表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

瓜二つ

偶然というのは、運命的ですらある。


横浜駅、横須賀線14:24発、君津行き。

カボティーヌの女が、一人ホームに佇んでいた。


くるぶしまである黒のロングワンピースに、エナメルのヒールを素足で通し、長く伸ばした前髪をなびかせて。あの頃の、あの若さのまま。


目の錯覚。最初はそう疑った。

世には似ている人がいるもの。だが見れば見るほど、本人と見紛うばかりの横顔。


何よりも、あの笑顔。

たまごのように頬を膨らませ、小刻みに頷いて手を振る。あの頃の、あの笑顔のまま。


その姿は、何度も見た光景。

見送る彼女は、いつも淡く切ない優しさに満ち溢れていた。


だが、それは昔の話。

車両の誰かに手を振る彼女の姿を、今は、まるで脇役のように眺めるしかない。


甘く切ない記憶。

その片隅に置き去りにした、あのカボティーヌの女と瓜二つ。


美しくも醜い事実。

それは既に、現在というホームから、追憶という列車を走らせていた。


続く

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ