表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死地天罰問う~転生してもいいことがあるわけじゃない~  作者: 愛猫私(あいびょうわたし)
第1章 王国反乱編
9/47

第9話

第九話 拾うもの


カイルは性能の違いを見せつけられていた。

レーティアの合成人形(ゴーレム)は、すごい。しかしながら、ミシェルの合成人形(ゴーレム)のほうが素人目からも高性能であった。

ボロボロになっていく自分によく似た合成人形(ゴーレム)が今後の未来を暗示しているかのようだった。

「そろそろ魔力も尽きて動かなくなってしまうんじゃないのかね。それは。」

「私とカイルはそんなに簡単に終わるような精神じゃありませんので。」

「それはそれは。結果が全てだ。過程はどうでもいい。私の合成人形(ゴーレム)を倒してから言ってほしいね。」

ミシェルの合成人形(ゴーレム)は近接攻撃を得意としていた。

魔法主体のレーティアの合成人形(ゴーレム)は、距離を取れず苦戦していた。

「『拒撃(リジェクト)』」

近距離で放った拳の一撃は、触れることなく衝撃波を放ち、レーティアの合成人形(ゴーレム)を吹き飛ばした。

ギリギリと関節の軋む音を立てゆっくりとした動作で起き上がるレーティアの合成人形(ゴーレム)

そこに、頭上から強烈なかかと落としが入った。

頭が割れ、眼球であろう部分をむき出しにしたレーティアの合成人形(ゴーレム)は、ガタガタと痙攣し横たわってしまった。

「これまでのようなのだよ。君も錬金術師であれば、わかるだろ。レベルの違いが。」

「そのようですね。でも、あなたも言ったように過程はどうでもいいんです。結果が全て!」

そういうと、レーティアがミシェルのほうへ走り出した。

「私を直接狙うのは、とても合理的ですが、乙のスピードに勝てるわけがないのだよ。」

レーティアとミシェルの間に割り込んだミシェルの合成人形(ゴーレム)が立ちはだかり、右手の手刀が一閃、レーティアを貫いた。


―――――


しかし、そこには半壊したカイル似の合成人形(ゴーレム)がその手刀を胸に受けながらも、ミシェルの合成人形(ゴーレム)の腕を押さえつけていた。

「あなたに戦闘力はないでしょう。この合成人形(ゴーレム)を破壊できれば私たちの勝ちです!」

レーティアがそういうと、カイル似の合成人形(ゴーレム)の背中に手を当てた。

レーティア自身の魔力を流し込み、合成人形(ゴーレム)が魔法を放った。

「『イグニス!』」

合成人形(ゴーレム)を中心に炎の大きなドームができた。それはレーティアもろとも飲み込み、徐々に収縮していく。遠くで見ていたカイルにもその熱量が尋常ではないことが分かった。チリチリと空気が音を立てて燃えていく。

すると、急激に温度が下がったのを感じた。

炎のドームは消え、そこには煙を上げながらも立っていたレーティアがいた。

合成人形(ゴーレム)はともに黒く塊に溶け合い、形を成していなかった。

「はぁ…。はぁ。」

直前にマジックアイテムで防御したが、それを通り越したダメージをレーティアは負った。

喉の奥が焼け呼吸をするのも一苦労のレーティアは、カイルのほうを見た。

カイルが駆け寄ると、どさりとその場に倒れこんだレーティア。ぜえぜえと呼吸のままならない状態で、かなり危険な状態だった。

皮膚のところどころはただれ、痛々しくなっていた。

「レーティア!しっかりして!」

「あっあ…。」

口をパクパクあけ、何かを言っているレーティア。

「あ、ぶ…な。」

カイルは何かの衝撃で吹き飛ばされた。

「自爆覚悟の一撃は、想定の範囲内なのだよ。しかし、危なかったのだよ。」

カイルに蹴りを入れたミシェルが堂々と立っていた。

「私の合成人形(ゴーレム)を壊せるなんてすごいのだよ。レーティア。よくここまで成長してくれた。お礼に私の極致を見せよう。」


レーティアに近づき、胸に手を当てたミシェルが言った。

「『合成人形(ゴーレム)・丙』」

レーティアの体を媒介にした合成人形(ゴーレム)がだらりとその場に立ち上がった。

「レーティア!」

血を吐く勢いでカイルは叫んだ。レーティアは、カイルを守りミシェルの手で合成人形(ゴーレム)になった。


――――――



 

 愛猫私です。ここまで読んでいただいてありがとうございます。

 王国反乱編も中盤を過ぎ展開がどんどん早くなっていますが、更新もギアを上げて行っていきます。

 良かったら感想やいいねなどしていただけると、今後の励みになりますのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ