82 露見
月曜日、辛いです。
秋の初めの月の終わり、なぜか私はカールさん、ガブリエラさんとともに王様の準備してくれた馬車に揺られていた。馬車の目的地は王都領の西にあるというエルフの森だ。
馬車のガラス窓から見える景色は、とても物珍しいものばかりで、私は夢中になってそれを見つめていた。
「ガブリエラ様!この辺りはすごく広い麦畑がありますね。ハウル村の麦畑の何倍も広いです!」
「この辺りは王国が出来た頃から少しずつ森を切り開いて畑を作ってきたのよ。ドーラ、あそこを見てごらんなさい。水路を何度も作り直した跡があるの分かるでしょう?」
「あ、本当だ!そうか、畑が広がるたびにああやって水路を伸ばしていったんですね!すごいです!」
私が人間の知恵と工夫の積み重ねに感心していたら、私の横から低い呟きが聞こえた。
「森を切り開くなど何と野蛮な。これだから人間という種族は・・・。それに定命の者の分際でドーラ様に気安く話しかけるなど、無礼な・・・。」
私が隣に座っている男性を睨んで頬を膨らませると、彼はたちまち口を噤み、そっと私たちから目を逸らした。王城を出てからずっとこんな感じだ。
なんでこんなことになっているのかというと、話は数日前に遡る。お昼ご飯が終わり、シルキーさんが後片付けをする様子を私がぼんやり眺めていた時のことだ。
宿屋でのやらかしで『謹慎』させられていた私の所に、カールさんとガブリエラさんがやってきて、すぐに王都へ出発すると言った。
「もう謹慎はいいんですか?」
「それどころじゃないわ。王国存亡の危機なの。」
話を聞くとエルフ族との戦争になるかもしれないという。大変だ。でも何でそんなことに?
「それを確かめに行くのよ。でも、心当たりはあるわ。私たちと一緒にあなたも呼ばれているもの。」
え、なんで私まで呼ばれるんだろう。私が頭をひねっていたら、カールさんが苦笑しながら話してくれた。
「ドーラさん以前、複合獣の女と私たちが戦ったことを覚えていますか?ドーラさんがすごい魔法で敵を焼き払ってくれた、あの時のことです。」
魔法?そんなすごい魔法、私使ったことあったっけ?
そう思ってよくよく考えてみて、思い出した。ちょうど半年くらい前、私の息を魔法で超圧縮して、すごく遠くにいる敵を焼き払ったことがあった。
あの時はガブリエラさんとカールさんがすごいピンチで、「何とかしなきゃ!」と思って、二人に手伝ってもらって、敵をやっつけたんだった。
事件が終わって、あの時のことをカールさんに聞かれたとき、私は咄嗟に「魔法でやっつけました」と言ってごまかしたのだ。だってカールさんに「あれは私の息です」だなんて説明できないもの。自分で言ったことなのに、すっかり忘れていた。
「あ、ああ、思い出しました!いや、あの時は大変でしたよね、あははは。」
私がそうやって笑うのを、ガブリエラさんがジトーっとした目で見つめる。彼女は私のごまかしに気づいているみたいだ。私はそっと彼女から目を逸らした。
「あの時、最後の攻撃が逸れてエルフの森を焼き払ったでしょう。多分、あれが原因だと思うわ。」
「え、ガブリエラ様。でもあれ、森の端っこっていうか、ほんのちょっとでしたよね?」
「・・・あれを『ほんのちょっと』って言うかは別にするとして。エルフ族の使者が王を訪ねてきているらしいの。だから彼らと話す必要があるのよ。」
事情は分かった。すぐにでも出発しないといけないみたいだ。
「じゃあ、魔法で行きますか?《集団転移》でならすぐに着きますよ。」
私の提案について二人が話し合った結果、カールさんの「少しでも早い方がいい」という意見が通り、私たちは魔法で移動することになった。
王様の使者という人に、そのことをガブリエラさんが説明する。その間に私は、王様へ《念話》の魔法で「これから行きます」と連絡を送った。
やっぱり《念話》、一方通行なのがちょっと不便だ。お互いにお話しできたら便利なのにな。ガブリエラさんに相談して、魔道具とかにできないか聞いてみよう。
準備が整ったところで私は《集団転移》の魔法を使い、王様の部屋に移動した。部屋では王様が私を待っていてくれた。
「こんにちは王様。お昼にこうやってお会いするのは初めてですね。」
「ああ、ドーラさんよく来てくれた。二人も急に呼び出してすまないな。どうか楽にしてくれ。」
王様が私の後ろで跪いていたガブリエラさんとカールさんにそう言って、私たちを隣の部屋のテーブルに案内してくれた。この部屋に入るのは初めてだ。
「私的な会合をするときに使う部屋なのだよ。最近はあまり使うことはないがね。」
私が部屋の様子をキョロキョロ見まわしていたら、年を取った丸っこい体つきの侍女さんが私たちにお茶を入れてくれた。
「!! いつものより美味しいですね!」
私がそう言うと侍女さんはにっこり笑い、王様は苦笑いをした。
「ヨアンナの淹れるお茶は美味いからな。私はとても敵わないよ。」
王の言葉に私以外の全員が目を丸くして驚く。
「あなた、いつも陛下にお茶を淹れさせているの?」
ガブリエラさんが呆れたようにそう言う。王様はバツが悪そうに笑いながら彼女に言った。
「ドーラさんは私的な友人であり、私の介護術師だからな。でもこれからはヨアンナの起きている時間に来てもらうとしよう。」
私たちが王様に今回のことについて説明を受けていると、扉の外から「エルフ族の使者殿をお連れしました」という声が聞こえた。
王様が立ち上がり扉を開けるように言うと、カールさんたちも立ち上がって王様の脇に控えた。私も真似をしてカールさんの隣に跪いて並んだ。
開いた扉から入ってきたのは、長身で細身の男性だった。でも人間と違い、彼は長くて先の尖った耳をしている。これがエルフ族っていう人か。初めて見るエルフ族を私はまじまじと観察した。
彼は長い金髪をいくつもの三つ編みにして背中に垂らしていた。目はやや吊り目で細く切れ長で、澄んだ湖の様な深い青色の瞳をしている。肌の色は真っ白だ。
縁に細かい刺繍の施された緑色のマントを纏い、それよりもやや淡い色合いの緑の服を着ている。耳には金の耳飾り、額にも細い金の額冠を付けていた。指にもいくつかの指輪がつけられている。金の輝きがとっても素敵です!
服の上から革の胸当てをつけ、同じ革の手甲と長靴を身につけている。どれにもすごく細かい銀の装飾が施されていて、とてもきれいだ。見ているとワクワクしてしまう。
腰には革のベルトがあり、それにはいくつかの小袋と美しい装飾の施された銀色の細剣が下げられていた。それを見て私は、私の作ったカールさんの剣にちょっと似てるなと思った。
「お呼び立てして申し訳ありませんでした、使者フルタリス殿。此度の件について説明をする者たちを連れてまいりましたので、こちらにおかけください。」
王様がそう言うと、ガブリエラさんたちが跪いたまま頭を下げたので、私も真似してぺこりと下げた。でも金色のキラキラをいっぱいつけているエルフの人が珍しくて、私はそっと彼の様子を伺っていた。
フルタリスと呼ばれたその人は、傲然と部屋を見回した。そんな彼と私の目が合う。次の瞬間、彼はすごく驚いた顔をして、私に近寄ってきた。いけない、こっそり見てたのがバレちゃった!?
私の隣にいたカールさんが立ち上がり、すっと私の前に進み出た。彼の手が軽く剣の柄に触れ、カチャリという鍔鳴りの音が響く。カールさんとエルフの男性が私の目の前で睨みあった。
カールさんよりも頭一つほど背の高いエルフさんが、静かにカールさんに告げる。
「そこをどけ、定命の者よ。私はその方に用があるのだ。」
「ドーラさんに何をするつもりだ。返答次第では斬る。」
「・・・面白い。タラニス氏族随一の戦士である私を、定命の者であるお前が斬るというのか。」
エルフさんがマントを払い、剣の柄に手をかけた。二人の間の緊張が高まる。一触即発かと思われたその時、王様が二人を留めた。
「ルッツ男爵、控えよ。そしてフルタリス殿、使者としては余りに礼を失した振る舞いではございませんかな。タラニス氏族は我が国との盟約を無効になさるおつもりか。」
王様の言葉でエルフさんは剣から手を放し、王様の方を振り返った。それを見たカールさんがまた元の場所に跪く。エルフさんは王様にぺこりと頭を下げた。
「失礼した。ただこの方がなぜここに居らっしゃるのか、それを説明していただきたい。」
エルフさんはそう言うと私の前に跪いた。
「お初にお目にかかります。私はタラニス氏族のフルタリスと申します。どうかあなた様のお名前をお聞かせください。」
私はびっくりして周りを見回した。王様もガブリエラさんも困惑した顔をしている。カールさんだけが油断なく、私とエルフさんを見つめていた。
「あ、あの、私はドーラって言います。ハウル村の錬金術師です。」
私がそう答えると、彼はふっと笑って言った。
「なるほど、そういうことになっているということですね。では詳しい話はこの者たちから聞くことに致します。」
彼はそう言って立ち上がった。そして私に立ち上がるよう促すと、私をテーブルの端の、さっきまで王様が座っていた椅子に座らせた。彼は私のすぐ側の席に着く。
「さあ、説明してください、ドルアメデス国王。あなた方がこの方の力を使って私たちの森を焼き払おうとした理由を。」
テーブルに着いた私たちはエルフの森の一部を焼いてしまった事件の顛末を話した。エルフさんはそれを黙って聞いていた。そして最後に言った。
「説明は分かりました。あくまでも人間同士の下らない争いで、わが氏族に対する害意はないということですね。」
「信じていただけるのですかな?」
「ドーラ様がそうおっしゃる以上、そうなのでしょう。私はドーラ様のお言葉を疑うようなことは致しません。」
どうやら戦争の危機はなくなったみたいだ。私はホッと胸を撫でおろした。
「あなたはドーラさんが何者か、ご存じなのですか?」
王様が言ったその言葉にぎくりとして思わずエルフさんを見る。彼は心底呆れたように「ドーラ様のお力を前にしていながら、それに気づけないとはなんと嘆かわしい」と王様に言った。
「あの、フルタリスさんは私のことを知っているのでしょうか?」
「私たちエルフは生まれながらにして精霊の姿を感じることができます。中でも私は精霊の姿を見極める『精霊眼』を持っているのです。あなたは人の姿を取っていますが、その魂の形は明らかに別の姿をしている。あなたの本当のお姿は分かりませんが、あなたの偉大な力ははっきりと感じることができますよ。」
私が人間でないということを皆の前で、特にカールさんの前で言葉にされたことに、私はすごくショックを受けた。私は恐ろしくなり、下を向いてがたがたと震えた。
カールさんは今、私をどんな目で見つめているんだろう。もうこれでハウル村にいられなくなっちゃうのかな。
私は恐ろしくて皆の顔を見ることができなかった。ぎゅっと握った手をじっと見つめる私の目から、みるみる涙が溢れてくる。
「ドーラさんが人間でないことくらい、みんな分かっています。」
私はその言葉に驚き、それを発したカールさんを見た。彼は私に優しく笑いかけてくれていた。
「カール様のおっしゃる通りです。私たちはこの子が人間でないことを知っている。それでもこの子は私たちの村の大切な一員です。」
ガブリエラさんもそう言って私の方を見た。私の目から涙がどっと零れた。
「ぐすっ、ガールざん・・うう、ガブリエラ様・・・!」
「泣かないのおバカさん。あなたが人間でないことなんて、村人全員が知ってるわよ。気づかれていないと思ってたの?」
泣きながら「はい」と頷く私を見て、彼女は呆れたように笑った。
彼女は立ち上がると「ほら、鼻水出てるわよ」と言って、私の顔をハンカチで拭いてくれた。私は彼女のハンカチを借りて盛大に鼻をかんだ。
王様もカールさんもその様子をニコニコ笑いながら見ている。私の目から嬉し涙が次々と溢れ、虹色に輝く石となって私の周りに散らばった。
それを見たエルフさんは王様に言った。
「どうしてドーラ様があなた方の国で暮らしているのかは分かりませんが、私としては是非、ドーラ様を我が氏族の里にお招きしたいと思っています。」
「それに関しては私が口をはさむ余地はありません。ドーラさんの意志次第でしょう。ただその理由をお伺いしてもよろしいかな?」
「ドーラ様のような方が、定命の定めを持つあなた方と一緒にいるのは相応しくないと思うからです。」
彼は王様にそう答えた後、私に向き直り、満面の笑顔で言った。
「ドーラ様、我が氏族の里へ来ていただけないでしょうか?」
「あ、あの、私、いやです。」
彼の顔が驚きに歪む。
「!! そ、それはなぜですか!?」
「え、だって早く家に帰りたいですから。エマと一緒に晩御飯を食べたいですし・・・。」
私の言葉を信じられないといったように、彼は口をあんぐりと開けた。エルフの里っていうところにはちょっと興味があるけれど、別に今行かなくてもいい。今は少しでも長くエマたちと一緒にいたいのだ。
その様子を見たガブリエラさんが、勝ち誇ったようにエルフさんに言った。
「仕方ありませんわね。ドーラはあなた方エルフの里には関心がない様子。事情がお分かりいただけたのなら、さっさとお引き取り願えませんでしょうか?」
エルフさんは顔を真っ赤にして、ぐぬぬと唸っていた。けれどすぐにコホンと咳払いをして、私に言った。
「そ、それでは困るのです。我が氏族の者に直接ドーラ様から説明していただけないでしょうか?」
彼は私にエルフの里の内情を話してくれた。今回の私の息によって、エルフの森を外敵から守っていた守護の魔法が壊れてしまったらしい。
エルフの人たちは、それを人間の仕業だとして王国を滅ぼすべしという人たちと、ひとまず話を聞いてみようという人たちに分かれて話し合いをしたそうだ。つまり氏族が主戦派と穏健派に分かれているのだという。
まだその話し合いの結果は出ていないのだけれど、穏健派のリーダーさんは秘密裏に王国と交渉しようとして、フルタリスさんを使者に立てたのだそうだ。
犯人が分かればそれを捕えてくればよし。そうでなければそれ相応の対価を受け取って里に帰ってくるという計画だったそうだ。
「ドーラ様が里に来て説明してくだされば、きっと主戦派の者も納得するでしょう。ぜひ私と一緒に里へ行っていただけないでしょうか?」
そんな事情があるのなら仕方ないかな。私が「行きます」と返事をしようとしたら、ガブリエラさんが彼に言った。
「そのお話、本当なのでしょうね?そんなことを言って、ドーラを連れ去るおつもりなのでは?」
彼女は疑わしげな眼で、エルフさんを見つめる。エルフさんは彼女に向き直ると、胸に左手を当てて言った。
「私の言葉に嘘偽りなどない。我が祖父ブリステスの名に誓って、そのようなことをするつもりはない。」
彼女とエルフさんは、しばらくじっと探り合うように見つめ合っていた。やがて彼女は口を開いた。
「よいでしょう。ならば私たちもこの件の当事者です。私とカール様も、ドーラと一緒にエルフの里に参ります。」
「な、定命の者が我らの里に立ち入るなど!絶対に認められん!」
「あ、あの、私、ガブリエラ様とカールさんが一緒に来てくださるなら、行ってもいいですよ?」
その時のエルフさんの顔は本当に言葉にできないほど、気の毒なものだった。彼は物凄く葛藤した後、私たち三人をエルフの里に連れていくと言ってくれたのでした。
そんなわけで、私たちは4人は、王様の用意してくれた馬車でエルフの森を目指して移動中なのだ。ただ馬車の中ではずっとエルフさんがブツブツ言っていたので、最初はかなり険悪な感じだった。
でも私が「仲良くしてくださいね」と言ってからは、少し雰囲気が柔らかくなったような気がする。にこやかに会話するって感じではないけれど、少しずつ私たちの会話に加わるようになってきている。
やがて日暮れを迎える頃になると、馬車の御者さんや護衛の騎士さんたちは野営の準備を始める。私たちは馬車を降り、彼らに言った。
「今日も一日、ありがとうございました。では私たちは一度村に戻りますね。また明日の朝、よろしくお願いします。」
私はそう言うと、笑顔で私たちを見送ってくれる皆さんを残し、《集団転移》の魔法を使って、ガブリエラさんのお家に戻った。
「ふう、やっぱり一日中馬車に揺られていると疲れますね。」
「そうね。ではまた明日、ここで会いましょう。」
見送りに来てくれたミカエラちゃん、テレサさんに手を振って、私とカールさんはそれぞれの家に戻った。もちろん皆と一緒に夕食を食べるためだ。なぜか一緒についてきているエルフのフルタリスさんは、ガブリエラさんの家に残った。
最初は私とガブリエラさん、カールさんの三人だけで戻るつもりだったのだけれど、彼は私を守ると言い張り、どうしても村についてくると言ったのだ。でもガブリエラさんが村への立ち入りを断わったため、仕方なく彼女の家の離れで宿泊することを了承した。
「ただいまー!」
「おかえりドーラ。今日はどうだったの。もうそろそろ着きそうなのかい?」
「なんか、あと2日くらいで森の入り口に着くそうです。」
私がマリーさんに答えていると、向こうからエマが走ってきて私に抱き着いた。
「おかえりなさい、ドーラおねえちゃん!旅のお話を聞かせて!」
私はエマを抱きしめ、ほっぺを合わせながら答えた。
「ただいまエマ!あのね、今日はすごく大きな石の橋があるところを通ってね・・・。」
「話をしながらでいいからドーラ、エマと一緒に風呂に入ってきておくれ。」
グレーテさんが抱き合いながらくるくる回っている私たちに声をかけた。私たちは「はーい!」と元気よく返事をして、手を繋ぎながら村の共同浴場へ向かったのでした。
そんなことを繰り返して、やっとエルフの森の入り口に辿り着いた。でもここから先には道がない。大きな木が幾重にも根や枝を絡ませているため、普通に歩いていくのも難しそうだ。
「ここからは歩いていくしかなさそうだな。」
「いやカール殿。少々待っていてくれ。」
そう言ってフルタリスさんは馬車を降りると、森に近づいて歩いて行った。旅をするうちに、カールさんとフルタリスさんはいつの間にか仲良くなっていた。
同じ剣を使って戦う者同士で話が合うのか、よくお互いの戦い方について話をしている。フルタリスさんはガブリエラさんのことは警戒しているけれど、カールさんには大分打ち解けているように思う。
「タラニス氏族フルチネスとエスカリーノの子フルタリスが願う。森よ、開き給え!」
フルタリスさんが森に向かって叫ぶと、絡み合っていた木々がひとりでに動き出し、みるみる目の前に道が開けた。それを見た人間の人たちが上げる驚きの声が、静かな森に木霊した。
「さあ、これでよい。我らが里へ向かおうではないか。」
私たちの馬車は森の木々が作る緑のトンネルへ入り、エルフ族の里へと向かった。
フルタリスさんの故郷、エルフの里って一体どんなところなのだろう。私はワクワクする気持ちを抑えられず、窓から見える風景を一心に見つめた。
種族:神竜
名前:ドーラ
職業:錬金術師
見習い建築術師
見習い給仕
所持金:66243D(王国銅貨43枚と王国銀貨107枚と王国金貨36枚とドワーフ銀貨27枚)
読んでくださった方、ありがとうございました。