第43話
第四参話 ラヲハと魔王
ヨウとギルニアの開戦と同時刻。ラヲハは、魔王ニブルスと相対していた。
「君はカイルのお友達だね。はるばる来てくれてありがとうと言いたいところだけど、僕は今虫の居所が悪くてね。なんでだかわかるかな?」
「そんなの知ったことかよ。カイルはどこだ!」
「カイルを追いやったのは人間だろ?自分勝手に今度は迎えに来たと?なんて傲慢なんだ。」
「カイルは俺の友達だ。そばにいてやりてぇ存在なんだ。誰が何を言おうと連れていく。」
「威勢はいいね。けど、カイルはここにはいない。それと連れて帰る場所も僕が破壊する。」
「は?何言ってやがる。」
「君はそこにいてていいよ。僕は王国を滅ぼしてくるから。」
「な!?」
そういうと、ニブルスは、出現した扉の向こうへ行ってしまった。
――――
ラヲハがきょとんとしていると、唐突に壁が爆発し何かが飛び込んできた。
「そこで何をしてるんだラヲハ。」
そこに飛び込んできたのは、カイルだった。
――――
そのころ、王国の上空。
「本当に人間のやることは理解できないな。なぜ勝てないとわかっているのに戦おうとする。なんで争うことしか考えてない。カイルは、もはや人間じゃない。こっち側なんだ。帰る場所は、僕が消しておくよ。カイル、これから先は僕が側にいる。…『メテオ』」
ニブルスが唱えた魔法は、はるか上空、天空の彼方から地獄を運んできた。
燃えた岩石の塊は、轟音とともに空から降ってきた。
王国の都を覆うほどの巨大な隕石は、そこに住まう人たちに逃げる時間も与えず、衝突した。
衝撃波は視覚できるほど周りに広がり、地面をめくり辺りを荒野に変えていく。
フォートラン王国は、ニブルスの魔法で一瞬にしてこの世界から消え去った。
「そういえばDr.ストレンジラブは、生きているみたいだね。よかった。他はどうかな…。さて、カイルはこの先どうするかな。」




