俺とあなたの時計。
やっぱり1000文字って難しいです。
まとめるのが下手ですみません。
念のためR15にしてあります。
楽しんでいただけると幸いです。
俺はお隣の咲姉ちゃんが好きだ。
親同士の仲が良かったから幼い時から自然と一緒にいて、俺はいつも姉ちゃんの背中を追っていた。
姉ちゃんといると楽しい、姉ちゃんが笑うと嬉しい。
それが恋だと気付いた俺は、もう素直に気持ちを伝えられる程幼くはなかった。
どんなに想っても縮まらない年の差。
どんなに背が伸びても届かない姉ちゃんの時計の針。
諦めようと思えば思うほど、その想いは大きくなっていった。
―そして俺は今、ベッドに座る姉ちゃんを見下ろしている。
1週間前、母に旅行の予定を聞かされてから俺は眠れなかった。
親たちがいない間、食事は2人でとるように言われたのだ。
自分の気持ちに気付いた今、2人きりなんて食事すら耐えられない!と断ろうとしたが、
『そうね、咲ちゃんもデートの約束があるかもね。』
という母の言葉で俺はすぐに前言を撤回した。
諦めるべき恋でも他の男の邪魔はしたいんだ。
そんなわけで俺は姉ちゃんと大好物のオムライスを食べていた。
「ごめんね、ご飯作るとか言いながら買い物忘れてて。」
その言葉に俺はちょっとがっかりする。
大好きなものを覚えててくれたのかな?って期待してたから。
「全然!凄く美味しい。」
「本当?よかった。」
姉ちゃんの笑顔に『やっぱり好きだな。』って思う。
この時間がずっと続いて欲しいと願いながら食事を終える頃、外は雨になっていた。
「降ってきたね。片付けはいいから早く帰っちゃいなよ。」
「いや、でも…。」
「いいから。雨が弱いうちに、ね?」
急かすような雨にイラッとしながら靴を履いた俺は大変なことに気付く。
「姉ちゃん、俺。母ちゃんから鍵もらうの忘れてた…。」
『昔はよくお泊まりしたもんね。』と姉ちゃんは笑い、忘年会でもらったという下着とおじさんの服を貸してくれた。
でもやっぱり寝付けなかった俺は、1週間分の寝不足の勢いで『きちんと姉ちゃんと話して寝たい!』という結論に至ったのだ。
「あのさ…。」
寝不足と緊張で頭がグルグルする。
「俺、姉ちゃんと…。」
そう、きちんと話して…。
「寝たいんだ!!」
大きな雷で俺は我に帰る。
「俺、何言って…。」
自分の発言に慌てる俺を見て姉ちゃんはクスクスと笑った。
「こんなに大きくなったのにまだ雷が怖いのね。」
背中を合わせた方が暖かいからと姉ちゃんは背を向ける。
やっぱり子ども扱いだな、と切なく思いながら、俺は久しぶりの眠りに落ちていった。
いつかきっと、この想いを伝えることを誓って。
読んでいただきありがとうございました。
なんとか間に合ってよかったです。