠点の維持:
拠点はモノリスの汚染に晒されるため、定期的な浄化が必要。
これを怠ると拠点の耐久値が減っていくため、他のプレイヤーを襲ってでも浄化用の資材を確保する必要がある。
3. アンデッド復活メカニクス
プレイヤーのアンデッド化:
死亡したプレイヤーは、ブラックモノリスの呪いによりアンデッドとして蘇る。
アンデッド状態では理性を失い、近くのプレイヤーや拠点を攻撃するNPCとなる。
アンデッドの強さは、元のプレイヤーに依存する。
モノリスの影響:
モノリスの周辺ではアンデッド化の確率が上昇する。
アンデッド化を防ぐにはアイテムを使用するか、そのエリアのインペリウム・モノリスを破壊する必要がある。
復讐の刻印:
PKされたプレイヤーは、攻撃者を追跡する「復讐の刻印」を獲得。一時的に強力な能力を持つ「レブナント」となり、PKに復讐するチャンスを得られる。
ーーーーーー
以上が基本ルールです。これの他、モノリスの破壊に関係するルールは、実際にレオたちがプレイを開始して挑戦する前のタイミングで開示します!
…しかしこれ、書いてることは銃のないRustでは(