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第3話 修行開始

 「・・・さて・・・と。」


 ジンは、自室のベッドの上に座り、修行を始めようとしていた。逆行前の自分が編み出した修行法【超人法】を。


 (・・・まさか、こんな形で【超人法】を使う日がくるとは思わなかったな。・・・さあ、始めるか!)


 【超人法】。逆行前の彼が、世界中の武術や魔術の書物を元に、長い年月をかけて編み出した修行法。これは、四つの段階に分けて自分を強化するものである。

 まず、第一段階は、身体作りである。どんな優れた技術や修行法も、身体が耐えられなければ意味がない。その修行に耐えられる身体を作るのが、この第一段階である。


 (これは、魔術の理論を応用した修行法だ。・・・まず、体内にある魔力を感じ取ることから始める。)


 魔力は、生物は誰しも大なり小なり持つ力である。魔術-一般的には魔法とも呼ばれている-は、この魔力を利用して行う超常的な術である。だが、ただ魔力を持っていても、魔法は使えない。使えるようになるためには、自分の内に秘められた魔力を感じ取り、引き出せるようにならなければいけないのだ。


 ジンは、自分の内に意識を集中する。すると、しばらくして、何か温かいものを感じることができた。


 (魔術師なら、誰しも行う初歩の修行。これ自体は、そこまで難しくはない。俺みたいな凡人、しかも、子供でも、知っていれば誰でもできることだ。・・・だが、これで終わりではない。)


 ジンは、感じ取った魔力を、今度は引き出そうとする。少しずつではあるが、魔力の塊から、魔力が漏れ出していくのを感じた。


 (・・・魔術の天才と呼ばれた人間は、最初から苦も無くこれができたと言うが・・・。俺は、凡人だ。時間をかけてやっていくしかない。)


 しばらくして、ジンは魔力を引き出すことに成功する。これを外に放出し、火を起こしたり、水を出したりと、現象に変換するのが魔法である。だが、ジンの目的は、そんな魔法を使うことではない。


 (・・・これを、身体全身に行き届かせる・・・!)


 ジンは、引き出した魔力を、身体全身に流すようなイメージで行き渡らせていく。


 (・・・これで・・・よし・・・!)


 これが、【超人法】の修行の一つ、体内から魔力を流して肉体を強化していく修行法【魔力による肉体強化修練】である。肉体に魔力を流すことで、負荷をかけ続ける。これにより、常時鍛錬をしているのと似た状況を作り出すことで、特に鍛錬することもなく、肉体を鍛えることができるのだ。さらに、魔力は、使えば使うほど増えていく。こうして使用し続けることで、自然と魔力量も増えていくのだ。そして、増えた魔力をさらに身体に流していき、負荷を上げる。それによって、さらに身体が鍛えられる。これを繰り返すことで、日常生活を送りながらも頑丈な身体を作ることができるようになるのだ。


 (・・・まだ、子供だからか、魔力が少なくてそこまで身体に負荷がかかっている感じがしないな。でも、確実にできている。この状態を維持したまま、日常生活を送ると同時に、鍛錬を行うことにしよう。)


 この修行法で行っているのは、一般的には身体強化魔法と呼ばれる魔法の応用である。身体強化魔法は、魔力を身体全体、或いは一部分を強化する魔法で、少量の魔力と魔力のコントロールさえできれば誰でも簡単に使える、初心者向けの簡単な魔法である。魔術師でなくても使用できるため、戦士や剣士も使っている。腕の立つ戦士なら、これを使えて当たり前とまで言われている。

 だが、【超人法】で行っているのは逆の使い方で、肉体を強化して動きをよくするのではなく、抑制するのである。折角の身体強化魔法を、弱体化させるために使うなど、非常識な使い方なのである。

 そもそも、身体強化魔法は、戦闘という一時的な使用に限られている。このように、常時使用し続けることはない。そういう意味でも、こんな使い方はあり得ないのである。そんなあり得ない使い方を、実際に修行に落とし込んだのが、【超人法】なのだ。


 (まずは、定番の腕立て伏せやスクワットだな。あとは、ランニングかな。)


 ジンはベッドから立ち上がると、腕立て伏せを行う。まだ幼いジン-その上、魔力を常時消費している-に、腕立て伏せはかなりキツく、十回どころか一回も満足にできないうちにバテてしまう。


 「うう・・・体力もそうだけど・・・魔力を常時使っているせいで余計に疲れるな・・・。」


 大人しくしている分には影響がないように見えたが、身体を動かせば、負荷がかかっていることが目に見えて分かった。ジンは、想像以上の負荷にゲンナリした。


 「・・・でも・・・これも、夢の第一歩だ・・・!・・・頑張るぞ・・・!・・・とりあえずは、ウォーキングから始めよう・・・。」


 まずは、無理のない範囲で身体を鍛えようと、ジンは思うのだった。

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