133 格闘訓練
新年度始まったので、しばらくは更新が遅れると思います。出来るだけ頑張ります。
※ ウルスのセリフを一部訂正します。
×弟 → 〇従弟
今日、エマは騎士クラス担当のヴォルカノス先生の招待で、騎士クラスの格闘演習場に行ってしまった。季末試験が早く終わった生徒たちによる合同訓練が行われるので、それに参加してほしいんだって。
カールさんとゼルマちゃんもエマと一緒に行っている。だから私は自分の仕事を終わらせてから学校を出て、ターニアちゃんの様子を見に行くことにした。
長衣と半仮面をつけて《不可視化》で姿を隠した後、《転移》で王都の中央広場に移動する。人目を避けて《不可視化》を解除した後で、ターニアちゃんを探して歩いた。彼女はいつものように噴水の角に立っていた。
ターニアちゃんは明るい色の組み合わされた派手な衣装を着ている。彼女の側には他の数人の楽師の人たちが一緒にいた。楽師さんたちの演奏が終わると、最後に彼女が歌い始めた。
以前に聞いた独唱歌ではなく、王国の決まりなどをまとめた歌だ。歌の中には役所からの最新のお知らせや王都内で起きた事件とその顛末などが歌詞として盛り込まれている。
歌って言うか旋律のある朗読みたいな感じだ。楽師さんの伴奏と共に響く彼女の声に、広場を行く人たちは仕事の手を止めて聞き入っていた。
歌が終わって彼女がぺこりとお辞儀をすると軽い拍手が起こる。その後、歌を聞いていた人たちは何事もなかったかのようにまた、それぞれの仕事や買い物をし始めた。
楽器を片付けはじめる彼らに私はそっと近づいていき、ターニアちゃんに声をかけた。
「あっ!女神様!こんにちは。」
きれいに切りそろえられた亜麻色の髪の下で、琥珀色の瞳がキラキラと輝いている。私は彼女をぎゅっと抱きしめた。洗い清められた体からは子供特有の甘い香りがする。
初めて会った時からまだ数日しか経っていないのに、痩せ細っていた体が少ししっかりしてきているように感じる。私は仮面越しに彼女の目を覗き込みながら言った。
「ちゃんとご飯を食べられているみたいだね。見習い生活はどう?」
「とっても楽しいです。みんなすごく親切にしてくれますし!」
彼女は楽しそうに今の生活を話してくれた。彼女がさっき歌っていたのは『法令歌』という歌で、文字が読めない王都の人達に役所がお知らせをするためのものだ。役所が定期的に吟遊詩人ギルドに依頼しているらしい。
彼女の声を聞いて楽師さんたちがニコニコと笑う。見分けは付かないけど匂いが同じだから、多分あの時彼女と一緒に居たあの楽師さんたちじゃないかな?
私は立ち上がって彼らに向き直り「ターニアちゃんをよろしくお願いします」とお辞儀をした。
あの後、カールさんは衛士隊と共に貧民街に乗り込み、ターニアちゃんに物乞いをさせていた『親方』と呼ばれる男の人と彼の妻を逮捕した。親方の家には十数人の幼い孤児たちが軟禁されていた。
親方夫婦は貧民街で集めた孤児たちを自分の家に住まわせ、ある程度成長したところで奴隷商に売り渡していたらしい。幼い孤児たちもそれは知っていたが、寝床と食べ物を失うことを恐れ、逃げられずにいたそうだ。
子供たちは物乞いをすることを強制され、貰ったものを互いに分け合って生きていたという。ターニアちゃんも最初は普通に物乞いをしていたそうだ。
でもある時、芝居小屋の裏のごみ箱を漁っている時に聞いた独唱歌を口ずさんでいたら、いつもよりもたくさんの食べ物をもらえることに気が付いた。それから彼女は必死で歌を歌い、日々の糧を得ていたのだそうだ。
もちろんこれは違法だから、彼女はあちこち場所を変えながら、こっそりと物乞いを続けた。彼女の持ち帰る食べ物のほとんどは親方夫婦に取り上げられてしまったけれど、それでも他の子と分け合う量は格段に多くなった。
親方夫婦は欲を出し、彼女に中央広場で歌うことを強制した。多くの人が集まる場所で歌うことで、彼女はより多くの食べ物や小銭を稼げるようになった。しかしそれは当然、吟遊詩人ギルドの目に留まる。
彼女はギルド員から逃げ回った。何度も捕まってそのたびにギルド員から注意を受けたが、歌うことを止められなかった。自分だけでなく、兄妹同然の他の孤児たちに暴力が及ぶのを恐れたからだった。
吟遊詩人ギルドの人たちは彼女を何とかしてやりたいと思いながらも、保護者である親方夫婦がいるために手出しができないでいたのだそうだ。
親方夫婦はギルドからの警告をのらりくらりと躱しながらも、ターニアちゃんを決して手放そうとしなかった。親方夫婦はどうやら質の悪い人たちとつながりがあったらしく、ギルドも手をこまねいて見ていることしかできなかった。
私たちが彼女を目にしたのは、ギルドと親方夫婦の間でそんなやりとりが無数に繰り返された挙句のことだったそうだ。
しかしそんな親方夫婦も貴族であるカールさんの前には何も言い逃れができなかった。
子供たちを軟禁し物乞いを強制するのは違法ではないが、公共の場で歌うことを強制しギルドの権益を侵すのはれっきとした犯罪だ。親方夫婦は犯罪教唆の罪で逮捕され、犯罪奴隷として売り払われた。
保護された子供たちはカールさんを通じて、東門の農場開発をしている代理人さんのところに送られた。子供たちの中には親方夫婦を本当の親のように慕っている子たちもいたので、初日は大変だったそうだけれど、今では新しく作られた救民院で他の子たちと一緒にうまく暮らせているそうだ。
その中でターニアちゃんだけは吟遊詩人ギルドに見習いとして所属することになった。ただし彼女はまだ8歳なので、正式な見習いにはなれない。だから正式に加入できる10歳になるまでは、ギルドの下働きとして住み込みで働くことになるそうだ。
ちなみに彼女の後見人はカールさんだ。ターニアちゃんによると、カールさんが後見人契約の書類に署名をするとき、吟遊詩人ギルドの職員さんから「一緒にいらした奥様の名前は書かれないのですか?」と聞かれて、すごく困っていたらしい。もちろん私のことだ。
カールさんと私が夫婦に・・・。そうなれたら、どんなにか素敵なことだろう。想像すると、とても恥ずかしいような、切ないような気持ちになってしまった。
ターニアちゃんはこの後、別の場所に移動してまた法令歌を歌うのだそうだ。ターニアちゃんたちを見送った後、私は用事を済ませるために、東門の農場、ハウル村と《転移》で移動していったのでした。
エマは迫りくる斬撃を躱し、逆手に構えた短刀を振りぬく。剣を持った相手の腕を捉えたと思った瞬間、刃が触れた腕がスッと空気に溶けるように消えた。また幻影だ。
すぐに体勢を整えようとしたエマの首筋に、ぴたりと剣の切っ先が添えられた。
「そこまで!勝者ニコル・サローマ!!」
審判を務めるヴォルカノスの声が響き、周囲を取り囲んでいた騎士クラスの生徒たちからどよめくような歓声が上がった。
屋外闘技場の真ん中で向かい合ったエマとニコルは荒い息を吐きながら互いに礼をした。ニコルがスッとエマに右手を差し出す。
「エマさん、ありがとうございました。何とか勝ててよかったです。」
「ありがとうニコルくん。あの幻影すごいね。負けて本当に悔しいよ。またやろうね!」
「ええ是非お願いします。」
二人は固い握手を交わし分かれた。その後、係りの生徒に訓練用の短刀を渡す。闘技場の出口ではカールとゼルマがエマを出迎えてくれた。エマは二人に「負けちゃった」とにっこり笑った。
「素晴らしい戦いでしたね、エマ様! 私、感激しました!」
「エマ、かなり良い戦いだったよ。お疲れ様。」
ゼルマの差し出してくれた冷水に浸した布で汗を拭う。ひんやりした感触が熱を持った頬に心地よい。エマは「ありがとう、ゼルマちゃん」と言ってから、カールに向き直った。
「カールお兄ちゃん、今の戦いのこと、教えて下さい。」
ぺこりと頭を下げたエマを伴い、カールは闘技場の脇にある練習場に移動した。エマとゼルマの二人を前にして、カールは先程の戦いについて質問した。
「ニコルの幻影と実際に向き合ってみてどうだった?」
「ニコルくんが途中まで無詠唱で幻影を出しているのに全然気が付かなかった。わざと詠唱したり省略したりしてみせるんだもん。すっかり騙されちゃった。」
エマの言葉を受けて、ゼルマが言った。
「場外から見ていると、割とはっきり幻影だというのが分かりました。でも近接中に出されたら、見分けるのは困難でしょうね。エマ様はよく見分けていらっしゃいましたよね。」
「うん、途中から無詠唱の時は幻影に気配や音がないのに気が付いたから。それに無詠唱の時には幻影が一体だけだったし。」
「それなのに、最後は見事に引っかかっていたね。あれはどうしてだい?」
エマは首を捻って、さっきの戦いを振り返る。
「うーん、焦っちゃったっていうか、つい飛び込んじゃったの。その前の連続攻撃を躱すのに夢中になっていて、相手に隙が見えたから思わずそれで・・・。あっ、そうか!!」
エマがハッとした後、悔しそうな顔をする。カールはにっこりとエマに笑いかけた。
「そう、よく気が付いたね。あの連続攻撃はエマの焦りを誘うためのものだよ。落ち着いてよく見ていれば、踏み込みの浅いことや斬撃の甘さに気が付いたはずだ。でもエマは攻撃に移ったよね。ゼルマ、エマはあの時、どうすればよかったと思う?」
「はい。あえて距離を取り、相手の気配を見極めるべきだったと思います。」
「その通りだよ、ゼルマ。エマは最後までニコルの手の内で戦わされていたんだ。エマの素早くて鋭い攻撃が脅威だと思ったからこそ、ニコルは冷静に戦うことに徹したんだと思う。」
「うぅー!悔しいよー! でも振り返ると思い当たることばっかりだ。ニコルくんはすごいね。」
悔しがるエマの頭をカールはガシガシと撫でた。
「エマは魔獣との戦いを通して技術を身に付けただろう? 魔獣との戦いは互いに隙を伺い合う一瞬の閃きが命運を分けることが多い。でも人間同士の場合はそれに駆け引きが加わるんだ。」
二人はカールの言葉を真剣な眼差しで聞いている。
「戦い始めたときから、戦いの流れをどう作るか。どうやって相手を自分の思い通りに動かすか。地力で相手を圧倒できない場合は常にそれを意識しておかなくてはいけない。これは人間よりも強大な力を持つ魔獣との戦いでも大いに役立つことだよ。分かったかい?」
「「はい、分かりました!」」
「よし、じゃあ今のことを踏まえたうえで稽古してみよう。二人で私にかかっておいで。連携して私に一撃入れてごらん。」
カールは訓練用の模造刀を腰に佩き、二人の前に立った。エマとゼルマは目を見合わせ、二人で相談を始める。しばらく後にゼルマは短槍を、エマは短刀を手にしてカールと向かい合った。
息を合わせて同時に別々の方向から襲い掛かる二人。しかしカールは易々とゼルマの槍の穂先を足で踏みつけて地面に固定し、エマの手首を返して短刀を奪い取った。驚く二人はあっという間にカールに掌底と足払いを食らって、柔らかい地面の上に転がされる。
「連携してと言っただろう。単純に二手に分かれるだけでは連携とは言えないな。もっと頭を使いなさい。」
起き上がった二人に武器を返しながら彼は言った。また打ち合わせをする二人。今度はエマが前衛でゼルマが後衛。早い動きでエマがカールを攪乱し、ゼルマがその隙に一撃を入れるという作戦だ。
しかしカールはエマの動きを誘導しながら立ち回る。ゼルマは前にいるエマの体が邪魔になり、槍をうまく使えない。エマがゼルマの動くスペースを確保しようと周囲を確認する一瞬を狙って、カールはエマに接近し腕を強く引く。
反射的にエマが踏みとどまろうと重心を後ろにかけたところで、カールはエマを突き飛ばした。エマとゼルマは一塊になって地面に転がる。
「さっきよりはよかったよ。でもお互いの武器の特性を生かすことを考えていない。さあ、もう一度だ。」
その後も二人はカールに挑み続けたが、一撃入れるどころか接近することすらままならず地面に転がされ続けた。しかし二人は決して諦めることなく、彼に挑み続けた。
泥だらけになった二人は相談し、また編成を変える。今度はゼルマが前衛だが、エマの姿が見えない。長身のゼルマの陰に、ぴったりと隠れているのだ。カールがそれを見て少しだけ口の端を上げる。
ゼルマは慎重にカールとの距離を取りながら、短槍を下段に構えて接近する。これまでの経験から迂闊に槍を突き出せば、あっという間に槍を奪われてしまうことは分かっている。だから狙うのは足だ。
ゼルマはカールに攻撃しようと隙をうかがうが全く見つからない。さっきからずっと二人と戦い続けているのに、彼は息一つ乱してはいないのだ。糸口を見つけられないまま、ゼルマはカールと睨みあう。
カールは武器さえ持たず、静かにゼルマを見つめている。ゼルマは意を決し、裂帛の気合と共に下段から鋭い槍の一撃を放った。カールはあえて体を低くして突き出された槍の穂先を躱し、ゼルマにぐんと接近した。
しかしゼルマはそれを待ち構えていたかのように自分から両手を槍から離し、飛び込んできたカールの首を捕まえようと手を伸ばした。彼の動きを止める作戦のようだ。
カールはその意図を察知し伸ばしてきたゼルマの手を逆に掴むと、彼女の体を自分の方へ強く引いた。体勢の崩れたゼルマの体がカールによって地面にはたき込まれる。彼はゼルマの後ろに隠れているはずのエマへ攻撃しようと前を見た。
エマはそこにいなかった。驚いて刹那、動きを止めた彼の頭上からエマが短刀の鋭い一撃を見舞ってきた。ゼルマの攻撃と同時に上空へジャンプしていたのか。彼は咄嗟に攻撃を躱す方向を探した。
その瞬間、彼は強烈な違和感を覚え動きを止めた。そして腰に佩いた模造刀を振り向きざまに抜き払い、背後の何もない空間を一閃した。
「ぎゃん!!」
彼の背後から短刀の一撃を入れようと接近していたエマは、彼の剣によって短刀を叩き落され、勢い余って横に転がった。同時に彼の頭上にいたエマの幻影が風に溶けて消えた。
「ふぎゅう・・あいたたた・・・。」
「すまないエマ。大丈夫か?」
地面に倒れたエマをカールが助け起こす。丈夫な皮手袋の上から、小手を模造刀で強かに打たれたため少し腫れてはいるが、骨などに異常はないようだった。
「痛いけど大丈夫だよ。でもあと少しだったのになー。」
「惜しかったですね、エマ様。」
地面から起き上がったゼルマが二人のところにやって来た。カールは二人に向き直り言った。
「ゼルマの後ろに隠れている間に《惑乱の水鏡》を詠唱していたんだな。作り出した幻影に上空から攻撃させ、その隙に背後から一撃入れる作戦か。二人とも見事だった。」
「完璧な作戦だと思ったのにな。カールお兄ちゃん、どうして私が後ろにいるって分かったの?」
カールはにやりと笑ってエマに答えた。
「ゼルマの連続攻撃の後にエマの幻影の一撃、そして背後からの止め。さっきニコルがエマにやったのと同じ手管だ。早速使ってくるとは、エマもなかなかやるな。」
頭をカールにぐりぐりと撫でられたエマがえへへと照れたように笑う。彼はゼルマに向き直った。
「エマの最後の一撃に誘導するための前衛としての動きは素晴らしかった。最初の下段からの一撃といい、槍の間合いを生かした二段構えの攻撃といい、文句なしだ。だが実戦ではあんな捨て身の一撃は多用できないから、間合いに入られた時の動きをもっと鍛えるといい。」
「はい!ありがとうございました!」
ゼルマがカールに深々とお辞儀をすると、練習場の周囲から拍手と歓声が巻き起こった。驚いて周りを見てみると、いつの間にか騎士クラスの生徒たちが練習場の周りを取り囲んでいる。彼らはずっと三人の戦いを観戦していたようだった。
彼らは口々にエマとゼルマを称えている。その中にはニコルとリンハルト王子、それにウルス王子の姿もあった。ニコルはエマに笑顔で手を振り、リンハルトは腕組みをしながらじっとこちらを見ていた。
ゼルマが自分を称える声を聞いて瞳を潤ませた。エマが彼女の腕にそっと触れ「頑張ってよかったね」と言った。二人は顔を見合わせ、無言で笑顔を交わした。
三人が練習場を出ると、他の生徒たちは昼食を摂るためにそれぞれの寮に帰っていったが、ニコルとウルスだけはエマたちに近づいてきた。ニコルは笑顔で話しかけてきた。
「エマさん見ていましたよ。《惑乱の水鏡》を使えてましたね。」
「うん。でもやっぱり私はあの魔法ちょっと苦手みたい。ニコルくんみたいにはいかないね。ところで挌闘演習はどうだったの?」
「リンハルト殿下にあっという間にやられちゃいました。」
彼は照れ笑いしながら「ほら」と言って手を差し出して見せた。剣を持つ右手の手首が腫れている。開始の合図と同時に持っていた剣を叩き落されたそうだ。
「やっぱり、リンハルト殿下の動きはすごいね。」
エマがリンハルトと戦った時のことを思い出しながらそう言うと、彼の従兄であるウルス王子がそれに答えた。
「従弟は生まれながらにして風の魔力の加護を受けているからな。どれ二人とも手首にこれを塗るといい。」
ウルス王子は懐から軟膏を取り出し二人に差し出した。エマとニコルが軟膏を手首の腫れに塗ると、たちまち腫れが引いて痛みがなくなった。
「魔法の軟膏ですね!ありがとうございます。」
エマが満面の笑顔でそう言うと、ウルスは顔を赤くしながら「うむ、気にすることはない。自作のものだからな」と言い、軟膏をしまい込んだ。そして「ではまたな」と言い残し、そそくさとその場から立ち去っていった。
「こんな薬を作れるなんて、ウルス様はすごいね。」
エマが去っていくウルスの後姿を見ながらそう言うと、ニコルは「ウルス様は薬学と錬金術に精通していらっしゃるんです」とちょっと複雑な表情でつぶやくように言った。
「じゃあ、僕も行きますね。」
「うん、ありがとうニコルくん。またやろうね。」
エマの笑顔にニコルが顔を輝かせる。二人は手を振って別れ、第六寮に向かって歩き出した。しかし挌闘演習場を出ようとした時、後ろから彼らに声がかかった。
「カール・ルッツ令外男爵殿、ドーラ殿のことで少し聞きたいことがあるのだが、よろしいかな?」
振り返った三人は声をかけてきた人物が誰であるか気が付いて、さっとその場に跪いた。そこにいたのはたくさんの王国軍騎士たちを引き連れ、光り輝く魔法銀の胸当てを付けた長身の男、ドルアメデス王国第二王子パウルその人であった。
種族:神竜
名前:ドーラ
職業:上級錬金術師
中級建築術師
所持金:2059500D(王国銀貨のみ)
→ ゲルラトへ出資中 10000D
→ エマへ貸し出し中 5000D
読んでくださった方、ありがとうございました。