2ー11
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ガタンゴトンガタンゴトン
と、音を聞きながら俺は馬車に揺られている。
あの後、特に交渉というわけもなく俺が速攻土下座を決めて相手を引くに引けない状況にするという必殺技をかまして俺とミーシャは馬車に護衛という形で乗せてもらった。
本来、護衛なら辺りを索敵するなどやることは多いのだろうがまだ、冒険者になってもいない俺たちは何もせずミーシャと共にクルトの話を聞いていた。
「いいですか?
冒険者、と言うものは多くの道具…武器や防具に始まり傷薬、時には爆薬や魔硝石など多くの道具を用いる必要があります」
「「は、はあ」」
なんだか、年下に冒険者についてしかも没落してしまった商人に語られるとなんだか気が抜けてしまう。
「駆け出しの冒険者と言うものは、受けられる依頼が限られていて報酬も多くありません、すると、多くの人が安いものを求めます」
これは、俺でもわかる。
自分の金がないうちは安いもので我慢しようとする。それは普通の考えだろう。
「そして、それを利用して金を巻き上げようとする悪い商人さんなんかも王都にはたくさんいます」
まぁ、どこの世界にも外道はやはり存在するわけで…まぁ、地球にもそういった人はいるしね。
「そして、ひどい場合は粗悪品をつかまされそれが理由で命を落とす冒険者も少なくありません」
日本ならまず、そんなことになったら訴訟が起こり賠償請求、となるんだろうがここの法制度ではこれを取り締まることはできないのだろうか?
「そういうのって、王国も取り締まってるのじゃないの?」
俺の疑問をミーシャが代弁してくれた。
「もちろん、国も法としては取り締まっていますが完全に縛ることはできず法の抜け穴やことが露見しなければと言う考えで行う商人もいます」
なるほど、信用できる商人が王都で冒険者をする上での秘訣と。
その上で、俺たちを自分の顧客にしようとしているわけか。クルトのやつめなかなかに頭が回るやつじゃないか。
没落してもそこは商人にというわけか。
小さいくせに一丁前なやつだ。
「そこでですね、僕から提案があります」
「モーゼス商会をこれからも利用しろ、と?」
俺は先ほど考えたクルトの目論見を言われる前に言うことで完全に相手にペースを持って行かれることを防ごうとする。
「いえ、それはおいおい僕も商会を復興させてからで結構です。
僕があなたたちに提案するのは【鑑定】スキルの伝授です」
「【鑑定】スキル?」
「ええ、【鑑定】スキルは商人を務める上で必須スキルと言われておりあらゆる道具、食物などの鑑定を行うことができるスキルです」
確かに、【鑑定】スキルで鑑定する事で粗悪品をつかませられることは無くなるだろうがこれを俺たちに教えるメリットは、クルトにはないはずだが…
「ねぇ、なんで私たちにそんなものを教えてくれるの?」
ミーシャがまたも俺の心を代弁する。
「いえ、あなたたちは僕、いえモーゼス商会に一度でも足を運んでくださった大事なお客様です。そんな人たちが一部の悪い商人たちの手によって命の危機にさられるのは避けたいですからね」
「はあ…」
俺は、先ほどクルトが頭の回るできる商人だと思ったがどうも思い違いだったみたいだ。
クルトは商人うんぬんよりも善人というべきだ。
この先、商人としてこの善人振りが壁にならないか不安だが確実に悪い奴ではない。
「是非教えてください」
俺たちは、そんなクルトの提案を受けることにした。
【鑑定】スキルはスキル自体の習得は難しくなく、馬車の中での暇つぶしのような感覚でクルトが実際に粗悪品と通常の品を持ち出してレクチャーを行うというかたちで話を聞いた後に、俺たちがその二つを見比べて身当てるという簡単な作業だった。
なんでも、物を見る目がある人は一発でスキル取得したり話を聞くだけでスキルを得ることができるらしいが、多分それは才能のある人の話。
俺とミーシャは日が暮れるまで粗悪品と通常品の差を比べ続けてようやく習得することができた。
さっき買った骨も【鑑定】スキルを使えば…
【朽ちた骨】
品質 良
モンスターの骨が風化したもので強度はないが簡単な骨細工に向いている。
と、品質と簡単な解説が頭の中に浮かんでくるのだ。
これも、異世界のスキルによくあるスキルだが、まさか自分が手にする日が来るとは…
俺は、手にした【朽ちた骨】を見ながらそんなことを思っていた。
「に、しても何にも出てこないしさっきからすれ違うのは馬車ばかり本当は護衛なんていらなかったんじゃないの?」
と、横でミーシャがクルトに質問していた。
確かに、ここまで一度もモンスターと出くわしていない。それどころか、他の商人の馬車はよほどしっかりした馬車に乗っている人でない限り護衛を付けずにいる始末だ。
ここまで安全なら護衛を雇う必要はなかったのではないだろうか。
「ここは、確かに王国の開いた街道ですから余程モンスターに襲われる心配はありません。ですが、夜道となるとやはり危険ですし、それに困っているお客様はほっとけないですから」
やはり、クルトは善人すぎるようだ。
いつかそこにつけこまれて損をしなければいいが…
俺たちはそんなことを思いながら夜の街道を馬車に揺られていった。
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