表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死地天罰問う~転生してもいいことがあるわけじゃない~  作者: 愛猫私(あいびょうわたし)
第3章 魔城激突編
40/47

第40話

第四十話 絶命


傷だらけの体を引きずりコロンの下へ急ぐカランだった。

コロンは老鬼と戦っているはず。実力的には明らかにコロンが不利の状態であることはわかっていた。

カランの加勢を待っているはずと、カランは急いだ。


開けた広間の中央に、コロンが茫然と立っている。老鬼の姿はない。

「コロン!」

カランはコロンの下へ駆け寄るが返事がない。というよりも放心状態というべきか。何にしろ生を感じない。

カランがノワールと戦っている同刻、コロンと老鬼の戦いにまで遡る。

――――


「小童にしては、やると思っとった。じゃがその程度じゃまだまだじゃのぉ。」

ナイフも届かず、ひらりと躱されるだけの戦いだったが、消耗しているのは明らかにコロンであった。

「はぁ、はぁ。まったく当たらないのです。」

「そらそうじゃろうて、ただ遅いんじゃ。速さこそ剣の神髄。姑息な手ほど読みやすいものはないんじゃて。」

瞬間移動からの奇襲は全く通用しない老鬼相手に苦戦を強いられていたコロンだった。

「わしがお主に手ほどきする理由はないのじゃからこの辺で終わりにするかのぉ。」

『「虚空」』

老鬼は刀に手を添えた。見えたのはそれだけ。コロンは切られていた。

「がっ!?」

おびただしい量の鮮血を吹き出し、体温が奪われていくのを感じるコロンは、その場に倒れガタガタと震えだし、絶命した。

「一瞬じゃのぉ。」

老鬼がそういったのが聞こえた瞬間、コロンはふと老鬼の横に立っていることに気が付いた。

「え?」

「なんじゃ?」

二人とも理解しえない状況に戸惑いを隠せない。今明らかにコロンは斬殺された。しかし、生きて立っている。先ほどまで倒れていたところには何もない。

すると、コロンが急に息を荒くし膝をついた。

「がっ、はぁ、はぁ…。」

コロンは、たった今死んだ現象を追体験したのだった。身体が痺れ、絶命するその瞬間を。

しかし、生きている。

「斬撃の耐性じゃないようじゃな。」

老鬼の追撃に辛うじて瞬間移動で回避したコロン。一度死んだという状態は心を抉り戦える状態ではなくした。

死して発動する影纏いの能力だった。

絶命した時、瞬時に蘇生する。というシンプルな能力。しかし、死の苦痛を追体験し、心を蝕んでいく。コロンは理解した。老鬼との技量の差を埋めるためには、この能力を使わざるを得ないと。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ