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あなたが見ず知らずの僕の命を救ってくれた本当の理由

*各話リスト(前半)*

第1話:人身事故(現在編)

・主人公の紹介、ヒロインとの出会いの話


第2話:僕のサークル「自由と規律ゼミ」(過去編)

・余は如何にしてカルトテ〇集団の一員となりしか


第3話:初デートのきっかけがひどすぎる件(現在編)

・電車で再びヒロインと再会する主人公が事件に巻き込まれる話


第4話:狙いはオリンピックだ(過去編)

・本格的に動き出したテ〇計画の全貌が明かされる話


第5話:午前はデートで自主休校にしたけど、決してリア充ではない(現在編)

・主人公の初デートがちっともときめかない件について


第6話 :決行前夜(現在編)

・テ〇決行前夜に主人公が思いだすことなど。

都心M線の地下鉄のホーム。朝7時47分。最悪のラッシュの最中、ボーっと僕は沈んだ気持ちで突っ立っていた。

大音量でイヤホンから流れるクラシックを聞きながら、、

・・Laufet, Brüder, eure Bahn,

「天の壮麗な配置の中を星々が駆け巡るように楽しげに」(第9、歓喜の歌より)

最低の気分だった。もう、生きていたくない。でも、死にたくもない。何もかもが嫌だった、死すら厭わしい。

「一番線、通過列車が参ります」

逃げたい、だれか、助けてよ。だれか!先輩!先輩に会いたい!

・・・Freudig, wie ein Held zum Siegen.

「兄弟よ、自らの道を進め」

直後、前方への衝撃で僕の足は地面を離れた。

今流れているのはドイツ語の力強い有名なサビの部分。

世界はコマ送りのようにゆっくりと流れ、左から死が突進してきている。

驚きはなかった。理不尽なこの世界は万事そういうものだからだ。

僕は全てを理解した。急いで来た公務員らしきジジイに突き飛ばされてこんなことになったこと。




・・・それから、見知らぬ少女が慌てて僕の左手をグイと掴んだこと。


ーーー

僕の名前は紫木野しきの 潟琉かたる。唐突にすまないが愚痴を聞いてくれ。

まず、大学を明らかに間違えた。浪人が怖くて学部を書きまくったから定員割れしてた文学部のギリシア語専攻に入ったのはいい。


なんだよ、あのギリシア語の教授。やれウスノロ(正しくはウーラノス)の大事なところをガミガミ奥さん(正しくはガイア)に斧で切り取られた(どんなプレイだよ)だの、それが海を漂ってアフロ(正しくはアフロディーテ)になっただの。

流石大事なところから生まれただけあって愛の神になってるとかただの下ネタだろ。そんな話を大勢の前で生き生きと話すコイツに恥じらいという概念はないのか?ともかく、あの教授はいけ好かないからいけない。

他の授業はつまらないだけだ。何のために授業に来ているのかわからなくなる。


授業がつまらないからってサークルでも入ろうと思ったのはいい。でも、楽しかったゼミ形式のサークルはもう、跡形もない。今日だってそのことで胃がキリキリと悲鳴を上げている。なんとか、彼らに犯罪を思いとどまらせるための方策はないものか・・・?

そして、都会の一人暮らしは辛い。誰も構ってくれない。誰も僕を心配してくれない。相談できる人も、もういない。


毎日電車に揺られて、そして今度は電車に◯されるのかあ。これが、世の中の害悪でしかないサークルに巻きまれたスネかじり大学生の末路なのか・・・?

世の中が灰色に見える。僕の目には色は映らない。いや、実際はどこも見ていやしない。

これは、僕の防衛本能なのかもしれない。辛いことを考えたくないから意識を曇らせて。でも、そこまでして楽しくもない授業とサークルに行って一体どうなる?なんとなく大学にあこがれていた去年の今頃のふわっとした自分を全力で殴りたい、いや、殴る気力もないか。


そうやってぼーっとしているから、見知らぬ人に突き飛ばされたんだ。


ーーー

まあ、そうならなかったわけだが。

僕の右の耳のイヤホンから相変わらず壮大な音楽が流れている。頭には入ってこない。

「なんで?」

僕は冷や汗を感じて足をブルブルと震わせてそれだけを言った。本当はお礼を謂うところなんだろうけど、そんな余裕はなかった。


「ご挨拶ね。(彼女も声を震わせていた)」

「なんで、見も知らない僕を」

「・・・」

「はい?」

「何にもわかっていないのね」

「え?」

「うるさいわよ!何?そもそも、助けるのに理由が必要だったわけ?」

一体この人はなんなんだ?彼女をまじまじと見た。

すらりとした体格で、長髪、整った顔立ち、赤縁の眼鏡。眼鏡の奥からは細めた鋭い目がこちらを見ている。僕をまるで見透かして遠くでも見てるんじゃないかってくらい。

でもどことなく落ち着くような、懐かしいような。

「あ、あのさ」

「あんたなんかにこれ以上、話すことなんてないわ」

彼女は僕をキッとにらみつけた。

「それじゃ」

あーー踵を返した。


途端に朝のラッシュの雑踏が僕の周りに蘇る。彼女の姿は人たちに紛れてすぐに見えなくなった。ちょうど音楽も終わった。


先輩にお勧めしてもらった音楽には幸運を引き寄せる力でもあるのだろうか?僕は、今さっき見た美少女よりも、先輩のことを僕はぼんやりと考えていた。


とかく、僕は女性に縁がない。変な期待をしないこと、そして期待させないこと。これがうまく世の中を渡っていくコツだと思う。そう自分に言い聞かせた。あの子は、なぜだかは分からないが僕を守ってくれた。心から感謝するだけ。彼女のことを思いやるなら、二度とこんなくず人間に関わらないでいてもらうことが一番いい。

いい夢だったんだ。うん。


可愛かったなあ。


・・・でも本当に、ろくなことがないのだから。



<注意>

本作品、「リケジョ×ポエマー = テ〇事件」はフィクションです。

本作品に登場する人物、いかなる設定も架空のものであり、個人の意見を表したり特定の個人ないし団体を批判するものでは決してありません。

また、本作品は他人に迷惑行為を行うことを推奨するものでもありません。筆者にその意図は全くありません。

ネット小説(というより文章)の基本がわかっていないので、見苦しい点が多々あるかと思います。ただ、自分が「これなら面白い」と勝手に思っている展開にはしたつもりです。

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