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聖杖物語黒の剣編エピソード3白銀の狼第2章四天王ギガントPart1邂逅

パクネと共に魔獣界へ来た美琴に、狼牙が話す。美琴の母が聖姫であることを。

そこへ四天王ギガントが現れ美琴の秘密を暴こうとする。

パクネの手を握り、暗い闇の中を歩く。どれだけ歩いただろう。やがて大きな扉の前までやってきた。

「狼牙様、美琴様をお連れしました。」そう言うとパクネはあたしを伴い中へ入った。松明の灯りが揺らめく室内に、狼牙父さんが佇んでいる。

「美琴、よく来たな。待っていたぞ。」

「お父さん、教えて!あたしは一体何者なの?これからどうすればいいの?教えてよ!」あたしは狼牙父さんに訊く。少し間をおいて、狼牙父さんはあたしに近寄り話し始めた。

「美琴よく聴くのだ。お前の母は、聖姫。聖獣界の巫女であった者だ。巫女は獣皇に仕え、水晶を守る者だ。聖獣界の水晶はピンク水晶、その力は魔獣界の黒の水晶と同等の力を持つ。ピンク水晶の力を具現する物は杖。黒の水晶は剣。その力を発揮する時に変化するのだ。今、黒の剣は北の黒王が手にしている。対してピンク水晶は、聖姫が持っていたのだがばらばらに散り、継承者達に渡ったのだ。その継承者の一人が美琴、お前だ。」

ー巫女の継承者?あたしが?- あたしを見つめながら狼牙父さんは続ける、

「お前の髪飾りは、聖姫がおまえに渡す様に私が預かった物だ。その髪飾りは水晶の欠片と獣皇の毛で造られ、お前を守ってきたはずだ。美琴、お前は母に会いたくはないか?」

ーえ?お母さんに会えるの?-

「お前の母は北の黒王の元に居る。お前がもし会いたいのならば、我がダークサイドの住人になる事だ。さすれば北の黒王の元で母と会うことが出来るであろう。さあ、どうする美琴。」

ーダークサイド・・・それってもう人間じゃなくなるって事?お母さんには逢って見たい。遭って話をしたいけど・・・でも。- あたしの脳裏にマコやヒナの顔、獅道兄さんそして虎牙の顔が浮かぶ。もしダークサイドに入ってしまったら、虎牙に会えなくなる。仮に会ったとしても敵同士。殺し合いをしなければいけなくなる。・・・そんなこと出来ない。虎牙と争うなんて考えるだけで嫌。

「出来ません。いくらお母さんに逢いたいからって言っても、ダークサイドに入ってしまったら虎牙兄と闘わなければいけなくなるから・・・嫌です、そんな事出来ません。」あたしの返事に、狼牙の目がすぅっと細くなる。

「そうか、嫌か、美琴。お前は間違った選択をした。ならば巫女と同じ様に永遠に囚われの身となるが良い。」 狼牙の瞳が赤黒く光り、手に持った剣が黒い霧を放つ。

「え?きゃあああっ!」黒い霧があたしの身体を包み体の自由が奪われる。

「狼牙お父さん、やめて!何をするの?」 狼牙父さんはあたしに言った。

「美琴、お前の身体を調べる。水晶の在り処をな。身をもって間違った選択をした事を後悔するがよい。」

「お父さん、狼牙お父さん!嫌ぁ、一体これからあたしをどうする気なの?」

「ふふっ、それは北の黒王が四天王の一人ギガント様が決める事だ。」

「四天王ギガント?」

「そうだ、オレ様が決めるのだ。」狼牙父さんの後ろから2メートルを越える大男が現れ、あたしを見下ろして言った、

「水晶の巫女よ、ありかを教えねば死ぬより辛い苦痛を与えるぞ、よいな。」

「え?あたし水晶の在処なんて知りません。」

「ふふふっ、その減らず口が何処まで持つか楽しみだ。美琴よ。」

ーそんな!?本当に何も知らないのに。- ギガントがあたしを黒い霧事軽がると持ち上げて連れて行こうとする。

「お父さん!狼牙お父さん助けて!」必死にお父さんに頼むが、狼牙父さんは身動き一つしなかった。

ーお父さんそんな・・・あたし・・・もうだめなのかな?後悔なんてしない筈なのに。ー 今は自分が愚かで弱虫で、情けなくてどうしようもなかった。

ー虎牙兄ごめん、最後まで迷惑掛けっぱなしで・・・あたし、もうだめかもしれない・・・- ギガントに連れられていく中、自分自身の愚かさに涙した。

「ぐはははっ美琴よ。お前の中にある水晶を見つけてやる、覚悟しろよ。オレ様は狼牙の様に、甘くはない。死ぬほどの苦痛を与えてでも、手に入れてやるぞ。」大男のギガントは言い放った。

ー苦痛・・・嫌だ、そんなの嫌だ。・・・何をする気なのこの男は?- 怯えた目でギガントを見ながら何とか逃れようと必死で体をバタつかすが何の意味も無かった。ギガントはあたしをガラス張りの小部屋に放り込んだ。

「痛っ!」床に乱暴に投げ込まれ尻餅をつく。そこでようやく黒い霧から解放された。

「ふふふ、この中ではお前の過去が全て見る事が出来る。お前が覚えていようがいまいが関係なしにだ。」

「あたしの過去?」

「そうだ。生まれた時から今迄の全てが明かされる。そうすればお前は全てをさらけ出されるのだ。このオレの前にな。」

「そんなこと出来るの?」

「くっくっくっ、問答無用!始めるぞ!!」そう言ってギガントはガラス張りの部屋の扉を閉めた。<グオングオン>何かの機械音が鳴り始める。

ー!あっああっ!- あたしの意識の中へ何かが入ってくる。まるで何かがあたしの意識をこじ開けようとしているみたいに。

ーうわっ!うわああっ。何?この感じ。嫌っ、やめて!見ないで、見ちゃ駄目。- 虎牙兄の記憶、マコやヒナの記憶、何もかもが盗まれていく。

「イヤッ、嫌あぁ、もうやめて。見ないで、盗まないで。」あたしは必死に叫ぶ。だが、どんどん幼い時まで記憶が遡って見透かされていく。

ーあっ、あたしの小さかった頃、こんなだったんだ。-それは赤ちゃんのあたし。狼牙お父さんと美久お母さんに抱かれて光を浴びて喜ぶ姿。あたしには残っていない記憶。そして、あたしを抱いている人の姿が・・・。

「これは誰なの?」あたしを抱いている女の人。光り輝く中で、あたしを抱き上げていとうしんでくれている人。

「本当のお母さん?聖姫さん?」その人はとても優しそうで、美しく微笑みを絶やさない。

「この人が聖姫さん・・・なんだ。」そして聖姫さんの後ろに黒い影が迫り、悲しそうな顔であたしを取猫さんに渡し、聖姫さんが何か杖の様な物を振り翳し。

「ああっ!」 杖は粉々になって砕け散ってしまった。後には黒い影も、聖姫さんも居なくなり砕け散った杖の一部があたしの体の中に入っていった。

ー何だろう、あれは?-そこで記憶は途切れた。

「ぐはははっ、解ったぞ!」突然ギガントの大声が響き渡る。そして、ギガントがガラス張りの部屋の中へ入ってきて言った。

「美琴よ。お前の中にピンク水晶があるのが解った。つまり、お前自身がピンク水晶なのだ。」勝ち誇った様にギガントは、あたしを見下ろす。

ーあたし自身が、ピンク水晶?どう言う事なの?-ギガントの言う意味が、あたしには解らなかった。

次回予告 Part2落ちる心

美琴に危機が迫る。ギガントの魔の手が美琴を苦しめる。

美琴は、ギガントに打ち勝つ事ができるのか?

次回も読んでくれなきゃだめよーん。

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