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聖杖物語黒の剣編エピソード3白銀の狼第3章白銀の狼Part2白銀の狼

虎牙は、ダークホラーと化した美琴を見た。

これから始まる闘いが、美琴を救う事になると信じて・・・

ギガントが嗾けた。

「さあ、巫女よ。憎い兄、虎牙を殺すのだ。お前を見捨てた虎牙を!」

ー何を言ってるんだ?こいつは。オレが何時美琴を見捨てたってんだ!!- 俯き加減の美琴が近付いて来る。何かを呟きながら。

「・・・・許せない・・・許せない・・・」美琴は呪文を唱える様に同じ言葉を発している。

「美琴!!」オレが呼び掛けると赤黒い瞳をこちらに向け、右手を高く掲げる。掲げた手の上に、赤黒く澱んだ空間が現れる。

「・・・どうして?・・・どうして助けてくれなかったの?お兄ちゃん・・・どうして見捨てちゃったのお兄ちゃん。信じてたのに・・・許せない・・・許せない・・・」美琴は赤黒い瞳から涙をこぼしながら言った。

「すまない、美琴。だけど見捨ててなんていないから。オレは美琴の事を。」オレは、必死に美琴に告げるが、

「お兄ちゃん、信じてたのに・・・許せない。黒い風<ブラックウインド>!」美琴の右手から無数の黒い矢が向かってくる。

「美琴!!やめるんだ!!」オレは矢を避け、剣ではじき返しながら叫ぶ。しかし、

「そうだ!巫女、殺れ、殺ってしまえ。お前を裏切った憎い兄を。愛する者を!」ギガントは美琴を煽り立てる。

「愛する者を殺してしまえ!その時真の巫女として覚醒出来るのだ!はーっはっはっはっ!!」ギガントは高笑いしながら、美琴をさらに煽り立てた。

「黒の矢!」美琴は次々と攻撃の手を緩めない。何本もの矢が、オレに向って襲い掛かって来る。さけても、さけても・・・・。

「ぐはっ!」その中の一本がついに避けきれず突き刺さった。美琴が、

「どう、お兄ちゃん?痛い?痛いよね。その痛みの何倍もの苦痛を受けたんだよあたし・・・。犯されて、汚されて・・・助けてって言ったのに、お兄ちゃんは助けてくれなかった・・・信じていたのに・・・許せない。」

ーなんだと?美琴が?・・・美琴がそんな目に逢わされてしまったと云うのか。オレの美琴が!-

「ギガント!貴様!!オレの美琴を!許さん!!」オレの怒りが爆発する。怒りがどす黒く渦巻き、それが頭の中で弾けた。

「うおおおおっ。」オレは叫びながら美琴の後ろで見下しているギガントに突きかかった。

<ガギィィィン>オレの振り下ろした剣を受け、自らの剣で受け流し、

「ふっ!貴様の相手は美琴であろうが!」虎牙の剣を振り払いながらギガントは言う。

「くそっ!」オレは飛び退き、ギガントを睨む。

「お兄ちゃん、これでどう?黒の破弾!」美琴の右手から、爆発火球が発せられオレは避けることが出来ずに、吹っ飛ばされた。

「うがっ!」叩きつけられ、意識を失いかける。美琴が倒れたオレに近付き、右手のブレスレットから短剣を出す。それをオレに付き付け、

「無様ね、お兄ちゃん。あたしもあの時そうだった。汚しつくされボロボロになっても信じてた、お兄ちゃんがきっと助けてくれるって。なのに何で、剣で突いたの?刺された痛みより裏切られた思いの方がずっとずっと苦痛だった。死ぬより辛い思いだった。だから、許せない、許せないよ。さあ!同じ思いを味わって!!」美琴は、そう言って短剣を振り上げた。

ー美琴、お前そんな苦痛を受けてしまったのか。すまない、助けてやれなくて・・- 美琴が短剣を振り下ろす、

「!!」オレは目を瞑って剣が刺さる瞬間を待った。 <ギィィン>

ー!?-目を開けると美琴の短剣がもう一本の剣に阻まれていた。その剣を持つ者は・・・

白銀色に輝く、鋼の鎧。

「まっまさか!・・・オ・ヤ・・ジ・・・!?」

その姿は、5年前に別れた時のまま、白銀の狼・・・。

ーオレの中に居る本当のオヤジの姿だ。一体どうして?-白銀の狼、その姿が言った。

「虎牙、美琴を救えるのは、お前しか居ない。救ってやってくれ、頼むぞ。」そう言って美琴の短剣を跳ね除ける。短剣を弾かれた美琴が、

「あなたは誰?邪魔をするなら容赦はしない!」そう言って右手を翳す。

狼牙が剣を構えて名乗った。本当の名を。

「私は、白銀の狼ー狼牙。お前の父だ!冴騎美琴!!」

美琴の右手が止まり、困惑した様に、

「父?お父さん?・・お父さん?」と、呟く。

狼牙が美琴に近付く。だが、

「ぐぬぅ、何故だ狼牙。貴様どうやってダークサイドから抜け出たのだ。オレ様の呪法をどうやって解いたのだ!」ギガントは歯軋りしながら、狼牙に言った。

「光だ、光が私を呼び覚ましたのだ。四天王ギガント。もはや、私には恐れる物等何も無い!決着を付けさしてもらおう。」

「くそう、狼牙。貴様、このオレ様を倒せばどうなるか知っていようが!貴様はオレ様の呪が消えれば同じく消え去ってしまう事位!!」狼牙がゆっくり剣をギガントに向け言い放った。

「言っただろう。もはや恐れる物等何も無いと!ギガント貴様だけは私が倒す!!」言葉が終わるや否や、狼牙はギガントに打ち込んだ。

「ぐおおおっ、キッ貴様っ!」ギガントの剣が火花を散らす。狼牙の持つ幻狼剣が更に力を増し、ギガントの剣を弾き飛ばす。

「ぬおおおおぉっ、!」狼牙の気合が増大していく。

「キッ、貴様!そ、それは!!」

「ふっ、ギガント。これがあの時、私が打てなかった技。美久を人質に取られたあの時に打つべきだった剣。」そう言う狼牙の鎧が白く光を放って、

「神狼破<ゴッデスレイブ>!!」

狼牙の体が光と共に巨大な破壊波となって、ギガントを斬った。

「ぐがああぁっ!馬鹿ナー!!」断末魔の叫び声と共に、ギガントは光と共に消え去った。

後にはギガントの姿も、狼牙の姿も消えていた。ただ、光の粒がゆらゆらと舞っているだけだった

どうやって狼牙は正気に戻れたのか?そして美琴はダークホラーから抜け出る事が出来るのか?

次回 第4章絆<ネクスト>Part1パクネの解放

次回も読んでくれなきゃだめよーん!

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