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Missドラゴンの家計簿  作者: 青背表紙
59/188

57 直伝

錬金場面のためにいろいろ調べたものの、理系じゃないので正直しんどかったです。だから今日はノリで書きました。ちょっと悪ふざけが過ぎたかも。反省してます。

 春の気配が近づく冬の4番目の月、雪雲の隙間から明るい朝日が差し込む中、村を出た乗合そりは、人気のない場所で街道をそれ、道の脇にある小さな森へと入っていった。


 おそらく地元の住民が森の中に入るためにあると思われる小道は、小さな広場に行き着いて止まった。広場の隅には狩猟小屋と思われる建物があるが、鬱蒼とした木々に覆われているため、日が昇っている時間にも関わらず、はっきりと見通せない。


 そりが止まったことで、瞑想していたテレサは目を開け、周囲の様子を見て、慌てて立ち上がった。


「!? ここは・・・?」


「司祭様、着きましたぜ。」


「私は次の村へ行くと聞いていました。何かトラブルでもありましたか?」


「いいや、ここが終点さ。馬鹿な女をひっ捕まえる俺たちにとってはな!」


 人の好さそうな表情で話していたそりの御者が表情を歪めてそう言った途端、周囲の森から武器を持った人間たちが現れ、そりを取り囲んだ。全部で7人いる。


 全身薄暗い森の中で目立たないような、灰白色の装束に身を包み、同じ色の覆面で顔を隠していた。手にした曲刀や短剣の刀身は、光を反射しないように黒く塗られている。


 テレサよりも頭一つ大きいことを考えると、おそらく全員男だろう。テレサは武器を見た途端、その場にぺたんと座り込み、胸から下げた銀の聖印を掴んだ。






「なんですか、あなたたちは!私をどうするつもりです!?」


 震える声で言ったテレサの言葉を、御者の男があざ笑う。


「『どうするつもりです!?』だってよ。いいねえ、怯えちまって。聖女教の女は最後まで抵抗するからなあ。今から楽しみだぜ!」


「私に不埒な真似をするつもりですか。私は神に仕える身です。そのような・・・。」


 テレサの言葉を御者の男が遮るように大声で怒鳴った。


「司祭様はまだ男を知らねえんだろう?あんた、別嬪なのにそりゃあ、もったいないぜ。安心しな、依頼主に引き渡すまで殺しはしねえ。それまでは俺たち全員で可愛がってやるからな。神様よりもうんといいことたっぷり教えてやるからよ!!」


 テレサの体が男の大声でびくりと震え、手から聖印が零れ落ちた。彼女は身を守るように両手で自分の体をぎゅっと抱きしめた。固く口を引き結び、じっと男たちを見つめる。






「あ、あなた方は一体なんですか?一体誰の指図でこんなことを・・・?」


「俺たちはただの人攫いさ。あんたみたいな世間知らずな女を売り飛ばして金を稼いでる。ただ今回は買取主からの直接の依頼でね。『背徳の薔薇』のことを嗅ぎまわってるあんたを御所望らしい。」


「そんな!私は何も・・・!」


「ああ、そりゃあんたの買取主の前で言ってくれ。俺たちは別にあんたから聞きたい話があるわけじゃねえんだ。あの連中とは違ってな。あんた、あの連中に連れていかれたら、死ぬような目に遭わされるだろうよ。だからせめて最後に、俺たちが気持ちよーくしてやるからな。」


 御者は下卑た表情で笑いながら、テレサに近づき、彼女の方に手を伸ばした。


「さ、触らないで!!」


 彼女は震える体を落ち着かせるように、自分の体に手を這わせた。法服の下に見える彼女のしなやかな腰のラインを見て、御者の目が好色な光を帯びる。






「抵抗しないでくれよ?生きてさえいりゃあ、どんな風になってたって構わないって言われてるんだ。手足の腱を切られたり、目を潰されたりしたくはねえだろ?」


 御者の言葉でテレサの体がびくりと震え、力が抜けた。絶望したようにうなだれた彼女は両手を下げ、ぶつぶつと何かをつぶやいている。


「そうそう、分かればいいんだ。おっと、一応、口枷をつけさせてもらうぜ。聖女教徒は自害を禁じられてるらしいが、舌でも噛まれちゃ面倒だからな。」


 目を爛々と輝かせ、鼻息を荒くした御者が腰の物入れから革ベルトの付いた口枷を取り出し、彼女の顔を上げさせようとしたとき、彼女は呟くように言った。


「後生ですから、最期に教えてください。私の買取主は一体誰ですか?」


「悪りいな。俺も名前は知らねえんだ。だがあの連中、次の王になる方に仕えてるって言ってたぜ。手荒なことはしたくねえ。さ、顔を上げな。」


「親切に教えてくださって、ありがとうございます。あなたに神の救済が訪れますように。」






 彼女は聖句を唱えると、すっと流れるような動きで立ち上がり、彼女に手を伸ばそうと前屈みになっていた御者の胸に軽く手のひらを当てた。


「!! ぐうぅっ、胸が!息が出来ねえ!!て、てめえ、何しやがった!?」


 途端に御者が胸を掻きむしりながら、もんどりうって倒れた。彼女は悶え苦しむ御者を後ろに残したまま、そりから降りると雪の上にすっと立った。


 周囲の男たちが異変に気付き、さっと武器を構える。男たちから立ち上る殺気をものともせずに、彼女は悠然と男たちを見回した。


 森の中を吹く風が彼女の法服のスカートのすそを翻した。いつの間にかスカートの両脇にあった飾り紐が無くなっている。大きく開いたスリットからは、鍛え上げられたしなやかで美しい足が覗いていた。


 彼女がシスターベールを脱ぐと、長い黒髪が風に靡いた。彼女は髪を片手で掴み、スカートの飾り紐を使って頭の後ろで一つにまとめた。






「神聖魔法だ!怯えたふりして詠唱してやがったんだ!次の魔法を使わせるな!全員でかかれ!!」


 男たちの一人が叫ぶと、男たちは一斉に彼女に向かって殺到した。相手は丸腰の女一人。おかしな魔法で仲間を倒されたが、詠唱させなければ大したことのない相手だ。


 少々痛い目に遭わせるつもりで武器を繰り出そうとした男たちの視界から、彼女の姿が消えた。それまで悠然と体を揺らしていた彼女が、一瞬の間に体を地面ギリギリまで伏せ、全力で前方に飛び込んだからだ。


「ぐわっ!!」


 正面にいた男の足元から突き出された掌底が、男のあごを打ち抜いた。気を失い、後ろに吹き飛ぶように倒れる男。


 だが仲間のそんな姿を見ても、男たちは意に介さず彼女を攻撃してきた。躊躇のない一撃は彼らが人を斬ることを生業としていることを示している。彼女の背中に片手剣が振り下ろされた。


「馬鹿!!殺すな!!・・・何!?」


 仲間の剣で彼女が斬られると予想し思わず声を上げた男は、まったく想定していなかった光景を目の当たりにした。振り向きざま、横凪に繰り出した彼女の蹴りが、男の片手剣を半ばから叩き折ったのだ。


 剣を折られて呆然とする男は、さらに追い打ちをかけるように繰り出された彼女の踵落としに脳天を直撃され、顔中の穴から色々な液をまき散らしながら雪の上に倒れた。






「なんだこいつは!?魔法か!?それとも魔闘術か?」


 あっという間に三人の仲間を無力化された男たちが、驚いて距離を取る。彼女はゆっくりと体を揺らしながら、穏やかな口調でそれに応えた。


「お師匠様直伝の聖女流格闘術です。初代聖女様が異界の格闘家とともに編み出した由緒正しい体術なんですよ。これでもう終わりですか?」


 彼女は男たちを悠然と見回すと、半身に構えたまま左手を前に突き出し、手の平を上に向けてゆっくりと2回、手首を上下に動かし、彼らを挑発した。


「てめえ!手加減してりゃあ、付け上がりやがって!!なめんじゃねえぞ!!」


 短剣を手にした男が猛然と彼女に飛び込んでいく。鋭く繰り出された短剣の一撃は、だが彼女の裏拳によって弾かれてしまった。素肌と触れ合ったはずの短剣が、まるで金属に打ち付けたかのような鋭い金属音をたてる。






 短剣を打ち払われて呆然とした男に向かって彼女は思い切り飛び上がり、男の顔を太ももで挟み込んだ。


「聖女シュタイナー!!」


 掛け声とともに彼女が空中で体を回転させると、男の体は勢いよく一回転して、頭から雪の上に叩きつけられた。男はなぜか幸せそうな顔で気を失っている。


 着地した彼女に更なる攻撃が加えられた。彼女は袈裟懸けに繰り出された曲刀を紙一重で躱すと、すれ違いざまに男の内股に自分の足を滑りこませて掛け、相手の姿勢を崩した。


「聖女クラッシュ!!」


 彼女は姿勢を崩した男の顔面を掴んで飛び上がり、男の額に自分の膝を叩きこんだ。気を失った男を雪の上に投げ捨てるように放り出す。


「聖女ソバット!!」


 着地と同時に一回転して、強烈な後ろ蹴りを背後から掴みかかってきた男の腹部に見舞った。男が口から吐瀉物を噴き出しながら、雪の上を転がり、やがて沈黙した。






「素手で刃物を弾く!?化け物か、こいつ!!」


「拳に神力を纏わせて戦う武術ですから。今の私の手刀は生半可な剣よりも鋭いですよ。あと二人ですね。投降しますか?」


 男たちは彼女の言葉に一瞬たじろぐ気配を見せたが、片方の男は青い顔をしたまま鬨の声をあげ、彼女に斬りかかってきた。だが明らかに動揺し、鋭さのかけらもない一撃だ。


 彼女は素早く身をかがめて男の背後に回り込むと、男の腰に腕を回して抱え上げ、一気に後ろに反り返った。


「聖女スープレックス!!」


 男は凍った雪に頭をめり込ませたまま気絶した。その隙に残った男が短剣を捨て森の奥へ走り出す。彼女は雪を蹴って助走をつけると、男の背中に向かって飛んだ。


「必殺!!聖女ブレイク!!!」


 彼女の鋭い飛び蹴りが男の背中に突き刺さる。男の体は雪の上を数回跳ねながら転がった。着地した彼女はゆっくりと男に近づいた。






 彼女は男の襟首を掴み上げて尋ねた。


「誰に頼まれたのか言いなさい。」


「し、知らねぇ!本当に知らねえんだ!!頼む!助けてくれ!!失敗したら殺される!!」


「殺される?」


「た、多分、あ、ありゃあ、この国のやつじゃねえ!帝・・・ぐはぁ!!!」


 男の言葉は、突然飛来した短い金属の矢によって中断された。男は側頭部を矢に射貫かれ絶命した。彼女は慌てて身を翻して男から離れたが、飛んできた矢で右肩を射貫かれた。


 反応が一瞬遅れていたら、男と同じように側頭部を射貫かれていたはずだ。彼女は矢の飛んできた方向を慎重に見定めようとした。だが全く予想もしていなかった場所から再び矢の攻撃を受けた。


 手刀で辛うじて遮ったものの、射貫かれた右肩が燃えるように熱く、集中できない。おそらく毒の効果だ。彼女は雪の上を素早くジグザグに移動し、そりの陰に身を潜めた。






「聖女の清き光よ、わが身を侵す悪しきものを消し去り給え。《解毒の祈り》」


 返しの付いた金属の矢を無理矢理引き抜き、痛みと体の震えを堪えて神聖魔法を使うと、右肩の焼けつくような熱が収まり、体の震えが止まった。


 続いて癒しの魔法を使おうとしたところに再び矢が撃ち込まれる。彼女は頭を低くし身を守った。矢が積み荷に次々と突き立つ中、彼女は癒しの魔法を使い、肩の傷を治した。


 そりを引いていた六足牛が、矢に驚いて体を動かした。彼女は揺れるそりから放り出されないようにしっかりとそりに掴まった。


 六足牛は広場を少し移動しただけで、やがて静かになった。彼女が恐る恐る顔を上げると、雪の上に気絶させておいた男たちは、全員矢によって命を奪われていた。彼女を攻撃してきた謎の射手の気配はもうどこにもなかった。


 彼女は男たちの遺体を集めてそりに積み込むと、彼らの冥福を祈った。そして何か手掛かりがないかと、広場にある狩猟小屋へと向かった。






 狩猟小屋は男たちの隠れ家になっていたようだった。安い酒の匂いが充満する室内に、後ろ手に縛られた娘が転がされていた。


「ああ、司祭様!!お助けください!!」


 彼女は娘を解き放ち、癒しの魔法で彼女の傷を癒した。彼女は近隣の村から攫われてきたと語った。泣きじゃくる娘を彼女はしっかりと抱きしめた。


 やがて娘が落ち着くと、彼女は娘とともにそりで娘の村へと向かった。六足牛に言うことを聞かせるのは大変だったが、賢い牛は何とか森を抜け出してくれた。


 村に行くまでの間、彼女は娘を落ち着かせるためにいろいろな話をした。すると娘はこんなことを言った。


「この連中、司祭様の他にも別の女の子を攫う話をしていました。」


「女の子ですか?」


「はい。『女司祭と薔薇の妹、たった二人で5万Dだ。笑いが止まらないぜ!』って。」






 薔薇の妹とはガブリエラの妹のことだろう。でも彼女の妹の情報なんて・・・。


『あそこには幼い子供たちも大勢いますから、様子が気になっていましたの。』


『ゆっくり子供たちの様子を聞かせていただけませんか?』


 テレサの脳裏にガブリエラと初めて会ったときに交わした会話がフラッシュバックする。ガブリエラは修道院の様子を気にしていた。それも特に子供たちの様子を!






 あの時はガブリエラが村の子供たちとにこやかに話していた後だったから、その流れで自然に会話したと思い込んでいた。だがよく考えれば流れが自然すぎる。あの時ガブリエラは意図的に会話を誘導していたのだ。


 彼女は修道院にいる妹の様子を私から聞き出そうとした。だがあの時、彼女はそんなことおくびにも出していなかった。


 それはなぜか?妹は彼女の弱点であり、それを私に悟られないようにするためだ。


 彼女は罪を得て妹ともに修道院の幽閉された。つまり彼女の犯した罪は彼女個人のものではなく、彼女の一族が関わったものなのだろう。この時点で彼女がドーラを召還したという可能性はほぼなくなった。


 彼女と妹を捕らえて幽閉したのは王家。そして彼女をハウル村に流したのも王家。ならば彼女の妹は王家が彼女を操るための人質?


 ではそれを攫おうとする者は誰か?ガブリエラ本人?だが、彼女には私を攫う理由がない。もし私が邪魔なら殺せばいいのだから。


 私を攫おうとした理由は、彼女に関する情報を聞き出すためだろう。犯人は彼女の現在の様子を知らず、尚且つ彼女の弱点を王家から奪おうとしている人物だ。


 まだはっきりとは分からないが、王国がらみの何か大きな企みが動いているのは間違いない。






 ガブリエラの妹は誰なのだろう?


 ガブリエラは純白の髪をした神秘的な容姿を持ち、気品ある振る舞いが身についている。生まれついてからずっと上位貴族としての教育を受けてきたことは疑いようがない。


 だがあの修道院には貧民の孤児たちしかいない。貴族らしいところのある子など一人もいなかったはずだ。


 それは彼女の妹が貴族としての振る舞いを身につける前に修道院に幽閉され、他の孤児と一緒に育てられたからではないだろうか?


 彼女の「修道院で数年間過ごした」という言葉を信じるなら、妹はまだごく幼いはずだ。おそらく3~4歳・・・。






 テレサは孤児たちの顔を一人一人思い浮かべた。頭の中でガブリエラの顔立ちを3~4歳ごろに戻して、髪の色を変えてみる。


 そして表情を貴族らしいものにしてみると・・・いた!ミカエラ!まだ4歳の素直で可愛らしい女の子!


 気の強いガブリエラとは似ても似つかない気持ちの優しい子だった。だが幼いながらも、きれいに整った顔立ちは、確かに彼女に似ている気がする。


 ミカエラの身に危機が迫っている。早く何とかしなくては!


 娘を村に送り届けたテレサは、村人たちに訳を話して、そりをそのまま使わせてもらうことにした。そして牛の飼い葉を荷台に満載すると、その日のうちに王都へ向けて旅立ったのだった。











 真夜中、私は《転移》の魔法を使い、アルベルトさんの家の屋根裏から、王様の部屋に行った。ガブリエラさんとカールさんのお手紙を届けるためだ。


 今日は事前に《念話》の魔法で知らせておいたので、王様は起きて私のことを待っていてくれた。


「ドーラさん、よく来てくれた。まずは手紙を見せてもらえないだろうか?」


 私はテーブルに座り、王様の出してくれたお茶を飲みながら、王様が手紙を読むのを見ていた。王様は手紙を見比べながら面白そうに笑った。


「どうしたんですか?」


「君がゴーラという土人形ゴーレムを作った話を、二人とも書いているんだがね。二人の感想が真逆なのが面白いと思ってね。」


 私は手紙のその部分だけを見せてもらった。カールさんはゴーラが村のためにとても役立つ存在で、王国のためにも、これからもっと増やせるといいと書いていた。


 対してガブリエラさんはゴーラの存在は危険極まりないので、ハウル村以外では絶対に使ってはならないと書いている。本当に真逆だ。


「王様はどう思いますか?」


「どちらの意見も正しいというのが私の答えかな。力の大小に関わらず、すべてのものは使い方ひとつで便利にも危険にもなる。使う人間が、それを分かっていることが大切なんだと思うよ。」


 なるほど、とにかく慎重にしないとまたマリーさんに叱られるってことですね!分かりました!






「そんなことより今日はドーラさんに聞かせたいことがあるのだよ。」


 そう言って王様が話してくれたのは、妖精に関する昔話だった。サローマ伯爵の息子ニコルくんの病気を治すために、王様は妖精の手がかりを探していてくれたのだ。


「ここより遥か東の海の上に、目に見えない不思議な島があるという話が見つかってね。」


「目に見えない島ですか?」


「ああ、普段は行くことができないんだが、嵐の時などにその島を偶然見たという記録が見つかってね。その中に、沈みそうになった舟を妖精が救ってくれたという記述があったんだ。」


「じゃあ、その島に行ければ妖精に会えるかもしれないってことですね!」


「その可能性は高いと思う。」


 王様は島のあると思われる場所を詳しく教えてくれた。ここからだとかなり遠いけれど、竜の私ならひとっ飛びだ。


 私はいつものように王様を魔法で癒した後、私のねぐらがある山の天辺に《転移》した。雲の上なので、眼下に雪雲がどこまでも広がっているのが見え、上にはきれいな星の海と明るい月が見えた。


 服を脱いで《収納》にしまい込んだ私は、《人化の法》を解除して元の竜の姿に戻った。久しぶりなので、うーんと体と翼を伸ばす。翼に当たる夜風がとっても気持ちいい。


「じゃあ、東の海の不思議な島を見つけに出発しゅっぱーっつ!!」


 飛び上がった私は、翼で風を捕まえると思い切り羽ばたき、夜空を駆けた。


 今まで見つからなかった妖精ともだちに会えるかもしれない。皆どうしているかな。私はワクワクする気持ちを翼に込めると、眼下に流れる雲の海に飛び込んで、一路東を目指したのでした。






種族:神竜

名前:ドーラ

職業:ハウル村のまじない師

   文字の先生(不定期)

   土木作業員(大規模)

   鍛冶術師の師匠&弟子

   木こりの徒弟

   大工の徒弟

   介護術師(王室御用達)

   侍女見習い(元侯爵令嬢専属)

   かけだし錬金術師

   かけだし薬師

所持金:5043D(王国銅貨43枚と王国銀貨21枚と王国金貨1枚とドワーフ銀貨16枚)

    → 行商人カフマンへ5480D出資中

読んでくださった方、ありがとうございました。

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