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プロローグ
文明が崩壊してようやく戦争が終息し、戦地にいた多くのアンドロイドや機械兵が荒野で野ざらしとなった。
人類のその後はよく知らない。
やることがなくなり、あんまり長く暇で退屈だったので、戦闘アンドロイドの少女――コトハは試しに巨大機械兵に勝負を挑んでみることにした。
あっけなく負けた。
片腕で簡単に弾き飛ばされ、今は宙を舞っているところだ。しばらくメンテナンスをしていなかったから、体が錆びて思うように動くことができなかったことが敗因に繋がったのかもしれない。
上空を猛スピードでぐるぐる回転しながら、コトハは自分のふっ飛ばされた方角について考える――このまま真っ直ぐ進んで行った先には、確か灰色都市があったはずだ。
「まだ、誰か住んでるかな……」
何にせよ、まずは無事に着地できるといいのだが。
灰色都市――コンクリートの建築物が連なった人工地盤幾層の巨大都市。
戦争の激化によって人類に捨てられたが、水とエネルギーを循環させるインフラは現在も正常に機能している。都市自体は遥か昔から存在していたようだが、詳細は不明である。