表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死地天罰問う~転生してもいいことがあるわけじゃない~  作者: 愛猫私(あいびょうわたし)
第2章 各々の成長編
34/47

第34話

第参四話 カオス・エンド


 カオス・エンドには、いろいろな魔族や魔物がたくさん生活している。その中には人間族も混じっている。しかし、差別は激しく、なんの伝手もなければ生きていくことはできない。

このカオス・エンドにいる魔族や魔物たちは、戦闘になれば魔城からの指示をうけ、全員が戦闘員になるようになっている。町全体が兵隊のような役割を持っている。

カイルは、カオス・エンドに四天王たちと何度も来たことがある。街全体とは言わないが主要な場所は覚えているし、人間族だとしても魔城から来た人間族として差別を受けることもない。

カオス・エンドにいれば、選抜隊と合流できるのではないかと考えていたカイルは、街一番の宿屋に宿泊していた。

「あの店主さん。この街に人間族の一団が来たって話を聞きませんでした?」

「あぁん?そんな奴らが来たら一瞬でぼこぼこだろうよ。」

「まぁそうなると思いますが、じゃあまだ来ていないってことなんだぁ。」

「お前さん、魔城に住んでる人間族だろ?なんでこんなところに一人でいるんだ?」

「ちょっと僕に来客がくるので、それを迎えに来たんです。だから余計な戦闘とかしてほしくないんですよ。」

「ははは。そりゃあ無理だ。ニブルス様から戦闘準備の指示が出ているからな。お前さんのいう来客は、ここに到達する前に死んでるだろうよ。」

「お願いです。もし、僕が先にその人間族と合流出来たらこの部屋で少しだけ話をさせてくれませんか?」

「それがばれたら俺が殺されちまう。人間族が進軍してきてるんだろ?それを庇う義理が俺にはねぇ。」

「そこをなんとか!お願いします。」

「うーん。わかった。すこしの間だけだ。終わったらすぐ出て行ってもらう。いいな。」

「ありがとうございます。」


カイルはお礼をすると、自室にもどり魔法を唱えた。

「『(サークル)』」

自然魔力に干渉した索敵用の魔法を使った。この街中にいる数多の生物を認識して判別する魔法。

複数の人間族が集まっているところを捉えた。しかし、小さい魔力しか感じられないので、選抜隊ではないとわかった。すると、その小さな魔力が次々と消えていく。そう殺されているのだ。

カイルは術を解き、人間族の救出へ向かった。


―――――

 「ひ弱な人間族は、少し小突いただけで死んじまう。」

 「やめてくれ。俺は商人だ。ここで人間族の商品を売って生きてる。命だけは取らないでくれ。」

 「知ってるさ。なんせ俺はお前の店の常連なんだから。だがな、人間族が進軍してきていると報告があったんだ。手引きしているのがお前じゃないという証拠はあるのか?」

 「そんなの知らない!俺には関係ないことだ!」

 「だから、証拠はあるのか?そう言い切れる根拠があるのか?」

 「…。長年ここに住んで商人をやっているのは、お前も知っているだろう?勘弁してくれよ。」

 「長い付き合いだが、人間族と魔族なんてそんなもんだ。疑わしきは罰せよ。」

 「やめてくれ!」

 短剣を振り下ろす瞬間、魔法障壁が人間族を守った。

 「ああん?」

 「野蛮なのはどちらのほうかな。」

 そこには、ぼろぼろのフードをかぶって変装していたフィリッツがいた。

 「貴重な人間族の情報源だ。死守させてもらう。」

 「まさかお前たち!」

 そういうと魔族はぐしゃりと血だまりとかした。

 「血だまりとか死体とか隠すのめんどくさいな。」

 「隠密で行動しないと意味がないので、派手な一撃は止めてください。」

 ヨウとフィリッツがしゃべっている。

 「あんた大丈夫か?」

 「は、はい。ありがとうございます。あなた方はもしかして、さっきの魔族が言っていた…。」

 「内緒な。」

 口に指を当てたヨウが言った。

 「そんなことより、魔城の位置とこいつを知らないか?」

 「魔城はこのカオス・エンドを抜けた先にあります。この方はニブルス様や四天王と一緒にいた方ですね。人間族なのでここらでは有名な方のはずですよ。」

 「どこにいるかわかるか?」

 「すみません。そこまでは…。」

 「そうか、なら魔城に直接行く方が速そうだな。」

 「ここらの者は人間族に容赦ないので、気づかれないようにしてください。」

 「おう、ありがとよ。」

 ヨウたち一行は、魔城を目指すことにした。


―――――

 遅れてやってきたのはカイルだった。

「あれ?確かこの辺りだったと思うんだけど。何もないな。というかこの広いカオス・エンドでみんなと合流できるほど甘くないよね。魔城にいたほうが良かったかな…。」

 「あの。あなたは魔城に住む人間族の方ですよね?」

 「そうですけど。」

 「先ほど私を助けてくれた方たちが探しておられました。」

 「え?それでどこへ行ったんですか?」

 「魔城に行くと…。」

 「な、行き違いになっちゃったのか。どれくらい前の話ですか?」

 「どうでしょう。一時間くらい前の話でしょうか。」

 「なら間に合うかも!ありがとう!」

 「人間族の好ですから。あと、助けてもらいましたからね。」

 

カイルは魔城に続く道を急いだ。

 「厳戒態勢のなかこの大通りを堂々と通るわけないか。魔城に戻るにしてもなんて言って帰ればいいんだろう。」

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ