第10話
第壱拾話 カランの部屋
「コロン。そいつを招待しなさい。」
耳元で聞こえたカランの声に、コロンが応じた。
「姉様申し訳ございません。お手を煩わせるのです。」
そういうと、瞬間移動で合成人形の背後をとり、背中に触れ二人とも瞬時に消えた。
「どういうつもりなのかしら?」
「…!?」
鮮やかな赤色をした椅子に座り腕を組み、ふんぞり返っているカランがいた。
「ココハ!?」
合成人形が周りを見渡すと、色とりどりのタイルで敷き詰められた部屋の中にいた。そこには、大きなテディベアやお菓子、おしゃれな服などがおいてあり、戦場には似つかわしくない子ども部屋みたいなところだった。
「私の妹に倒されないなんて生意気だわ。」
「オマエノイモウトガヨワイダケ!」
「妹を侮辱するのは許さないわ。頭を地面につけて謝罪しなさい。」
ガコンと音ともに、合成人形が膝と頭を床につけ土下座をした。
「ナ!?ウゴケナイ!?」
「私には関係のないことだけど、あなた達は何が目的?」
「フン?ワタシハ合成人形ナノダカラ、シンデモイウワケナイダロ!」
「あら、そう。じゃあ死になさい。」
そうカランが言うと、メキメキと合成人形は体が圧縮し始め、あっという間に小さい塊になって床に転がってしまった。
『カランの部屋』は、彼女自身の魔力で作り上げた異空間上の部屋である。この部屋の中では、すべてカランの思い通りになり、実現される。しかし、この部屋に誰かを連れてこられるのは、コロンしかできない。ゆえにコロンが鍵であり、コロンがいなければカランとコロン以外の誰も入ることができない。
「姉様はやっぱり最強なのです。」
「コロンがいるから最強なのよ。」
誰もが苦戦していた合成人形をたやすく撃破したカランは、部屋の中でコロンと紅茶を飲みだした。
「外は騒々しいみたいだけど、私はもう疲れたわ。お茶でもしていましょ。」
「姉様。私は一応みんなが心配なのです。」
「コロンもボロボロじゃない。行って何ができるわけでもないでしょ。」
「…。そうなのですが、優雅にお茶を飲んでいるわけにもいかないのです。」
「自分よりも強いとわかれば戦わないで逃げるのが当然よ。戦いとは感情論ではなく、実力が全て。負けたくないって気持ちだけで勝てるなんて、実力が拮抗しているときだけ。」
「…。おっしゃる通りだと思うのです。ですが!逃げるにしても戦うにしても私の力は、役に立つと思うのです!」
「絶対にダメよ。コロンがいなければ私の能力は意味をなさなくなる。亡くなったものは、救えない。だからこそ、判断を間違ってはいけないの。」
「…。わかったのです。」
「偉い子ね。」
そういうと、カランは静かにお茶をすすった。
コロンはその場で、体育座りをし、静かにうつむいた。
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