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バイソウルの一人  作者: わたしだ


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鐘の鳴る街(11ー1)

 学校がてっぺんに座す丘。その丘を越えると谷底を流れる川があり、さらにそこから山へと続いている。そんな中、ジェルソ達は川の飛び石を渡って木々が高く伸びる斜面へと足を踏み入れていた。


 「リオ、大丈夫?」


 「…ごめん。ちょっと落ち着かなくて。ジェルの方は平気? 結構感情流し込んじゃった気がするけど…」


 「大丈夫だよ。小さい頃と比べればまだマシ」


 「そっか。ごめん」


 リオネ達の目は伏せて視線が落ちていたが、その口元はわずかに笑っていた。


 「さてと、ここら辺かな?」


 そう言いながらジェルソは足を止めて辺りを見回した。


 二人(一人)が山の道なき道を上って谷向こうの丘の学校と同じ高さに到達した。


そこは段のようになって平らに近く、他とは異なり日の光が降り注いでいた。その周辺には区切られたように木が生えておらず、かわりにまだ咲いていないユリが緑の葉で地面を埋め尽くしていた。


 「どう、見つかりそう?」


 「ちょっと待ってね」


 ジェルソ達はその場でじっと佇むと目を思い切り開いた。ジェルソ達の開かれた目は黒から青へとグラデーションがかかり、じーっと地面を隅々まで見て—その瞳に反射する世界はどこか幻想的だった。


 風に揺れる二人(一人)の膝元まで伸びたユリの茎、谷底の川のせせらぎが優しく静かな山間に届く——。


 「あ、あれ」


 そんな時、ジェルソ達は丁度お辞儀をしたユリの隙間の奥で視線が止まった。


 ジェルソ達が近づいてみると、そこには伸びていたはずのユリが足形に踏みつぶされている跡があった。


 「見つけた。多分ここだね」


 その周囲には複数いたずらに踏みつぶされた跡があった。数本は根元から折れて倒れ込んでいる。


 「さてと、それで…」


 そうしてジェルソ達はそこからまた目を凝らす。そしてその視線はすーっと足元から上って傾斜の方—明暗の分かれ際からさらに、山に生える木々の隙間へと伸びていった。


 「こっちだね」


 そのジェルソの言葉に合わせて、二人の足がゆっくりと前に出る。

 伸びるユリをどうにか倒さぬよう慎重に進み、その群生地を抜けると二人は力強く一歩踏み出した。


 「さてさて、どちらに向かわれたのかな?」


 ジェルソ達は足元の少し先を見下ろしながら、かすめ取られたなけなしの陽光を背に歩いていく。急な傾斜の中二人の踏ん張りで、落ちた葉と土が混ざり僅かな塊となってその足跡を残す。


 どんどんと上ってく二人—、グレーのロングスカートの裾に土汚れを作りながら途中倒れた木を飛び越えて——、そうしてジェルソ達は、谷底を流れる川の音すら届かない山の中腹過ぎまでたどり着いた。


 「ここですか」


 囁き声のジェルソ。


 僅かな平地、苔むしたような木材、さらにその外側を這いまわる蔦。さらにさらにそこに覆いかぶさるように生える木々。その奥からは男たちの談笑する声が漏れてきている。


 立ち止まったジェルソ達の数メートル先。そこには小屋が一つ建っていた。


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