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死地天罰問う~転生してもいいことがあるわけじゃない~  作者: 愛猫私(あいびょうわたし)
第1章 王国反乱編
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第8話

第八話  協調


「逃げるんだ…。」

胸を貫かれた教師が口から血の泡を吹きながら言った。

バチバチと音を立て動かなくなった合成人形(ゴーレム)と相打ちになったまま両者とも動かなくなった。

ほとんど無傷のもう一体の合成人形(ゴーレム)とラヲハとヴェネロペが戦っていた。

前線はラヲハ。後衛はヴェネロペという布陣で明らかに傷の多いラヲハは自分が高揚しているため痛みを感じていないことに気づく。『熱喰』の効果は、自分の体温を上げ肉体の強化を行うものであり、体温が高ければ高いほど効果が上がるというもの。痛みを遮断する効果はない。

「これはやべぇな。『熱喰(ねつぐらい)』に痛みをとる効果なんてないんだけどよお。」

合成人形(ゴーレム)の突進に反応が遅れるラヲハの前に土の障壁が出来る。

「ラヲハ君大丈夫ですか?」

「あぁ。なんとかな。」

「ガンバッタラムクワレルトカナントカ!」

「なんかいちいちうざいことをぬかしてくるな、あいつ。」

「ラヲハ君どうしよう。私たちじゃ勝てないよ。」

「やるしかないんだよ!弱音吐くな!そのために訓練してたんだろ!」

すると、ラヲハの語気に杖を握る手に力が入ったヴェネロペが言った。

「ラヲハ君の『熱喰』に私の魔法を重ねたらどうかな?」

「俺ごと燃やすのはやめてくれよ。そんな繊細なコントロールできるか?」

「やるしかないんでしょ?」

「そうだな!信じてるぜ!ヴェネロペ!」


そういうと、ラヲハがさらに一歩前に前進した。

後ろでヴェネロペが魔法を唱えた。

「『火源の(ファイアソーススタチュー)!』」

『火源の(ファイアソーススタチュー)』は、5体の火の像を相手に突進させる魔法だが、それをラヲハの周りに出現させ中央にいるラヲハの周りの温度を急激に上げた。

やけつく熱にラヲハ自身が燃え尽きてしまうほどの熱量だが、『熱喰』のおかげで耐えている。

「熱すぎるけど、まだまだあ!」

「アツクテムサクルシイ!」

ラヲハは、灼熱の像と一緒に合成人形(ゴーレム)へ突進した。

右手を差し込んできた合成人形(ゴーレム)の攻撃を一体の像が受け止め相殺する。

ラヲハの一撃を左腕で受け止めた合成人形(ゴーレム)だったが、パワーで圧倒され裂傷が走る。

「イリョクがアガッテイル!ムサクルシイ!」

低い姿勢から遠心力を込めた蹴りがラヲハの腹を翳める。それと同時に距離を取った合成人形(ゴーレム)が四つん這いになり、大きく口を開け、光を集めている。

「まずい!ヴェネロペ!」

「『魔天炉の(マテンロウ)』」

直線的な光線はラヲハ目掛けて高速で飛んできた。すぐさまヴェネロペが二体の火の像を盾にする。衝突した像は跡形もなく消え、さらにラヲハの右肩を貫いた。

「ラヲハ君!」

「キドウガズレマシタ!アノオンナジャマデスネ!」

残り2体の火の像がラヲハの前に立ち、しゃがんでいるラヲハを守っている。

「ぐっ!」

片膝をつき右肩を抑えるラヲハ。額から脂汗をだし必死で耐えていた。擦り傷や打撲の痛みなら高揚感で打ち消せたが、肩を貫かれたのだ。耐え難い痛みに歯を食いしばっていた。



――――――




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