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「まぁ、そう怒んなってさっきは笑って悪かったって」
俺はしょぼくれたまま、キーンさんが作ってくれた野菜サラダと黒くて硬いパンと何の肉かは分からないハムを食べていたのだが俺が怒っていると思い謝罪したわけだが……
別に俺は怒っているわけではない。
あいも変わらずな無能っぷりに呆れているだけだ。
「にしても、【指揮】なんてスキル持ってるってことはお前さん生まれはええとこの血を引いとるんか?」
キーンさんの話ぶりからして【指揮】スキルは珍しいスキルの一つに入るらしい。
ふむ…これはいいことを聞いた。
「いえ、普通の家庭ですよ」
【指揮】スキルの話を聞いて少しだけ気を良くした俺はさっきより幾分かにこやかに答えた。
心なしかさっきよりご飯が美味しく感じた。
「食い終えたか?なら、村の方に顔出しに行くぞ」
さも、当然といったようにキーンさんが言い放つ。
「ぇ?あ、はい」
「お前の服もズタボロだしな、その服がお前の生まれんとこの旅装束なのかもしんねぇけどよ、もう使えねぇだろこれ。」
確かに、今、俺が着ている学生服は転げ落ちた際に木の枝でも引っかかったのかズタボロという言葉がふさわしい形だった。
「お前さん金もねぇんだろ?それに、旅人だってのに武器の一つも持ってねぇ…強盗にでもあったのか?」
怪訝な表情をしながらキーンさんはタンスの中から自分の着ている白い布製の服と茶色のズボンを取り出した。
「いえ、そういうわけではないんですけど」
「まぁ、いいか、とりあえずこれ着とけ」
そういいながら先ほど取り出した衣類を俺に投げつける。
服を着替えようとして携帯電話のことを思い出す。どのポケットにも入ってない。
それに、鞄もない。
「あのー…俺、荷物持ったませんでした?」
俺はキーンさんに尋ねる。
「荷物も何も、お前さん何も持ってない状態で気失ってたからなぁ〜」
ん〜〜
カバンがないのはまぁ良いとして携帯電話がないのは少し現代人として心もとない。
多分ここは電波が繋がっていないとはいえやはり携帯電話はてばなすことができないのだ
。
とりあえず、俺はもらった服に着替える。
「じゃあ、行くぞ」
「はい」
俺とキーンさんは家を出た。
「へぇ〜、この子が朝言ってた旅の子かい?」
恰幅の良いおばさんが俺の方を興味ありげに見ている。
おばさんは、村でアルマ商店をやっていて、
アルマ・バーバラさんと言うらしい。
「黒髪なんて、ここらじゃ珍しいじゃないか」
確かにおばさんは髪の毛は金髪だし、キーンさんは赤色の毛だ。
「あぁ、なんでもニホンとかゆう田舎生まれらしいからな」
なんて、キーさんとアルマさんが会話する隅で俺は商店の商品を見ていた。
おそらく村の何でも屋というところだろう。
日用雑貨品から、食料品、はたまた剣や斧に加えて鍬や鋤などの農耕用具までもが置いてある。
そして、目に付いたのは貨幣の単位だ。
日本なら円だった単位が王国金貨・銀貨・銅貨の三種からなる値段付けだ。
この貨幣の価値は後でキーンさんに聞いたところによると銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚と言う設定になるらしい。
要するに銅貨は一円玉、銀貨は百円玉、金貨は一万円札といったところだろう。
俺と、キーンさんはアルマ商品を後にして村長の家へと向かった。
この村は古代の日本で言う環濠集落のような作りになっていて村の周りに堀が有る。
何でも、魔物に備えて近くの川から水を引いてきたらしい。
と、言っても土魔法と水魔法で作り上げた堀のため規模は大きく日本で言うと日本の一つの町や村の規模に匹敵する。
その堀の中に木造りの家が何軒も立ち並びその中央に村長の家が有る都行った町の作りだ。
「村長様、いるかぁ〜〜?」
キーンさんが様をつけて呼ぶ割には砕けた感じの口調で村長を家の外から呼ぶ。
村長の家といっても確かに他の家よりは大きいがまぁ、常識の範疇といったところだろう。
「なんじゃ、キーン、昼間っから騒がしいの〜お前は」
そういいながら玄関から出てきたいかにも好々爺といった感じの白髪のおじいさんはキーンを見ながらそう言っていたが俺を発見すると俺に警戒の眼差しを向けて俺をじっくりとまるで品定めでもするように見つめてきた。
コン
っと、キーンさんに肘でつかれ俺は慌てて自己紹介をする。
「あ、えっと日本から来ました北条氏明です」
「ほぅ…聞いたことのない所だねそれに、珍しい名前じゃの〜…」
村長は訝しげな表情をしたものの好々爺の穏やかな表情に戻った。
おそらくこの人は俺を危険はないと判断したのだろう。
「こいつ、旅人なんだがよどうするよ?
とりあえず、【獣魔の森】で倒れてたから運んできたけどよ、村に置いといてもいいか?」
この言葉を聞いて俺は一瞬ビックリした。
まぁ、確かに俺は拾われの身で追い出されても文句は言えないだろうが、そんな追い出されるなんて考えてもみなかったのだ。
「ふむ…まぁ、よかろう。村に害をなすような輩でもなさそうじゃしのぉ」
今度は表情を崩さずに俺の目をまっすぐ見ながら村長はそう言った。
「ん、了解、んなら当分の間は俺の家で保護すっからよ、そんでいいか?」
「うむ、かまわんよ」
取り敢えず、追い出される心配はなさそうだと、わかり一先ず俺は安心した。
いきなり村長の家に連れ出されてそんな話をするなんて、日本の常識からは外れてる…
そんなことを思いながら俺とキーンさんは村長の家を後にした。
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