第7話
第七話 姉妹
金属と金属がぶつかりあう音が聞こえる。
ここは王国内の北西にある広場。コロンと『乙』と記載された合成人形が戦っている。
「オミゴト!ハヤスギテミエマセン!」
「褒められても嬉しくないのです!」
コロンは、瞬間移動を繰り返しナイフを合成人形に突き刺していく。
しかし、合成人形の硬度が高いためまったく傷をつけることができない。
「カンセツハイタイ!ヤメテ!ヨシテ!サワラナイデ!」
大きく腕を振るう合成人形の攻撃を瞬間移動でよけていく。
コロンは闇属性の適性があり、短い距離の瞬間移動ができる。ナイフを使い暗殺するのを得意としているが、対人間戦ではないため苦戦している。
この広場には、カランの姿がない。
「姉様の手を煩わせるわけにはいかないのです。」
「アネサマイナイ!ヨワイカライナイ!」
「姉様を侮辱するな!」
「オマエノコウゲキトオラナイ!オマエモヨワイ!」
「だから剣術を学んだんのです!」
「『影突針』」
瞬間移動を繰り返し、高速で前進し続け加速していくコロン。
大きく手を広げ、身構える合成人形。
「戦いはいつもズルいほうが勝つのです。」
突進したコロンのナイフが合成人形に触れる瞬間、コロンは合成人形の背後に瞬間移動した。勢いそのままナイフを背中に叩き込んだ。
「グワア。」
メキメキと音を立て吹き飛ばされ家屋に吹き飛ばされた合成人形が呻きを上げた。
肩で息をしているコロンは、手ごたえを感じていた。
「渾身の一撃なのです。はぁはぁ。」
大量の魔力と剣術の組み合わせで、消耗しているコロンをよそに、むくっと起き上がる合成人形。背中には大きな裂傷が出来ていたが致命傷ではなかった。
「コンシンノイチゲキハ、サイゴノイチゲキ。」
コロンが茫然としていると、耳元でカランの声が聞こえた。
「コロン。そいつを招待しなさい。」
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