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プロローグ
拝啓 人類へ
ざまあみろ。
敬具
はて、差出人はどなたでしょうか? 神、地球、虐げられた動植物たち、敬具さん……心当たりが多すぎて判別がつきません。推理を挟むとおそらく相当の恨みがあり、関係が深かったと推測されます。人類の繁栄の下で見えない、もしくは目をそらしていた被害を受けていた生きとし生けるもの誰でもです。
さて、名推理も一段落したところで返信を考えなければいけません。宛名は誰かさんでいいとして、差出人はどうましょう。人類代表を選出するには有史以来、社会の分断とかが忙しくてまとまりそうにありませんし、何より今は時期が悪いです。
人類は長い日曜日に入っており、一通の手紙を返信することも億劫なのです。
そういえば唯一勤勉に働いている人類がいました。色々押し付けるにはちょうどいい人選です。
――人間鑑定士、とくに彼女なら文句を言いながらやってくれるでしょ。内容はおそらくこんな感じで。
拝啓 誰かさん
おしっしゃるとおりで。
人間鑑定士 敬具
はてさて、終末時計は人類が凋落し始めた頃から時を刻み始めました。