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死地天罰問う~転生してもいいことがあるわけじゃない~  作者: 愛猫私(あいびょうわたし)
第2章 各々の成長編
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第28話

弐八話 真剣勝負


「ぐああああ。」

炎を操っていた術者が業火に焼かれた。フィリッツは魔法を跳ね返したというより、吸い込み別の場所に移動させたのである。

「『大回復(キュア・ヒーリング)』」

光の属性を操る魔術師が、回復魔法を唱えた。

「す、すまない。助かった。」

「いや、大丈夫だ。しかし、フィリッツ様が手を出すとなると、我々も死ぬ気でやらないと勝てんな。」

「魔法よりもゴーレムのような物理攻撃が有効だと考えますが。」

「確かに、今のところ有効打はそれしかないな。では、死ぬ気で行くぞ。」

「『七乗の天使(エンジェルズ・セブン)』」

空から七つの光の筋が下りてきた。そこには、半透明であるが天使を象ったゴーレムが7体いた。

「ほう。そこまでの魔法を隠していたのか。やるな。」

フィリッツが感心していると、氷を操っていた魔術師がさらに魔法を唱えた。

「『銀世界(アイス・ワールド)』」

一面が真っ白になり、空気中にはダイアモンドダストが舞い、辺り一面がキラキラとし始めた。

「光の世界へようこそ。二つの魔法の合成技。フィールドによるアドバンテージを得ましたよ。」

得意げに光を操る魔術師が言った。

「さて、どうする?私はカランを守ることに専念するので、それ以外はお前たち3人で突破してもらう。」

「頑張るのです!」

「私はいつも通りやるまでね。」

「さっきみたいに突っ込むだけのことだけはやめてくれよ。」

各々が臨戦態勢に入ると、先手を切ったのはやはりコロンだった。

「『黒生(こくじょう)影纏い』」

コロンは忍者のような黒装束を身にまとって、黒い靄に包まれている。

「へぇ。すごいわね。というか格好いい。」

リーグが見惚れている。

「アカデミー生なのにそれほどの魔力を纏えるなんてすごいじゃないか。」

シルバーも驚いていた。

「それならこれはどうかな?コロンこれを使うといいよ。『銀色の聖武器(シルバーズ・コレクション)』」

シルバーが魔法を唱えた。すると、銀色のいろいろな武器がくるくるとコロンの周りを回り始めた。

「ありがとうございますなのです。」

「じゃあ、私は氷の魔術師を相手するから、大将はお願いね。」

「んじゃあ、俺は炎か。攻撃手段はコロンに貸してるから、どうしようかな。」

「選抜隊に選ばれなかったからと言って弱いわけじゃないからな!行くぞ!」

そういうと光の天使たちが一斉にこちらに向かってきた。

コロンが瞬間移動で天使たちの前に立ちはだかる。天使たちの構えた光の剣が振り下ろされるが、手に持ったナイフで華麗に弾いている。

「そんなナイフでは天使たちに傷もつけられないぞ。」

「借りた武器の火力を信じるのです。」

そういうと、コロンは銀の武器の中からハンマーを選んだ。

「えいなのです!」

振り下ろしたハンマーが一体の天使に直撃した。すると天使は、ぐしゃぐしゃと潰れ光の泡となって消えてしまった。

「一撃だと!?」

「あ、コロン。そのハンマーがその武器たちのなかで、最高火力で一回しか使えないよ。」

シルバーが炎の魔術師と交戦中にコロンに向かっていった。

そういうと、コロンが手に持っていたハンマーがボロボロと崩れて消え去ってしまった。

「え?そういうのは早く言って欲しいのです。」


――――――

 

 カランは、戦況がどうなるかをただ見守っていた。

 「カラン。お前の力は強力だ。しかし、お前には、まだ戦える力があるのか?無いようならメンバーの入れ替えも考えなきゃいけない。」

 「一応、あるわ。でも、ここでは使えない。使えば、必ず一人は無力化できてしまうもの。」

 「なるほどな。まだ見ぬ力がお前にはあると…。」

 「魔王に届く力だと思っているわ。こんなところで使うような技じゃない。私はこれでいいのよ。」


――――――


 「行け!氷像の人形(アイス・ゴーレム)!周りの氷たちも集え!」

 そういうと、氷のゴーレムの腕は一段と大きくなり、さらには身体が馬のように変形した。

 リーグは、それを見て舌打ちをした。

 「パワーと機動力を上げてきたってわけね。さらにこの足場の悪い環境…。さいあく。寒いし。」

 振り下ろされる剛腕を高速で避けているが、飛び散った氷の破片がリーグを傷つける。

 「寒くて傷口がジンジンしてくる。環境を変える魔法もここまでくると厄介だわ。もういい加減吹き飛ばそう。」

 そういうと、リーグの周りに大きな魔法陣が出現した。

 「そうはさせない!氷像の人形(アイス・ゴーレム)!さらに大氷塊(ロック・アイス)!」

 ゴーレムの剛腕と巨大な氷の塊が頭上に落とされた。

「ジュワアアアア」

 とてつもない湯けむりを立てながら、一瞬で溶けていく氷の塊たち。リーグの周りの魔法陣は灼熱を纏っていた。

 「最初から切り札を出して一撃で倒すのが一番いいわよね。吹き飛べ!『大爆発(エクスプロージョン)』」

 とてつもない爆発がゴーレムとその術者を吹き飛ばした。ゴーレムは粉々になり、さらにはその爆発の熱で辺りの氷も一瞬で蒸発していった。

 「試合場の半分くらいが粉々になっちゃった。」

 リーグが舌を出して、にこやかにフィリッツのほうを見た。フィリッツは、やれやれという顔をしていた。


――――――

 

 「びっくりしたなぁ。巻き添えにする気か。」

 爆発の瓦礫から自分の身を守ったシルバーが言った。

 「よそ見をしている余裕がどこにある!『火球連弾(マス・ファイアー・ボール)』」

 シルバーは火球の連弾を銀色の盾で防いでいる。

 「攻撃は防げるけどこの熱は厄介だな。防戦一方だと辛いな。こりゃあ、相性が悪いな。」

 熱のこもった空気に嫌気をさしながらシルバーはため息をついた。

 「あの盾ごと貫いてやる『炎の(ファイアー・ジャベリン)』」

 炎の槍は一直線にシルバーの盾に向かい着弾した。ぎりぎりと音を立て防いでいるシルバーだった。

 「暑い。暑すぎる!くそっ!もう魔力なんて知るか!『銀色の騎士(シルバーナイト)』」

 シルバーの盾がところどころが光の粒となり、収束していく。

 その光は、やがて一人の騎士を形作った。シルバーの周りには小さくなった銀の盾が浮遊している。

 銀色の騎士は、腰に携えていた剣を引き抜き、構えた。

 「金属の鎧など意味がないぞ。炎の熱からは逃げられない『龍の息吹(ドラゴニック・ファイア)』」

 ガスバーナーのような高温の火柱が一直線に発せられた。一瞬で銀色の騎士を呑み込んだ。

 「上だよ!」

 その言葉に気づいた魔術師が空を見上げた。銀色の騎士は空高く飛び上がり、剣を振りかぶっている。

 「金属なら一瞬で溶かすほどの火力だぞ。どうやって!?」

 「盾だよ。この騎士は、盾と自分の居場所を入れ替えられるんだ。どうだ簡単だろ。俺が上空に飛ばして避けたんだよ。」

 「なっ!なら、そのまま本体を狙うまで!行け!『龍の息吹(ドラゴニック・ファイア)』」

 高温の炎の筋はシルバーに向かって迫ってきた。

 「言い忘れてた。俺は銀色の騎士と場所を入れ替えられるんだ。」

 空中にいた銀色の騎士と自分の位置を入れ替え、自分の腰についた剣を抜き、そのまま剣を振り下ろした。

 どさり、と尻もちをついた魔術師の首に剣が沿われていた。

 「これで終わりだな。」

 「魔術師なのに近接で終わるなんて。金属を操るなら岩属性だろ。」

 「俺は光属性の魔術師だ。勘違いするな。手の内が見えやすい炎は使い勝手が悪いな。暑いのは苦手だったから戦いにくかったけどな。」

 「ふぅ。参ったよ。」


―――――


コロンの前には、いまだに4体の天使が立ちはだかっていた。

シルバーから借りた武器たちも使い果たし、残りは自分の持っているナイフだけだった。

「さすがに魔法団の精鋭はきついのです。しかし、その上をいかなければ意味がないのです。」

「心意気は十分だが魔法の内容はおろそかだな。身体を強化する魔法なら剣術のほうがいいんじゃないか?」

「私は魔法使いなのです。魔を操る者なのです。それとあたなと相対する闇属性の使い手なのです。私は影なのです。」

「まあ。試合と言っているが、ここで本気を出さねば、魔王軍に勝てるわけがない。私も出し惜しみなどしない。行くぞ。『光の(シャイニング・ベル)』」

大きな金色の鐘が天使の頭上に現れた。鐘が鳴り重たく澄んだ音が響くと天使の頭の環が強く輝き始めた。どうやらバフ効果があるようだ。

「一斉に確実に仕留めろ!」

「コロンも行くのです。『影変身:達磨蛙』」

一斉に振り下ろされた光の剣がぶよぶよしたものを切ることが出来ずに途中で止まった。

そこには、黒い靄が、巨大な赤黒く真ん丸な蛙に姿を変えていた。その蛙の皮膚が盾となり、天使たちの攻撃を受けきっていた。

「なんだ!?」

「トードの胃袋は無限の胃袋なのです!」

そういうと、はじき返した天使の一体に目掛け舌を伸ばした。その口の中はまるで宇宙のようになっておりなんでも吸い込みそうな勢いであった。

長く伸びた舌は、一体の天使を絡めとり、口へと運び丸のみにしてしまった。

「標的が大きくなっただけじゃないか!くらえ!『光の砲撃(シャイニング・カノン)』」

3体の天使と術者が光線を放った。それは致命傷ではないが蛙の皮膚を焼いた。

「蛙に触ると毒があるのですよ。知っていましたか?」

そういうと、蛙が風船のように膨れ上がり爆発した。そこからどす黒い煙状の毒が散布された。

「くそ。大量の煙だ。『解毒(キュアポイズン)』ゲホゲホッ。くそ、霧がかっていて何も見えない。」

「終わりなのです。」

と、魔術師は後ろからスッと首にナイフを突きつけられた。

「な、蛙自体が本体じゃなかったのか!?」

「あれは私が作った影魔法なのです。本体は最初から隙を伺って瞬間移動して近づいていたのです。」

「くそ、悔しいが私の負けだ。」

「そこまでだ!」

フィリッツが大きな声で叫んだ。



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