偏執狂者の愛
俺は天才だ。
しかし、誰も認めない。
でも、天才とはそういうものだろう。
SNSで俺を馬鹿にした奴も、天才を理解出来ない俗物なんだろう。
ただ、俺には運がない。
こればかりはどうしようもない。
天才である俺が会社の社長になれば、世界を代表する企業にすることも出来るし、総理大臣になれば日本を世界最高の国に出来る。
しかし、俺は天才だから既得権を持つ俗物どもに邪魔をされた。
学歴だけの愚かな奴ばかり採用し、俺のような天才を受け入れない会社なんて、きっとすぐに潰れるだろう。
面接でも俺がいかに優れた天才かを語っても、誰も相手をしなかった。
天才は孤独だ。
しかし、そんな俺にも好きな女が出来た。
俺のような天才に相応しい、美しく聡明で、俺を心から愛してくれる、そんな女性だ。
しかし、周りが邪魔をする。
特に彼女の姉が、俺と彼女との仲を妨害している。
彼女の姉とは思えないぐらいに、まさに俗物で愚かで醜いブタだ。
本来なら、俺と口を聞いていい存在ではない。
彼女の姉という特権を振りかざす、そんな無能なブスだ。
彼女は間違いなく、俺に惚れている。
俺と一緒に死んでもいいとすら、思っているだろう。
だって、俺は天才なんだから。
しかし、天才は理解されない。
天才はいつも孤独だ。
それでも彼女は、俺を理解し側に居てくれると言ってくれた。
しかし、あのブスは妄想だと言う。
許せない。
俺と彼女の純愛を理解しないどころか、邪魔や妄想と言い切るなんて、生きている資格はない。
だから、俺は彼女の姉を殺すことに決めた。
彼女が悲しむかと思ったが、俺との関係を邪魔する姉なんか死んでもいいって、そう言ってくれた。
しかし、それでも彼女の姉だから、改心するのを待とうと思った。
俺は天才だから、凡人を許そうと思ったからだ。
そんなある日、いつものように彼女に会いに行ったら、玄関に警察が来ていた。
彼女は会いたくないと、そう告げられた。
俺には信じられなかった。
あり得なかった。
でも、俺はすべてを理解した。
彼女の姉が、俺を見て笑っていたから。
凡人に改心を求めた俺が、間違っていたようだ。
所詮は愚かな凡人。
天才を理解しないブスは、もう生きているだけで罪だ。
だから、俺は彼女の姉を殺すことにした。
彼女も同意してくれてし、一緒に死のうと言ってくれた。
ふたりの愛は、永遠だ。
俺は天才だから、生きていればこの世界の為になるのだが、俺は愛に生き、愛に死ぬと決めた。
そう、まさにロミオとジュリエットのように。
だからまずは、あの邪魔なブスを殺す。
純愛を理解しない、天才を邪魔する俗物を。
きっと、それが世界の為になるだろう。
そうだ、警察だってそうしろって、あの時に俺に言っていた。
ああ、俺は孤独ではなかった。
俺は決意した。
そして、彼女と共に行こう。
サバイバルナイフと包丁三本を用意し、美しい遺書も用意する。
ふたり一緒に埋葬してくださいと、そう書かないと。
俺は行く。
ふたりだけの世界へ。