第13話 剣聖レオン
「初めまして、ジン・ブリッツ君。私は、レオン・ハート。国王陛下より、剣聖の称号を与えられた者だ。」
逆行前の師匠、レオン・ハートが、ジンに挨拶をする。
「・・・!は・・・初めまして!ジンです!」
想像もしていなかった人物の登場に、ジンは戸惑うも、なんとか挨拶をする。
「ははは!さすがのお前も、四剣聖の一人には緊張するか!」
「ストロンさん。ジンは子供なんですよ。」
「悪い悪い。だが、こいつと話していると、どうも子供のように思えなくてな。」
「確かに。」
大人達が話していることが聞こえないほど、ジンは緊張していた。
レオン・ハート。逆行前、十五歳になったジンが弟子入りした剣聖であり、ジンの師匠になる人物である。
剣聖。それは、剣を極めた者に与えられる称号で、レオンは若干二十歳でその称号を与えられた天才剣士である。
レオン以外にも、剣聖の称号を得ている人間は三人いて、いずれもレオンに引けを取らない実力者ばかりである。だが、彼らが剣聖になれたのは、三十付近であったことを考えても、レオンがどれほどの天才か分かるだろう。
逆行前のジンは、自分の腕を磨くために彼に弟子入りした。いや、正確には、彼しか弟子入りを受け入れてくれなかったというべきか。
他の剣聖達は、金や女、酒に現を抜かしているような俗物で、小さな村から来た、何の土産も持ってこないジンを受け入れてはくれなかったのだ。そんなジンが最後に頼ったのが、レオンだったのだ。
レオンは、行く当てのないジンを快く受け入れ、才能がないジンが皆伝になるまで粘り強く師事してくれた。ジンは、お世話になったレオンに、いつか恩返しがしたいと思っていた。だが、それを果たすことはできなかった。
(・・・ヤバい魔物の討伐に、他の剣聖と向かって全滅したんだ。・・・相打ちだった。・・・俺がかつての門下生達と助けに来た時には、そいつと刺し違えた瞬間だった。・・・恩を全然返せず死んだ師匠が・・・目の前に・・・!)
逆行前に死に、しかも、本来ならここに現れるはずのない師匠がこの場に現れたことにジンは完全にテンパっていた。だが、必死にそれを悟らせないようなるべく平静を装おうとする。
「・・・ど・・・どうして・・・レオンさんほどの人が・・・こんな・・・辺鄙な村に・・・!?」
無論、できていなかったが。
「実はね、村長から相談があったんだ。『弟子にしてほしい子供がいる。』ってね。それで、その子供に会いに来たんだよ。」
「・・・その子供って・・・。」
「君のことだよ。」
レオンは、迷うことなく言う。
「お・・・俺なんかが・・・剣聖の弟子なんて・・・恐れ・・・多い・・・です・・・。」
「そんなことはないよ。君の強さは、村長から聞いているからね。その歳でブラックウルフを倒せるなんて、凄いことなんだよ。」
「・・・は・・・はあ・・・。」
「レオンさん。どうでしょうか?ジンは、あなたの眼鏡に適いますかな?」
「・・・そうですね。一目見て、ただ者ではないとは感じましたね。」
「そうですか。」
「ですが、本人の力を見るためには、やはり手合わせが一番でしょう。ジン君、君の力が見たい。一度、手合わせしてくれないかな?」
「て・・・手合わせ・・・ですか!?」
「そんなに緊張しなくていい。君の実力を見るだけだ。肩の力を抜いて、自由にやってくれればいいから。」
「は・・・はい・・・。」
(・・・とんでもないことになったな。まさか、師匠が出てくるなんて。俺の記憶には、こんな展開はない。・・・歴史が変わりつつあるのか・・・?)
ジンは、予想だにしない展開に困惑するのだった。




