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バイソウルの一人  作者: わたしだ


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青を探しに(9)

 「全くいつの間に入れ替わったんだか」


 岩砕ける音響く広間。三つ続くうち、真ん中の通路手前でリオネ達は溜め息をついた。後ろではロッキータが相も変わらず騒々しいままに食事をしていた。


 「どこかではぐれて…。と、まあ多分ここでなんだろうけど」


 「あの人と出会って全く飽きの来ない一日ですよ」


 「珍しくリオが人褒めてる」


 「ひ・に・く」


 リオネ達は止まっていた足を進めた。


 リオネ達が進む先では、何匹もの蜘蛛が既に死骸となっていた。足を折りたたんで寝転がる蜘蛛の合間を、二人は縫って走った。


 「とはいえ、今回に関してはブルートさんのせいとも言えないんじゃない?」


 「何? 私のせいってこと?」


 リオネ達の左頬が膨らんだ後に、右の口角は苦笑いを作る。


 「そうじゃなくて、相手が悪いってこと」


 不安定に揺れるランプの炎は、次第に狭まる洞窟を優しく照らす。


 「それはそうだけど…」


 「うわあああああぁぁぁぁ!!」


 突然、二人の足音を上書きするように、男の叫び声が先の暗闇から響いた。


 「リオ」


 「うん」


 それを聞いてリオネ達は走るギアを上げた。進めば進むほど、壁と天井がリオネ達に近づき、響く叫びの鮮明度が増す。切れた息の間に唾を飲み込んで、髪をはためかせる。そして二人が辿り着いた先は——、


 「やめてくれぇぇぇ」


 バッと壮観なまでに広がった洞窟。天井はそこらの小高い丘を収めるほどだ。


 そして何よりもその場で際立っていたのは——“水色”だった。


 先刻リオネ達の前にあった水色が、間接照明の如く光を放ちながら床一面に広がっていた。その水溜まりによって洞窟は幻想を纏う。


 リオネ達はその光景に、瞳を輝かせ——ることもなく、ただ一点を見つめていた。

 その先では、水溜りの岸で、水色の噴水と年不相応に戯れる男の姿があった。


 「目が回るぅぅぅぅ」


 笑顔で万歳をしながら噴水に持ち上げられる男に、リオネ達の口からは自然と溜め息が漏れた。


 「楽しそうで何よりですね。ブルートさん」


 苦笑いを浮かべながら、リオネ達はブルートの元へと歩み寄った。


 「おお、さっきぶりだね。ほら見てよ。これ凄いんだよぉ」


 似非少年—ブルートを見上げて、リオネ達は「良かったですねぇ」と貼り付けた笑顔を向けた。それから視線を噴水に移すと今度はしっかりと口角を上げて口を開いた。


 「お久しぶりです。ケアルア様」


 不安定だったランプの炎は膨らんだままに灯っていた。


 「久しぶりだね」


 噴水はすぅーと滑らかに高さを落とし、ブルートを優しく地面に下した。そして、少し残念そうにするブルートの横に、水溜りからニョキっと彼の背丈ほどの突起が生えた。


 それは、一面に広がる同色の水溜まりをドレスの裾とするように人の形を成した。


 「元気だった?」


 淡く輝きを放ちながら、その水色の人間——ケアルアは微笑んだ。

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