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友達に見えるあの二人、実は……カレシカノジョなんです! 12月25日『これからは友達じゃなくて……』

作者: 雨宮 瑞月

昔書いていた小説の最終話のデータだけが残っていたので、途中訂正しまくって最後少し付け足しただけですが、この二人大好きなんですよねぇ私……!!!

こんな恋がしたかったなと思う、専門学生の雨宮瑞月が書いた小説ですが、よければ読んでいってください!

 突然、スマホにメッセージが送られてきた、今日は終業式で早く学校に行かないといけない日になっている。二学期はたくさんの思い出であふれていた。そういえば二学期からだっけ、奏太君と友達になったり仲良くなったりしたのは……。でも今はスマホに届いたメッセージを確認しないと……。

 そのことを思い出した私はテーブルに置いてあったスマホを開いた。すると陽菜ちゃんからの連絡が来ていた。なんだろ……と思ってみてみると今日の放課後ちょっと遊びに行きたいとのことだった。特に予定のなかった私はいいよ!と返してそのまま学校に行く準備をしていた。なんだか今日は気分が軽い、多分明日から学校が休みでしばらくの間は楽しく過ごせることが楽しく思えているのだと、そう感じていた。

「私って、幸せ者だね」

 勉強を教えてくれる友達、こうやって遊びに誘ってくれる友達、数は少ないかもしれないけど、それでも私は今一番幸せなんじゃないかなって思っていたりする。そんなことを考えていると下から声が聞こえてきた。

「まいー、早く降りてきなさいー」

「はーい、今行くー」

 そう返した私はカバンをもってリビングに降りた、本当に体が軽い気がするのは気のせいなのかな……。

 リビングに降りると弟とお母さんがごはんを食べていた。私は「おはよー」というと弟は「ねーちゃん今日は起きるの早いね」と言っていた、そうなのかな?と思って時計を見てみると7時半だった、今日は少し遅めに登校する日だから本当に早かったと思ってる、そういえば始業式の日起きたら7時半だったっけ……。

「なんか明日が休みって思ったら気分が楽で……まあいいのよ、時間に余裕ができたんだし」

「そういうところねーちゃんだよね」

「そうだねぇ……」

 弟とお母さん二人そろってそんなことを言っていた、そうなのかな……久しぶりに三人でごはん食べているけど、ちょっと楽しいなと思ったのはたぶん余裕があるからだと思う。ご飯を食べてのんびりしているといつの間にか8時になっていた。今日は9時までに登校すればよかったと思うけど……いつもは8時半だけどまだ定刻まで1時間もあるとわかってしまったらのんびりしてしまいたい……そんなことをしているから制服が乱れてしまうのだ。それにしても……。

「今日……寒すぎない……?」

「今日寒いよ……多分帰りかな、雪が降りそうな天気になってたよ」

「えぇ!?今日陽菜ちゃんと帰り、遊びに行こうと思ってたけど……」

 雪が降るとか初めて知ったのだけど……昨日は雪降らないとか言ってたし、何なら晴れるって言ってたんですけど!?って、今更文句を言っても仕方ないので陽菜ちゃんにどうするか聞いてみることにした。メッセージを送ると暇だったみたいですぐに返事が返ってきた。見てみると『それ、私もさっき知ったの……どうする?遊びに行きたいって言ってたしショッピングモール行きたいなって思っていて……まいちゃんにクリスマスプレゼントあげようかなって思ってね』と、帰ってきた。クリスマスプレゼントか……あんまり貯金に余裕がなかったりして簡単なものしかあげれなかったけど中学最後だしマフラーとかあげようかな……とか思っていたらもう一件メッセージが届いた。なんだろ……思ってみてみると『寒そうだしやめとく?』と来ていた、うーんこれはどうしよう……も行きたいから行こう。

「寒そうだけど行きたいから行く!ご飯も一緒に食べに行きたい!」と、返事するのだった。もうちょっとで高校生になるけど、高校生になったらもうちょっとこの辺楽になるんだろうなぁ……。中学生のうちは我慢しないといけないと思ってる、これは仕方ないことなのだから、メッセージを送ってのんびりしているとまたメッセージが届いた、見てみると奏太君からだった。めずらしい……気になってみてみると『今日の勉強会どうする?』と、来ていた。そういえば結構長い間教えてもらってるなぁ……私も今日は遊びに行きたかったから『ごめん!今日は夜に教えてほしい!』とメッセージをおくった。そしたら10秒ぐらいで『了解、また学校で話そう』と帰ってきた、暇なんだなぁ……そんなことを思っていたら学校に行く時間になっていることに気づいた、やばい、そろそろ陽菜ちゃんが家に来る。ちょっと乱れていた髪を直して制服も直して、カバンをもって玄関を出るとちょうど陽菜ちゃんがインターホンを押そうとしていたところだった。セーフだったよ……。

「おはよ~、今日は時間ぴったりだね」

「おはよ~、今日はね今日は……陽菜ちゃんの連絡が来る少し前に起きれたから……」

「珍しい……やっぱり明日から冬休みだからかな?」

「多分そう!そんなことより学校行くよ!」

 ちょっとルンルン気分だった私は陽菜ちゃんの手を引きながら学校に向かっていた。後ろの陽菜ちゃんが少し笑顔な気がした、いつも笑顔だけど、きょうは何かが違う気がする……私の気のせいかなぁ……。

 気のせいだと思って私は忘れることにした。途中、いろんなことを話していたけど……陽菜ちゃんに「奏太君とはどうなの?」とか「告白されたの?」とかめちゃくちゃ言われたけど……私多分奏太君のこと好きなんだよね、だけど私じゃ釣り合わない気がするし……とか、いろんなことをぶつぶつ言っていたら「それもったいないんじゃないの?」って言われた。私もそう思っているけどそれでフラれたとき私の精神が持たない気がする、もともと私の精神強くないんだから……。

「それでももやもやしてるよりぶつかりに行っちゃったほうがいい気がするんだけどなぁ私、もしもフラれちゃってまいちゃんが泣きそうになってたら私が遊びに行ってあげるからさ、行っておいでよ」

 確かにその通りだけど……もしもって考えたら怖くなってきて……。

「ちなみに奏太君、県外の高校に進学するかもしれないって言ってたよ、そうなったらもっと会う機会なくなっちゃうんだし言うなら今日か来月だよぉ?」

「そんなこと言われたら怖くなっちゃうじゃん……来月言おうと思います……」

「よろしい、そんなまいちゃんにこれあげる」

 そういいながら私に封筒を渡してきた、これなんだろ……。

「今日遊びに行くんでしょ?それ映画のチケットだから一緒に見に行こうよ」

「え、ほんと!?ちなみに映画は……」

「もちろんまいちゃんが見たいって言ってた映画、私も見たかったし偶然チケットいらないかな?って話が回ってきてねぇ」

「ほんとに!?うれしい!!ありがとう!!」

 これはうれしすぎるクリスマスプレゼントだ……これは陽菜ちゃんにクリスマスプレゼント買ってあげないとなぁ……何がいいのかな?そんなことを思いながら学校に向かっていた。学校はもうすぐそこだししんどいと思いながらも学校に向かうのだった。


 学校につくと、奏太君がもう居た。珍しいなと思ったけどそういえば今日って時間ズレてたから早かったのか……いつも結構ギリギリだから……。 

「奏太君おはよ~、今日は早いね」

「何、いつもいつも遅いみたいな感じで言って……勉強教えないぞ」

「あ、それだけは勘弁……行きたい高校があるの……」

「それを知ってるから僕が教えてるんでしょ?」

 それはそうだけど……そんなことを心の中で思っていた。この人鈍感だよね……。絶対勉強教えてもらいたいのはそうだけど、ちょっと気になるから一緒にいてみたいってだけとか……そんなこと絶対に気づいてないんだろうなぁ……私の恋はあきらめたほうがいいのかもしれない。そう思い始めたのは言うまでもない。あきらめるのはだめだと思ってるし、陽菜ちゃんにも『あきらめちゃだめだよ!』っていいながら映画のチケット渡されたのだけど……。もー、なんで私って恋しちゃったんだろ……。

「あらあら、その顔は悩める乙女の顔だね」

「……うっさい、本当に悩んでるの」

 自分の席に戻って考え込んでいると陽菜ちゃんが煽りに来ていた、ニコニコとしている陽菜ちゃんの顔を見るとなんか安心するけど……。

「それで、今日じゃないの?告白しちゃうのは」

「ちょっと怖いの、不安なの、私壊れそうで」

「あ、断られることが大前提なのね、それがまいちゃんの悪い癖だよ」

「いいじゃん別にぃ……戻れるなら戻りたいって思ってるよ……私だって……」

「え?なんて言った?」

「……なんでもない、ジュースおごって」

「いいよ、そのかわり今度おごってね」

「それで契約成立、って……いいけど別にぃ……映画館でポップコーン買ってあげる」

「それはうれしすぎる!」

 いつもの笑顔を見せてくれる陽菜ちゃん、この子の笑顔を見ていると安心できるんだよねやっぱり、ほかの誰かには出せない安心感が出ている……。言ってる意味が分からないと思うけど、本当に誰にも出せないような安心感を放出している気がする……。

 そんなことを考えていたら朝礼の時間になった。朝礼の内容はほとんど聞き流していたけど、奏太君のほうを見てみると目をそらされた気がする。え?気のせいだよね……?気のせいだと信じ込みたい……そんな私は途中から夢の中に入り込んでいた。先生には気づかれなかったみたいだけど、奏太君にはバレていた。

「ほら起きろ、今日終わったら冬休みだろ」

「先生話長くて眠いの……この話の長さは催眠術……」

「それはわかるけど……俺が起きてんだ、起きろ」

 そういって起こされてしまった。時計を見てみると朝礼が終わっていた……あれ?

「もしかして終わるまで起こすの待っててくれたの!?」

「気持ちよさそうに寝てたから……しばらく眺めてた……」

「……見たな?私の寝顔」

「見た」

 即答された。え、めっちゃ恥ずかしいんだけど……。

「可愛いから眺めてたとか死んでも言えないな……」

「なんか言った……?」

「なにも言ってない。とりあえず終業式行くぞ、眠い眠い言ってるけど歩けるか?」

「歩けるよそりゃ……というかほんとなんか言ったよね……」

「なんも言ってない」

 何も言ってない。って言い張ってるけどやっぱり何か言ってたんだよなぁ……私の耳には届かなかったけど……本当に何だったんだろ……。疑問に思いながらも眠たいと言っている頭を起こして体育館に向かうことにした。途中眠くなって陽菜ちゃんにおんぶしてもらった……快適だった……。終業式はいつも通りで、校長の話が長すぎてまた眠くなってしまっていた。今度は陽菜ちゃんに起こされたけど本当に寝ないように頑張らないといけないなぁ……。でも、途中から眠っていたのは言うまでもない。

 そして終業式が終わった後に待ってるのは成績を返されることを思い出した……嫌すぎる……。

「いやだよぉ……ひなちゃーん……」

「ほらほら、あんなに頑張ってたのにどうして嫌なの……」

「それはそうだけど……上がってなかったらまた怒られちゃいそうで嫌なの……」

「奏太君はしっかり教えてくれてるし、応用問題だって解けるようになってたまいちゃんがまた成績落ちたりとかは考えれないと思ってるのだけど……」

 そんなこと言われたって……ね?数学30点取れなかった人だよ……?不安になりつつも通知表を取りに行った。そして恐る恐る開いてみると……。

「……あれ?かなり上がってる……?」

「……あれ?私成績負けちゃった……?」

「え、陽菜ちゃん見せて……あれ?」

「二人してどうしたんだ一体……」

 通知表を見ながら固まっていた私たち二人を見た奏太君が変なものを見る目でこっちを見ていた。ちょっと怖いのだけど……。そんな私を見ながら奏太君は席に戻っていつも通り寝ていた。変わんないなぁ……。

「まいちゃんまいちゃん、この成績で奏太君にアピールすることできるんじゃない?」

「そうかな……って……」

「わかってるのに~、私まいちゃんが奏太君のこと好きなのわかってるのに~」

「もう……からかわないでよ……」

「事実でしょ?」

「……多分そうだけど」

 認めるしかないんだよね、本当に……。迷ってたのは確かだし、私がこうやって人のことを好きって思えるようになるとは思わなかったけど、運命の女神様は奏太君の事好きにさせたかったみたい。

「恋って……一種の病気だねぇ……」

 そんな独り言が出ていた。恋は盲目と言ったりするけど、人に恋をしてしまったら本当に回りって見えなくなったり……?私はなかったけど、でも……うーん……。そんな私だけど、いろんなことを考えていたら授業が終わるチャイムが鳴った、やっと放課だ!!!

「陽菜ちゃん~帰ろ~」

「いいよ~ちょっと待ってね」

 いつも通りの会話をしていると思っていた。そう、いつも通りの帰りの会話を……。

「まい、ちょっといいか?」

 後ろから急に話しかけられてびっくりしたけど、この眠そうな声は奏太君だ。

「か、奏太君!?……どうかしたの?」

「どうしたそんなにびっくりして……成績どうだった?」

「ちょっと上がってたね……奏太君には追い付けそうにないけど」

「追いつかれたら俺が困るわ……まあ、ほらこれ」

 そういいながら封筒を手渡してきた、なんか朝にも見た気がする光景……。

「なんだよその目は……また見た光景みたいな目してるぞ……」

「だって朝にも同じ光景見たし……それよりこれ何?」

「まあ、帰ってからゆっくり読んでくれ。じゃーな、俺は帰る」

 そういいながら教室を出て行った。帰ってゆっくり読んでくれってことはこれ手紙かな……裏を見てみると『新島奏太より』って書いてあった。しっかりしてるなぁ……私よりしっかりしてるよねほんと……。帰ってからゆっくり読んでって言われたしそうさせてもらおうかな……今ここで読んでもダメな気がするし……。

「まーいちゃん、帰ろ!……って何それ」

「奏太君から渡されたんだけどね、帰ってから読んでって」

「ほほぉ……?」

「……何その顔」

「なーんでもぉ?」

 なんでもとは言ってるけど何かありそうな顔をしてるのだけど……本当に手紙の内容は気になるけど帰ってからって言われたからそれを守って家で読もうと思う、本当に……本当に!まあ、帰ってからって言っても多分すぐ着替えてから遊びに行くんだけどね、映画のチケットもらっちゃったし ……今日は楽しもう。そういえば!

「陽菜ちゃん陽菜ちゃん、お昼ごはんどうする?もう11時だけど」

「あ、私行きたいところあるんだよね~、でもその前に……」

「その前に?」

「……今日はちょっとだけまいちゃんの家によらせてもらっていいかな?」

 急なことだったからびっくりしたけど、部屋片づけてたよね……多分……。

「多分いいとは思うよ?うちの親いないし」

「じゃあ行きたい!ちょっとだけ用事があるから」

「いいよ、陽菜ちゃん着替えたいだろうし12時ごろでいいかな?」

「いいよいいよ、突撃しに行くね」

「突撃はしないでください」

 突撃されたらその時は私がびっくりして階段から落ちてしまうから……ビビりで申し訳ないね……。昔からビビりで陽菜ちゃんに何回驚かされたか……多分何百回って言えるぐらい驚かされてる……。それでもいつも一緒にいてくれるし、本当にいい友達だと思ってる。だからこういう時に敵になってほしくないのがこの子なんだよなぁ……。

「そういえば陽菜ちゃんさ、好きな人いないの?」

「なんで急に私……?まあ、いるけどさぁ……」

「あれれ?私だけなんだ!暴露するのー!」

「根に持ってるな……でも恋愛的に好きな人って誰?って言われたら難しくてね……恋愛的に好きな人って見つからないから……友達として好きなのはもちろんまいちゃん」

「求めてた答えと違う……」

「文句言わないの、ほらもうすぐ家でしょ?」

「もぅ……わかったから早く準備してきて!」

「あれ?照れてるじゃん、可愛い!」

 高校に入ったらもうちょっと自由になるのかなやっぱり……直接遊びに行けたりするのなら奏太君と遊びに行ったりも……?

「……考えるの辞めよう!とりあえず着替え着替え……」

「……ねーちゃんの様子がおかしい」

「ヒェッ!?……なに……小学校も今日が終業式なの?」

「そうだけど、なんかねーちゃんの様子がおかしい気がする」

「それはきのせい、私着替えるからあっち行ってて」

「はーい、お昼ごはんは?」

「あ、私陽菜ちゃんと遊びに行くからその時に食べるよ」

「ほーん……男じゃなかったか」

「なんか言った?」

「なんもー」

 今日はこれが多い気がする……絶対に何か言ってる……。

 気にしてもいけない気がするしもう11時半だったから私はさっさと部屋に戻って着替えていた。手紙はまだカバンの中に置いてある。

「……本当に奏太君からの手紙……」

 本当に信じられなかった。ずっと片思いだったんだし、私はそれをずっと隠していたつもり……ばれたとは思えないし、陽菜ちゃんだって……あれ?

「さすがに陽菜ちゃんはばらさないか……秘密って言ってあるし……」

 考えたくもなかったからその考えはすぐに捨てた、ないと思ってるし最初っから。でも陽菜ちゃんもスタイルいいからすっごいモテそうなのに……私もスタイルよくなりたいよ……。

 好きな人を振り向かせるためにも……!

 そんなことを考えていたら家のチャイムが鳴った、陽菜ちゃんだろうと思い行こうとしたら下にいた弟が出て行っていた。ちょこっとだけ聞こえてきた声を聴いていると『まいちゃんに男の影が見えると思うのだけど気のせいかな?』『あのねーちゃんに彼氏なんかできるわけ』とか言われてたのだけど……。

「おーいそこのふたりー、聞こえてるよー」

「あ、やば」

「これ後でしばかれる……でもねーちゃんに彼氏は居ないし作ろうともしなかったってのは事実」

 そういうと弟はリビングのほうに戻っていった。ほんと何を話していたのか……話していた内容は全くわからなかったから考えることを辞めた。

 急いでカバンを取りに行ったけど、財布の中身入ってたっけ……と不安になったけど確認する暇ないからぱっと見て大丈夫だろうと思って急いで階段を下りて行った。

「お~、さすが家、早いねぇ~」

 のんきな口調でそんなことをいう陽菜ちゃん、急いできたからそうだけど……いつものんきだなぁ……。

「それじゃあ行こうよ、そんな困ったような顔しなくても大丈夫だからさ」

「私……そんな困った顔してる……?」

「してるから言ってるの。ほら、まずご飯食べに行くよ!映画は3時からなんだから」

 そういう陽菜ちゃんについていくことにした、弟には夕飯前までには一応帰ってくるつもりとは言ってあるから多分大丈夫だろう。そして私は駅に来ていた、映画館があるショッピングモールまで3駅ある、その三駅先の駅前通りでご飯を食べる予定だ、途中で予定変更しそうだけど……。

「ねねまいちゃん、中華食べたい?」

「中華……食べたいけど……どうしたの急に?」

「お母さんに聞いたんだけどね、この辺においしい中華のお店があるみたいなの」

「ほぇ?気になるから行ってみたい!いつもファミレスだし……」

「よし、行こうか!あ、その前にコンビニ行きたい」

「はいはい、紅茶はあとでね」

「はーい……わかりました……」

 しょぼんとなってる陽菜ちゃんがいるけど、とにかくおなかすいたから……おひるごはんを食べていない私にはちょっとだけしんどい話だよ。それに、駅に着くと見覚えのある顔が見えた気がする。気がするだけ……。

「あれ?なんか見たことある気がする顔が見える……」

「あ、やっぱりそうだよね……私見たくなかったんだけど……」

「何言ってるの、君のいとこでしょ?」

「そうだけど……そうだけどそうじゃない……」

 近くに住んでるけどあんまり顔を合わせたくない人……すぐに『彼氏作らないの?』って言ってくるから……なんなら1回思いっきり蹴ってしまったし……。

「……私逃げる」

 それしか選択肢は残されていなかった。こんなところで平日に会うとは思わなかったんだから……少しだけ遠いところにコンビニを見つけて陽菜ちゃんが目をキラキラさせていたから行くことにした。その顔には負けちゃうよ……。そして……ふと通知が来て何かと思っていたら……。

『なーに逃げてんの?』

「……お姉さまこわい」

 そう、さっき言っていたいとこだった。なんで逃げたかわかってるくせにぃ……そんなことを思っていたら続いてこんなメッセージが送られてきた。

『例の質問はしないからさ、今いるところ教えてよ』

「陽菜ちゃぁん……こわいよぉ……」

「あの距離で見つけられるんだ……さすがまいちゃんのいとこ ……」

「その距離で見つけた私も私なんだけどねぇ」

「それもそっか……」

 私はあきらめて今いるコンビニの場所を送った。目がいい癖に眼鏡かけてる人だから余計……。

「余計、なんなのよ」

「ヒェ!?」

 急に後ろから声が聞こえてびっくりして変な声が出てしまった。この人足早いんだった ……しかも急に抱き着いてくるから……。

「……不審者」

「違うよ!?女の子が女の子を襲うとか聞いたことないんですけど!?」

 この人……こんなところあるからなぁ……私限定で見ると抱き着いてくる、なんかわからないけどよく甘やかしてくる……。

「ほらほら、久々に見た顔だと思ったらどこか逃げちゃうしさぁ、一体小さいころのあの可愛さはどこに行ったの ……」

「私もうそんな年じゃないんですけどぉ……」

「まいちゃんが可愛い……」

「そうでしょそうでしょ!?まいは可愛いの!」

 何か言い合ってる気がするけど……気のせいだと思っておこう。とりあえずこの人から逃げるのは不可能だからもう素直に言うことにしたがうしかないかなぁ……?でも……あれ?私本来の目的見失ってない……?

「ひなちゃんひなちゃん、映画!」

「……あっ」

「何々?映画行くの?私も連れてってよ!」

「あれ、美幸姉ちゃん……大学の帰り……?」

 ものすごく気になってしまったことを目の前のいとこのお姉ちゃん、美幸姉ちゃんに……。

「んぇ?大学ねぇ……まず今日日曜日だけどちょっと用事があっていってきた帰りなの」と、言いながらも私のかごの中に何か入れてるし……何……おごられ目的……???ちなみにのんきにしてたせいで電車1本逃してる、だから二人ともあきらめてこんな感じなのだけど……まあ、時間とかの指定はなかったからいいのだけど……。おごられ目的なのはわかったからとりあえずおごってあげようか……今度色々おごってもらおうかな、じゃないとおごられ目的で家に来そうだからね、でもさ……。

「……電車ってあと5分じゃん」

「……すっかり忘れてた」

「あらあら……そういえばあなたたちお昼ごはんどうするの?」

「もう迷い中……おなかすいたからこれだけ食べるけど……」

 そういって私は持っていたおかかおにぎりを見せた。多分これだけじゃ足りないから映画見に行く前に食べると思うけど……。

「おにぎりかぁ……それで足りるの?」

「もちろん足りるわけない……美幸姉ちゃんもついてくると思うから一緒にご飯食べに行く?陽菜ちゃんがいいっていうならだけど」

「あ、私はいいよ?というか話したいことあるし」

「もうなんか予想できるよ……いいけど別に……」

 にやにやしている陽菜ちゃん、その手前でなにもわからないって顔をしている美幸姉ちゃん、この二人が組み合わさったらこの手の話は隠せない……。そんな二人は『ちょっと買いたいものあるから行ってくるね』って言って私を放置したままどこかに行ってしまった。何をしにいくんだ一体……。色々考えながら駅前広場でさっき買ったおかかおにぎりを食べていた。うん、いつも通りおいしい……。

「ほんとあの二人……何買いに行ったの……」

 映画を見に行くだけの予定が、こんなことになってちょっとだけ不機嫌になってる私がいた。


 


「……まいちゃん不機嫌になってなかったらいいけどね」

 そんなことを思ってしまった私、陽菜は今近くのショッピングセンターに来ていた。まいちゃんにクリスマスプレゼントを買うために……。

「しかしまいにこんないい友達が居たとは……あの子ゲーム大好きだから男の子のゲーム友達とかいるものだと思っていたけど……」

「あ、逆だね。まいちゃん……いつも一人で本読んでるから……」

「らしいっちゃらしいわね、昔からそうだったし……」

「え?昔から?」

「そう……幼稚園のころぐらいから一人が好きでね……絵をかいてたり絵本を読んでたり、そんなことがよくあったから私心配なのよね……」

 確かにまいちゃん私が行かないと基本一人……奏太君のほうをじっと見ている時があったり、クラスの人達を観察していたりたまにそのまま絵描いてるときある……よくよく考えたらまいちゃんって人見ながら絵描いてるよね……しかもうまいし……。

「でもまいのあれはちょっとした才能と努力の結果だと思うよ私は、絵をかけてあの容姿があるのも関係あるのかもしれないけど、多分周りの男子狙ってると思うよ」

「それは気のせいでもない気が……まいちゃん気付いていないみたいだけど……」

「ある意味、罪な女ねぇ……」

「まいちゃん渡す気ないけどね、友達としては」

「じゃあ、好きな人は居ないの?」

「それは別で、実は両片思いみたいなの、相手の男の子にも私相談されちゃってね」

 実は昨日の夜、奏太君に相談されたんだよね。内容はこうだった。

『実は相談したいことがあって……俺、まいのことが好きなんだ……だから誰かに告白される前に告白したい……でもどうすればいいかわからんからどうすればいいか教えてくれんか?』って来ていた。

 これはこれは……多分気付いていない両片思いってやつだな……?と思った私はお互いがお互いのことを好きで居て両片思いになっていることを隠したまま進めることにした。その結果が手紙で渡すというものだった。まいちゃん好きな人から手紙とかもらったことないとか言ってたし……1回彼氏いた気がするけど……もらったこと自体はないって言ってたから初めてだと思う。

 そして今日渡したみたいだけどまいちゃんなにこれって顔してたなぁ……大丈夫かな……。不安はあったけど私が一人の時に『まいちゃんなにかわからない顔してたけどそのあとちょっとうれしそうにしてたよ』って電話で言ってあげた。そのあと『は?ちょまてそれど』とか言ってたけど途中で切っちゃったから何言ってたかわからなかった。そのあと怒りの電話がかかってきている気がしたからとりあえず無視してきたけど……。

 改めてスマホを見てみるとすごい数の着信履歴……あ、半分お姉ちゃんだ……。

「そういえば何も考えてなかったけどまいちゃんって何もらったら喜ぶんだろ……」

「なんだろ……あの子なんでも基本喜ぶけど……」

「難しいなぁ……」

 難しいけど、直接聞くのはなんかダメな気がする……うーん……。

「……まいちゃんって何が好きなの?」

「あの子本が好きね、でも家ではゲームしてるし本読んでるところ見たことはないけど……でも小説は本棚いっぱいに置いてあるし……」

「1回入ったことあるけどそんなものあったっけ……?」

「さてはまいのクローゼットの中見たことないなぁ?」

 まいちゃんのクローゼット……???あの部屋にクローゼットなんかあった……?あの部屋にクローゼットなんか……。

「クローゼットなんか、あるのよ……実は……」

「……え?」

 あの色々ある部屋に?クローゼットなんか見たこともないのだけど……。後で聞いてみようかな?……答えてくれない気がするけど!まあ、クローゼットの話はとりあえず放置してからクリスマスに何あげるか決めることにした。のんびりしてたらまいちゃんに怒られる……。

「あーあ……私にも彼氏できないかなー……」

「陽菜ちゃんは好きな人居ないの?」

「居た……って言ったほうが正しいのかな。本当は好きな人が居たけどその人はもう苦手でね……」

「ほ~……それはもしかしなくても奏太君なのかな?そんなことはなさそうだけど……」

「奏太君は私の友達、そしてまいちゃんの片思い相手、狙うことなんかできないよ」

「真面目だねぇ……それは大切な友達を失いたくないから?」

「そうだねぇ、まいちゃんとの関係はもう6年とか……あれ、何年だ……?」

 わからなくなってしまったのだけど……あれ?でも今はプレゼント……うーん……。

「……大体事情はわかってきた。奏太君ではないけど、好きな人にはフラれちゃったんだね」

「……よくおわかりで」

「わかったから、とりあえずプレゼント決めて、今夜あげるんでしょ?」

「本当によくお分かりで……エスパーかなにか……?」

「顔見たらわかったの、ほら泣かずに行くよ」

「……はーい」

 おとなしく従うしかなかった。自然と出ていた涙を隠すためにも……。




「……おっそい……電車何本逃したと思ってるんだ……」

 結構イライラしてきた私、まいです。美幸姉ちゃんと陽菜ちゃん放置してもう映画見に行ってもいい気がするのだけど……そんなことを思っていたら見たことある二人の人影が見えてきた。帰ってきたのかなと思っていたら……美幸姉ちゃんと陽菜ちゃんだったけど、美幸姉ちゃんに陽菜ちゃんがおんぶされていた。

「あれれ……?あ!わかった!美幸姉ちゃんが陽菜ちゃん泣かしちゃった!!!!」

「ち、違うよ!いや、違わないけど……!」

「ほらほら!陽菜ちゃん泣かしたんだ!しーらない、私しーらない」

「ちょ、何々……!?」

「まいちゃんまいちゃん……大丈夫……」

 そんなことを言っていたからじーっとみていたけど本当みたい、でも泣かせたのはちょっと許せないなぁ……よし、わかった。

「美幸姉ちゃんはバイトのシフトまあまあ入れてるから貯金だってあるよね!じゃあ今日の晩御飯は焼肉食べ放題だ!」

「ちょっとぉ!?なんでなのぉ!?」

「いいじゃんいいじゃん姉ちゃんお金持ちなんだし!」

「まあ、中学生のあなたたちよりお金持ちだけども……!」

「じゃあ決定!陽菜ちゃん!おもいっきり遊ぼ!家には今日のこと伝えておくからさ!」

「急だなぁ……」

『いいけど別に……』と、小声で聞こえた気がするけど、聞かなかったことにしよう……?かな……?ちょっとすっきりしたような顔してるし、今は陽菜ちゃんと思いっきり遊ぶことが一番なのかな?そう思った私はちょっと今日は自由に遊んでみようと思った。やっぱりこの子は笑顔が一番だと思うし……そこからの行動は早かった。私はスマホを取り出すととあるところに電話をかける、その相手は……。

「あ、どうも東雲です!今日陽菜ちゃん一日借りて行っていいですか?」

『どうしたの急に……いいけども……じゃあ今日は晩御飯いらないのね?』

「そうですね~、うちのいとこが焼肉食べ放題おごってくれるみたいなので!」

「ちょっと!?本当に今のは聞き捨てならない!」

「そういうことなんで、いいですか?」

『もちろん!遊んでらっしゃい!』

「ありがとうございます!では!」

「まいちゃん……」

 気になったような感じでこっちを見つめてくる陽菜ちゃん、いつも騒がしいのに今日は本当におとなしい……なんかかわいい……でも!

「大丈夫!さっき陽菜ちゃんのお母さんに電話してみたけど遊んでらっしゃい!だってさ!」

「もう……お母さん……」

「もー……まい!あんたに半額請求するからね!?」

「あ、出世払いでお願いします」

「よろしい」

「……コントみたい」

 そういいながら笑っていた、なんだろ……本当に何かすっきりしているって感じが……うーん……本当になんだ?なにがあったの?多分二人で一緒にいるときに色々と話していたのだろうけど、私にはよくわからない。美幸姉ちゃんは相談員をやってるみたい、だから悩み事とかすぐに解決してくれるから……多分それで泣いちゃったのかもなぁ……ただの予想でしかないけど……でも……。

「……もう2時だよ」

「本当に!?」

「本当、どうする?予約の時間ずらす?」

「ずらせるならお願い……できれば5時にしてほしい……」

「りょーかい、美幸姉ちゃんもそれでいいかな?」

「あ、ごめん。予約してないからお願い!」

「はーい」

 そういうとスマホを取り出してから予約情報を見ていた。おなかすいたなぁ……。

「……いいところ空いてたからそこにしとくね」

「ちなみにそれってどこ?」

「……なんと、ちょっと上のど真ん中3席!」

「え、見やすいところじゃん……というかそんなことよりおひるごはん!」

「もーやっと気が付いてる……おなかすいて私死んでしまいそうだよ……」

 本当にお腹すいてたから行ったけどそういえば私おにぎり食べたんだった……そのことを思い出して二人のほうを見てみるとじーっとこっちを見ていた。うーん……これは恨まれてる顔だ……。

「まいちゃんはおにぎり食べてたのにね」

「そうだよそうだよ、私たち二人何も食べてないのよ」

「すいませんでした……もうさっさとごはん食べに行こ……時間すぎちゃう……」

 そのあともしばらくじーっとこっちを見ていたけど……『ポップコーンおごるからゆるして……』と言ったら機嫌を直してくれた、よかった……。

 駅に行ってみるとかなりの人が居た、そういえば今日日曜日だっけ……そういえばうちの学校絶対25日に終業式をやるって感じで今日が学校だったのだ。でも、この人の多さを見ると日曜日って感じがしてくる。それにしても寒い……。そして横を見てみるとじーっとこちらを見ている人が二人、なに……私の顔に変なものでもついていたのかな……とか思っていると陽菜ちゃんが口を開いた。

「まいちゃん、なんかよくわかんない顔してるんだけど……」

「よくわかんない顔……??」

「本当に色んな感情が混ざった顔してる。とりあえず映画見に行くんでしょ?今は忘れて楽しもうよ!」

 私何を考えていたんだろ……少し経った後にそのことはすっかりと頭の中からなくなっていてとりあえず遊ぼうという気持ちになってた。そこからの行動は早かった。何本乗り過ごしたかわからない電車に乗って3駅先のちょっと大きい町の駅で降りてごはんを食べに行った。途中で迷ってたどり着けるか心配になったけど……スマホがここで役になってくれた……さすがスマホ、文明の利器!

 お昼ごはんは……時間的にお昼じゃなかったけど……でも、ご飯はちゃんとおいしかった。時間ギリギリだったけど……。そして現在時刻3時半、あと1時間ぐらいは余裕あるけどどうしようかな……私あんまり動きたくないけどこの二人はまだ何か見たいらしく、どこかに行こうと話している……私抜きで!

「二人ともー、私抜きなの?」

「まいちゃんしんどそうだし……行きたくないんじゃない?」

「人の心を読むのがお上手で……」

「声と顔に出てるよ、本当にわかりやすいんだから……」

 感情に出やすいってことは知っていたけどここまでとは……感情任せに生きるのはだめだな。思った時には遅くてもう癖になってるのは言うまでもない。そんなことよりあと一時間どうにか時間つぶさないと……ふとスマホを見てみるととあるメッセージが来ていた、その内容を見てみると……あれ?

「ちょっと私用事できたから行ってくる、とりあえず20分前には映画館前にいるように調整するね」

 そういうと急ぎ足で二人から離れた。ちょっとした用事……とは言ったけど実際は今日陽菜ちゃんに渡すようのクリスマスプレゼント……実は結構前から用意していて……。

「マフラーかこれで迷っちゃったけどマフラー持ってた気がするし小説にしてよかったと思う……思うのだ……うん……」

 これでプレゼントは気持ちが大事っていうし大丈夫だと思ってるけど……うん……前からほしいって言ってたシリーズ全部で10巻……この日までに取り寄せてほしいって言ったらちゃんと当日にそろえてくれたみたい……本当に良かった……。

 そんなことを思いながらちょっとだけ急ぎ足で予約をしていた本屋へ向かうのだった。ちなみにこのころには手紙のことをすっかりと忘れてしまっていた。



 

「まいちゃん……どこ行ったんだろ……」

「聞いても答えてくれる可能性ゼロよ、時間つぶしに行こうよ。まいのことだからすぐ帰ってくると思うし」

 うーん……と思いながらも信じて待つことにしてみた。まいちゃんが言ってた時間まであと30分は余裕がある。プレゼントも買っちゃったしもうやることないし……どうしようかな?

「さーてと、ちょっとカフェに行こ、さっきの話を聞きたいし……ちょっと相談にも乗ってあげるよ」

「また泣かせる気なの!?」

「遠慮なく泣きなさいな」

 泣かせるの得意だなこの人……性格優しそうに見えて中身ちょっと性格悪いって感じの人かな本当に……色々あきらめてから私は二人でカフェに向かった。




 本屋によってから30分後、ちゃんと時間通りにこれた私は怒られることはなかった。でも……陽菜ちゃんにポップコーンおごらないといけないような気がして……嫌な予感がして後ろを見てみるとじーっとこっちを見ていた。うーん……うん、約束忘れてたらあとで怒られるやつだからちゃんとおごってあげよう……。私も食べたかったから一番大きいサイズを買って真ん中の人に持ってもらうことにした。そしてじゃんけんして私が真ん中になった……なってしまった……。

「まいちゃん持ってねちゃんと」

 途中で寝てしまってたら100%怒られるやつ……頑張って起きてないと……。そんなことを思いながら、三人並んで映画館の中に入っていった。映画の途中で寝ちゃうのは本当にやめたいけどものすごく眠くなってくるんだよね……1番見たかった映画でも……。終わったころにはもう眠気が限界を迎えていた。ポップコーンは両隣の二人がほとんど食べて私はあんまり食べていない。この後ご飯食べに行くのに大丈夫なのかな……。そんな私は眠気が限界を迎えて美幸姉ちゃんに抱っこされている。このまま寝ちゃいそうだけど、寝ちゃったら晩御飯食べれないから……。

「こらーまい!早く起きなさい!」

「んぇぇ……眠たい」

「まいちゃんが可愛い」

「おねむだったらいつもこんな感じだけど……しらなかった」

「見たことなかった」

 そんなにレアなのかな私が眠くなってるところは……めったに眠いって言わないからかもしれないけども……そんなことをぼーっとしながら考えていたらすごく私が好きなにおいがしはじめた気がする。これは夢?それとも現実?よくわからなくなっているような顔でもしてたんだろうね、また陽菜ちゃんがかおをのぞき込んできた。今日はおとなしいなぁ……。

「可愛い」

「それ言いたいだけだよね絶対に」

「えへへ」

 絶対に何かおかしい、これは絶対におかしい……もうほっといていいかな……。

「それで、何食べたいの二人とも」

「あ、私焼肉」

「論外、却下」

「じゃあ焼肉」

「だーかーらー!!!」

「知ってる、だからわざと言ってるの」

「もー……じゃあ焼肉行くか!」

「「え?」」

「何よ、まいに出世払いで半額請求するからいいよ」

「げ……そうなるとは思ってたけど食べ放題でお願い……」

「じゃあ私その半額まいちゃんに返す!」

「「優しすぎるでしょこの子……」」

 思わずかぶってしまった。前からそうだけども!

「じゃあもう食べに行こう!今日は美幸姉ちゃんのおごりだー!」

「もー……クリスマスにお金が飛んでいくとは思わなかった……」

「それは確かにそう」

 もういろいろ楽しくて……思わずみんなで笑っていた。本当に楽しいクリスマスになってよかったと思う。そのあとは一番近かった焼肉食べ放題のお店に行って二人で思いっきり食べていた。途中陽菜ちゃんが愚痴り始めたけど美幸姉ちゃんが泣かせた理由がわかって色々と考えることもあった。これは泣いてもいいって思えてしまった……。

 そして焼き肉屋を出ると外は真っ暗だった。中学生だけど美幸姉ちゃんが居るからある程度の時間は大丈夫みたい、だからこのままロッカーに預けておいた私からのプレゼントを取りに行くことにした。にしてもちょっと重い……小説10冊だから仕方ないけど……。

 そんなことを思いながら紙袋を持っていくとあっちからも紙袋をもってこっちに来ていた。……どゆこと?

「はい、毎年あげてるし今年もね。メリークリスマス!」

 そういって手渡してきた。中を見る前に……。

「私からも!ちょっと重いけど気を付けてね」

「え、なにこれ……って重っ!?」

「まいが怪力なのはいつものことよ……」

「お姉さま、怪力は余計ですわよ」

 余計なことをいう美幸姉ちゃんにはニコニコとしておいた。静かな殺気というものをね♡そしてそのあとは家に帰って行った。家に帰ったころにはもう8時頃だった。弟がお風呂に入っていて親はリビングでテレビを見ていた。私は『帰ったよー』って言ってから部屋に戻った。親には事前に事情を話していたから『おーん?いいもん食ってきたんだろ?』とか言われた。笑いながら……。そして部屋に入って思い出した。奏太君から手紙をもらっていたことを……やばい!!!

「て、手紙手紙……私のカバンの中……あった!!」

 裏に奏太と書いてある封筒、珍しくロウで封されていて……開けることすら緊張してしまう……。そんなこと気にしてたらダメだと思い、開いてみた。そしたら二枚の手紙が出てきた。二枚目のほうちらっと見えた気がしたけど何も見てないことにして一枚目を読んでみる。

『まいへ こういうのはちょっと苦手だけど、ちゃんと伝えないとなとは思ったから、手紙を書きました。勉強を教え始めてからもう5か月、6か月ぐらいは経つのかな?成績が悪かった君がどんどん成績よくなっていくのを見るのは本当に楽しかった。どんどん成績がよくなって、可愛い笑顔を見せてくれる。俺の癒しだったよ。それに関してはありがとう。ここからが本題だけど、よかったら……俺と付き合ってくれませんか?返事はいつものメッセージにお願いします。それではいい返事を期待してるよ』

 と、書いてあった。これって……告白なのですか……?気が付いたら私はスマホを手に取ってとある人に電話をかけていた。

『ハロハロー、さっきブリー」

「え、本当に陽南ちゃん……?」

 電話をかけたのはさっきまで遊んでいた陽南ちゃんだ。なんならこの人お風呂入ってるよね……。まあ、いつものことだから気になんかしてないけど!

『はいはい、まいちゃん大好き柊陽南だよぉ~、お風呂いただいておりまぁ~す!それより何か用事があって電話かけてきたんじゃないの?』

「あ、そうそう……奏太君に手紙貰ったって言ったじゃん?」

『あ、うんそれね、中身告白だったでしょ?』

「え……?」

 なんでこの人知ってるの……?って思ったけど、まさか……!

『私だよ、奏太君にアドバイスしたのは』

「どうして……?」

『あのねぇ……まい、あんたは私の親友、そして奏太君はお友達、そうでしょ?お友達の恋を応援しないのはどうかと思っちゃったし、ちゃんと応援して、結ばれてほしいなぁって思っちゃったからねぇ~。ちなみに私は別の人にフラれたばっかだからね!!!!そこんとこ忘れないように!!!!』

 元気だなぁ……かなり響いてるよ……。そのあとはいろいろ話した後、すっきりして色々と気持ちの整理ができたから電話を切ってから今度は奏太君に電話をかけることにした。緊張するなぁ……とか考えていたけど、意外とそんなことなかった。

「やっほー奏太君、ハロハロー」

『なんだよハロハローって……』

「いいじゃんいいじゃん♡今日ね~、色々楽しかったの!」

『ほー?まあ、今日は勉強放置してもいいから遊んどけ』

「それはそれ、これはこれ、数学教えてほしいなぁ~♡」

『なんだよ今日は……なんか甘え声で……』

「ん~、じゃあ返事返すよ今から」

『あ、そういう……どうぞ?』

 そういうと何かしていたみたいだけど、物音がしなくなった。こっちに集中したいのかな?

「んふふ、返事だけど、こんな私でよければ……よろしくお願いします!あと、私も奏太君の事好きでした!」

『え、まじ???』

「何、フラれると思ってたの?鈍感野郎」

 だけど……さ。

「だけどさ、こんな私ですが、これからよろしくお願いします!」

 これから、この人と付き合うんだ私……それが本当にうれしくてうれしくて、楽しみで……!!!!そんなことより陽南ちゃんに自慢しちゃお!

 そんなことを思いながら、カップルになって初めての通話を楽しんでいた。今はこれだけでも本当に幸せだよ!私!!!

最後まで読んでくださった方、飛ばした方、いらっしゃいますかね?

でもまあ、気に入ってもらえたら私はそれだけでうれしいです。誤字などはかなり見てないようにしているのですが、それでもヒューマンエラーというものはおこることなので、もしあったら申し訳ありません。報告いただけたらすぐに訂正しますね。

ちなみに、この小説のまいちゃん、奏太君、モデルがいます。まあ、今は連絡取り合っていない相方カップルなんですけどね、しかも別れちゃったとか話を聞いた気が……。

私も半年以上前に別れたまま新しい恋も見つけれぬまま、もうすぐ節目の歳になろうとしています……。この小説書いていて思ったことは、やっぱり恋人の存在が羨ましい!!!!と、いうことですね。


ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!雨宮瑞月あめみやみづきはこれからも活動していきますので気に行ってくださったら、応援お願いします!

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