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Missドラゴンの家計簿  作者: 青背表紙
123/188

119 二つの密談

また主人公出てきません。※ 王とドーラの関係を示す部分を加筆しました。

 王立学校の入学式を明日に控えた春の初めの月の終わり。ドルアメデス王城の国王の私室では、三人の男たちが向かい合って座っていた。


「山頂の神殿にそのような秘密があったとは・・・!」


 青ざめた顔でそう呟いたのは、ドルアメデス王国の王太子ウルクである。父である国王ロタール4世は、そんな王太子の様子にかつての自分の姿を重ね、我が子へ労わるように声をかけた。


「今話したことは、我が国でも歴代の王位継承者と神殿の神官長、そして今お前に施したのと同じ《魂の宣誓》の魔法によって縛られた一部の関係者しか知らない。まさに王国の秘中の秘だ。驚くのも無理はない。」


「王国の力の源泉たる大地母神様が、実在するなんて本当に驚きでしかありません。しかもそれが竜だったとは。では春の神事で捧げている供物は実際にその神竜様が口にしていらっしゃるということなのですか?」


「その通りだ。神竜様は殊の外、果物と酒を好まれると王家の伝承にある。これは巫女たちが管理する農園で栽培されたものを毎年捧げている。この神事が国王の最も重要な役割なのだ。」


 神妙な顔でそれを聞いていたウルクがハッとして表情を変えた。ごくりと息を呑んで、父王に問いかける。






「で、ではまさか、毎年巫女となる娘たちを選抜しているのは、神竜様への生贄ですか?神事の後、娘たちが姿を消すのはやはり神竜様が食べ・・・。」


 恐れおののくウルクに苦笑しながら、国王はそれに答えた。


「記録によれば、かつてはそのような試みがなされたこともあるそうだ。美しい娘を生贄として供物と共に神殿に捧げたらしい。」


「それではやはり・・・!」


 恐れに顔を歪める我が子を安心させるように、国王はやんわりとそれを否定した。


「いや、その試みは失敗したとある。娘が祭壇にいる間は神竜様が目覚めなかったそうなんだ。娘を神殿から遠ざけたところ、いつものように神竜様はお目覚めになり、果物と酒を召し上がった。」


「・・・つまり、神竜様は人の目を避けていらっしゃると?」


「はっきりとは分からないが、そういうことなのだろうな。我々を驚かさないようにという配慮なのかもしれん。だから代々、直接神竜様に呼びかけることは禁忌とされておる。ちなみに巫女たちは神殿の中で無事に暮らしている。役目が終わったら秘密裏に還俗させて家族の下へ帰しているから、まあ知らなくても無理はないがな。」


 巫女が毎年変わるのも、神竜様の姿を出来るだけ目にさせないようにするためだと、父王は語った。巫女たちは《魂の宣誓》の魔法で縛られているため、巫女を辞めると同時に神殿内の様子を忘れてしまうらしい。ウルクは陰惨な自分の想像が現実でなかったと知って胸を撫でおろした。


 それにしてもお互いに気づかないふりをしようということか。人見知りな神と王家との奇妙な関係を思い、ウルクは何とも言えない微妙な表情をした。






「しかし父上、その神竜様が今、人の姿で王都にいるのですよね。それは一体なぜですか?」


 ウルクは昨日の謁見の間で目にした美しい娘のことを思い出しながら、父に問いかけた。神々しいまでの美しさを持つ娘だと思わず見とれてしまったが、まさか大地母神本人だとは思ってもみなかったのだ。


「それは私にも全く分からない。しかも本人から確証を得たわけではないしな。あくまでその可能性が極めて高いというだけだ。」


 国王は自分の脇に控えるハインリヒ・ルッツ男爵に視線を送る。今まで黙ってやり取りを聞いていた男爵が、国王の言葉を引き取り口を開いた。


「陛下のおっしゃる通りです、殿下。彼女はドーラという名で呼ばれています。その名の通り大地母神様本人ではなく、眷属神である可能性も否定できません。」


 なるほどとウルクは納得する。ドーラ神は幸運と富を司ると言われる神で、商人を中心に民衆にも人気のある美しい女神だ。巨大な竜が人の姿になったと言われるよりは、眷属神が顕現したと考えたほうがまだ理解できる気がする。






「まあ、どちらにしろ神が身近にいるということに変わりはないがな。これがどれほど危険なことか、お前にも分かるであろう?」


「はい。もしも神、つまりドーラ様のご不興を買うようなことがあれば、すぐにでも我が国が崩壊するということですね。」


「うむ。我が国だけで済む問題であればよいのだがな。ドーラ様は人を大変愛していらっしゃる。だがそれがどんなきっかけで変わるとも限らない。かつて悪しき神が世界を滅ぼそうとしたという伝承をお前も知っておろう。」


 父王同様、自身も優れた魔術師にして錬金術師でもあるウルクは、これまで魔法を勉強する中で触れた様々な文献の内容を思い起こした。表現や時期は多少異なるものの『悪神が世界を滅ぼそうとした』という記述は、大陸の各地に残っている。


「父上、ドーラ様が蘇った悪神だということはないのですよね?」


 その問いにロタール4世は即答できなかった。彼はじっくりと考えてから答えた。


「ドーラ様の善良さや人間への愛情は疑うべくもない。だが全く危険はないかといえばそうとも言えないな。」


 王はかつてドーラの怒りを目の当たりにしたことがある。彼女は自分の大切なものを守るためなら『敵』を殺すことを躊躇わないだろう。






「ドーラ様は人間の考える善悪などで収まる方ではない。その力はこの世界を遍く覆う自然そのものと言ってよいのではないかと思う。」


 そんなものが突然王国に現れ、しかも人間の中に紛れて生活するとは。ウルクはその危険性と理不尽さに目の前が暗くなる思いだった。だが次期国王としてただ手をこまねいているわけにもいかない。


「分かりました父上。ではウルスにあのエマという平民の娘を守るよう、伝えればいいのですね?」


「そうだ。だが勿論、その理由を話してはならん。ウルスがそれを知るのは、あの子が王太子として十分な資質を身につけた時のみだ。分かるな?」


「心得ております、父上。」


 ウルクは無理難題を押し付けることになる自分の長男、現在第3位の王位継承権を持つ11歳の我が子に心の中で詫びた。だがこれも王家に生まれたものの務め。


 国王はその言葉に頷き、再びルッツ男爵に目を向ける。男爵はウルクに言った。







「これまでの調査で鍵となる人物はこのリストにまとめてございます。現在王都にいる人間には印がつけてございますので、ご確認ください。」


 リストにあるのはほとんどがハウル村の住民たちの名前だった。他にも新興商会の若き会頭カフマンや聖女教関係者、ファ族の次期族長の名もある。


「ハウル村に関しては、私の次男バルドンを新たな街道管理官として派遣し、防御を固めています。聖女教に向けては陛下が当代聖女宛てに親書を出されました。ご安心ください。」


「ふむ、ではエマという娘の他に、其方の息子カール、そしてバルシュ家のミカエラ殿ですか。とりあえずこの3人に気をつければよいということですね。」


「カールについては問題ございませんが、気になるのはやはりエマとミカエラ様です。王立学校の子供同士の関係に、ドーラ様がどう反応なさるか分かりませんから。」


「王立学校内は中立・公平が原則だからな。王家が直接介入することができんのだ。それで学長のベルント・ゴルツに協力を求めたのだが、頑なに拒否されてしまった。ウルスだけが頼りなのだ。」






 ウルクは苦虫を噛み潰したような顔をしている父王の気持ちが手に取るように分かった。情報収集と護衛のため、侍女に扮した王家の密偵を複数、王立学校に送り込んでいるが、それは他の貴族家も同じこと。完全に二人を守ることは難しい。


 さらに学校生活が始まれば、子供ゆえのトラブルなども当然起こりうるだろう。それをドーラがどのように受け止めるかと考えただけで頭痛がしてくる。


 ドーラに気づかれないよう、ごく自然にエマとミカエラを守る必要がある。それらすべてをまだ成人前の我が子に託さなくてはならないのだ。


 ウルクは父王の私室を辞去し、自らの住居である東宮離宮へと向かった。彼はゆっくりと歩きながら、我が子ウルスにこのことをどうやって説明したものかと必死に頭を捻ったのだった。











 ロタール4世と王太子ウルクが会談しているのとちょうど同じ頃、王都西部の上級貴族街区にあるデッケン伯爵の屋敷でも反王党派貴族たちによる秘密の会談が行われていた。


 小部屋に集まっているのは現在の反王党派の領袖であるデッケン伯爵と、彼を支える王国西部の大貴族カッテ、ペーパルの両伯爵である。


 かつては王国の領地貴族の半数以上を占めていた反王党派であったが、王国西部の雄であるバルシュ、グラスプという有力貴族家の改易によりその勢いは見る影もないほどに衰えていた。


 それに加え、これまで中立派の領袖であったサローマ伯爵の王派閥入りによって、王国の政治力は一気に王家主導へと傾いた。王はこの勢いに乗じ、次々と行政改革を断行。


 平民を積極的に登用し、これまで貴族が守ってきた領分を次々と平民に開放している。それは国力を増すことにつながっているが、同時に貴族たちの地位を脅かすものでもあった。






「昨今の王の専横ぶりは目に余る。」


「全くです、デッケン公。王は領地を統治することの意味がわかっていないのです。」


「カッテ卿のおっしゃる通り。平民を貴族が導き、安寧を守ることこそが国の安定につながるというのに、それを全く理解していない。」


 でっぷりと太ったペーパル伯爵が、小柄なカッテ伯爵の言葉に同意する。本来なら王家に連なる者に対する敬称である『公』を使って自分を呼んだカッテ伯爵を、デッケン伯爵はちらりと見たが、特にそれを訂正しようともしなかった。


「ふん、しょせんあの王はただの学者よ。我々のように責任ある領地貴族とは違うのだ。」


 デッケン伯爵は厳めしい顔を歪めに、苦々し気に吐き捨てた。王国の北部に広大な領地を有し、北方辺境伯と称されることもある筋骨逞しいデッケン伯爵は、自分の腹心の配下ともいえる二人に言った。






「今は王家の権勢が揺るぎない。このままでは改革の名のもとに、我々の領地にまで王家の手が及ぶやもしれん。」


「それは到底許容できませんな。我々諸侯とドルアメデス王家とはもともと契約により主従関係を結んだに過ぎないのですから。」


「そうです。王家の魔法の力で私たちを帝国の侵略から守る代わりに、我らは臣下として王家を支える。それが我が国の成り立ちではありませんか。王家主導による改革など国是に反するものです。」


 自分たちの権益が侵されつつあるという危機感を顔に出す二人に、デッケン伯爵は言った。


「しかし王家の力を削ぐ機会がないわけではない。」


「ほう、それは?」


「バルシュ領再興の件だ。」


 デッケン伯爵の言葉に二人は顔を見合わせ、頭を捻った。






 今年の春の祝祭で国王は、多大な魔法の功績によりガブリエラ・バルシュを伯爵に任じた。さらに彼女を王家の養女とした上で、東ゴルド帝国との婚姻同盟を発表。


 彼女の妹であるミカエラ・バルシュが成人するまでの間、王家が後見人となることも伝えられた。成人後はミカエラがバルシュ伯爵となって領地を引き継ぐことになっている。


 しかしこれは表向きの話だ。現在のバルシュ領を管理しているのは王派閥の官僚貴族たちである。ミカエラが伯爵となった後もその多くはそのままバルシュ領に残ることになるだろう。


 つまり実質はバルシュの名を冠しただけの、王家による直轄統治と言ってよい。王家は王国西部の中央平原に巨大な版図を持つことになるということだ。


 これは王家の力が強くなりこそすれ、反王党派が権勢を取り戻すきっかけにはなりそうにない。






「デッケン公、何か策があるのですか?」


「いや、策というほどのものではない。バルシュ家は現在、ミカエラ一人しかいない。それがどういうことか分かるであろう?」


「なるほど、そう言うことですか。」


 カッテ伯爵が痩せた狐を連想させるような、小狡い笑みを浮かべてデッケン伯爵を見る。頷きあう二人を見て、丸い顔に汗を浮かべたペーパル伯爵が焦ったように尋ねた。


「カッテ卿、私にも説明してもらえないだろうか?」


「簡単なことさ。バルシュの名を残すためにミカエラは誰かと婚姻を結び、子を生す必要がある。その相手は誰になると思う?」


「うーむ、領地の重要性や今後の王家との関係を考えれば、第二王子のパウル殿下だろうか。だが、年齢が離れすぎていないか。しかも既婚者だ。」


 王太子ウルクの弟である第二王子パウルは、現在26歳。魔法よりも剣が得意という美丈夫で、騎士団の将軍職を務めている。品行方正な兄と違い、多くの女性と浮名を流していることでも有名だ。


 さらに王太子である兄とは反りが合わず、反目しあっているとの噂が絶えない。






「いくら女好きとはいっても、相手は10歳の子供だぞ。さすがに・・・。」


「ああ、パウル殿下は無理だ。だがあの方は若いころからずいぶんお盛んだったからな。殿下の長男は今年もう10歳。つまりミカエラと同学年だ。さらに母親はデッケン公と縁続きだ。」


「なるほど。年齢的な釣り合いを考えればパウル殿下の長男がミカエラの相手というわけだな。そしてバルシュ家は侯爵に昇爵か。しかしそれがどうしたんだ?」


「・・・貴公も少しは自分で考えてみてはどうかな。もし結婚後、ミカエラが『不幸な事故』に遭えば、バルシュ家はどうなる?」


「そりゃ侯爵位は夫に・・・。!!ああ、そうか!」


「やっとわかったか。ミカエラが死・・・『事故』に遭えば、侯爵家は現王の息のかかった女当主から、デッケン公と縁続きの王族に引き継がれるんだ。」


「王国西部の版図が大きく塗り替わる!いや素晴らしいお考えです。さすがはデッケン公!」


 むっつりと二人のやり取りを聞いていたデッケン伯爵は、手にした酒杯を呷ると大きく息を吐きだした。強い酒精の匂いが辺りに立ち込める。


 すかさずカッテ伯爵が空になった酒杯に、新たな酒を注いだ。デッケン伯爵はそれを一顧だにすることなく言った。






「このままでは単に我々が失った力を取り戻すだけ。ならばもう一押ししておこうではないか。」


「もう一押し、ですか?」


「ああ、そうだ。昨日、国王に謁見に来たドーラとかいう娘を覚えているか?」


「もちろん、覚えておりますとも。王に拝謁しに来た平民の娘の付き添いということでしたが、いやはや女神が降臨したかと思うほどの美貌でしたな。召し上げようと狙っている貴族も多いことでしょう。」


 ペーパル伯爵は美しい衣装を纏ったドーラの姿を思い出し、思わず舌なめずりをした。やや小柄でほっそりとしているあの体を、押さえつけたらどんなにか・・・。


 だが彼の不埒な想像は、デッケン伯爵の言葉によって一瞬で消え去ることになった。






「あの娘、実は王族の血を引いているのではないかとの噂がある。」


「!! それは本当ですか?」


「私が集めた情報では、現王とエルフ族の姫の間に生まれた娘ではないかとの噂だ。」


 デッケン伯爵は、密偵の報告にあった内容をほんの少し二人に示した。


 ドーラが通常では考えられないほど強い魔力を持っていること。この数年、ほとんど容姿が変化していないこと。そして彼女を護衛するエルフ族の戦士が彼女に付き従っていることなどだ。


 それに加え、王自らが膨大な魔力を使って彼女が居るハウル村へ通じる道を作ったという話も伝わっている。


「つい最近も一夜にしてレンガで舗装された街道が次々と作られたという話でしたな。」


「そうか、あれは自分の娘を王都に導くための道ということですな。しかし現王があれほどの大規模儀式魔法を連続で行使できるとは思いませんが・・・? !! まさか!?」


「ああ、ドーラと共に行ったのではないかと思う。危険を冒してまで娘を王都に呼び寄せたのも、さらに強力な儀式魔法を行使するためだろう。」


「では東ゴルド帝国と同盟したことで外患を封じ、国内の粛清を・・・!?」


 自らの身の危険を察知し顔色を変える二人。デッケン伯爵はそれに答えこめず、ただ酒杯を握る手にぐっと力をこめた。






「もしそれが真実であれば、大変なことです。王位継承にも関わってくるのではありませんか?」


「まあ表向きはあの娘と王家とは関係ないとされているからな。だが真実とは常に強者によって作られるものだ。」


 デッケン伯爵の意図が掴めず、顔を見合わせる二人。


「強大な力を持つとは言っても所詮は一人の女だ。仮に我々と、王太子と不仲なパウル殿下が結託したとする。その殿下がドーラと婚姻したとすればどうだ。」


「なるほど!殿下は王国最強の騎士団と深いつながりがあり、ドーラはエルフ族の後ろ盾を持つ。そして二人を後援するのは、反王党派われわれというわけですな。」


 ペーパル伯爵の言葉を引き取って、カッテ伯爵がデッケン伯爵に尋ねた。


「圧倒的な力を背景にして、現王に禅譲を迫るということですか?」


「それもいいが、王家の力の源泉は、王家が秘匿している聖なる山だ。それさえ手に入れば、こんな古い盟約になど縛られる必要もない。それどころかその力を使って、我々が失った領地を取り返すことができるかもしれん。」


 その言葉を聞いた二人が思わず声を上げた。現在東ゴルド帝国となっている地域の多くは、王国の有力諸侯がかつて小国の主として支配していたものだ。それを取り戻すことは、反王党派と呼ばれる彼らの悲願でもあった。


 強い酒を呷りながら、デッケン伯爵は話をつづけた。






「ミカエラをただ殺すのではなく、人質として使ったうえで、東ゴルドのガブリエラに内応を呼びかける手もある。見返りは妹の命と、東ゴルドに奪われたかつてのバルシュ領だ。上手くいけば、東ゴルドそのものを手に入れられるかもしれん。」


「恐るべき計略ですな。これがすべて達成されればデッケン公、いやデッケン帝として大陸東部に覇を唱えることも夢ではありません!」


「このペーパル、デッケン帝にどこまでもついて参りますぞ!ぜひ私の力をお使いください!」


 三人は酒杯を打ち合わせ酒を流し込むと、今後の計画について話し始めた。これから始まる様々な計略の結果が出るのは6年後、ミカエラ・バルシュが成人し、結婚相手が決まる時だ。


 つまり計画の成否は、彼女たちが王立学校に通うこれからの6年間にかかっているということになる。明日はそのスタートとなる、王立学校の入学式だ。


 彼らはそれぞれの役割を確認すると、明日からの準備のために配下に指示を出した。






 夢と欲望、希望と謀略、期待と矜持など、多くの人の様々な思惑を孕んで、エマとドーラの学校生活が今、始まろうとしていた。

読んでくださった方、ありがとうございました。次回、入学式の後、閑話を挟んで121話より王立学校編です。

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