2ー8
夏休みが終わり学校の方が始まり、課題テストなどに追われて投稿する暇がありませんでした。
すみませんm(__)m
これからは、頑張って投稿していく予定です。
読んでくださる方々
ありがとうございますm(_ _)m
感想、指摘、アドバイス等お待ちしております。
川場で道を外れた本来の目的である体に着いた土汚れを落とすために軽い水浴びをして、再び街道に戻ってきた。
日は既に傾きすっかり夕方といった感じだった。
水浴び中は、俺がミーシャの裸を覗かないようにということで、許可が出るまでは川辺でモンスターを警戒していた。
俺の水浴びはミーシャに上から【水玉】を落とされて終わった。
これができるなら、わざわざ水浴びをしにくる必要はないんじゃいか?と、ミーシャに疑問をぶつけたが
「男とレディは違うのよっ‼︎」
という、なんの理由にもなっていない理由で押し切られた。
ただ、一つはっきりわかったことがある。
【水玉】による洗浄は意外に綺麗になる!ということだ…
「今夜はここで野営だな」
あれから特にモンスターに出会うこともなく順調に歩みを進めることができたが、完全に陽が落ちて視界が悪くなる前に野営の準備をすることに決めた。
「そうね、と言うかあんた寝袋とかテントとか持ってるわけ?」
「あ…」
この世界にそんな概念があるなんて…
と言うのは、俺の見苦しい言い訳でそんなことは、毛ほども頭に浮かばなかった。
「私のテントはあるけど絶対に中に入れないからねっ‼︎」
なんだか、俺に対するミーシャの態度は、嫌われているというか扱いがひどい気がする。
まぁ、俺も年頃の男子が一つ屋根の下、もとい一つテントの中で寝るのは倫理的にいただけない。
悔しくなんて…ない。
俺は、野営地に決めた辺りに落ちていた大きめの石と落ちている小枝を集めて火をおこす。
今夜の夕飯にありつくためだ。
ちなみに、俺は準備係、ミーシャは調理係だ。
すると、ミーシャが腰に下げていた直径10センチほどの小さな袋からその袋には収まりきらないはずの大きなまな板と包丁、調味料を取り出していく。
「え?」
俺は、開いた口が塞がらなかった。
「なによ?」
相変わらずミーシャは上から目線だが今はそんなことはどうでもいい。
「なぁ、それって…まさか」
そう、ゲームでおなじみのアレなのか?
「はぁ?あんた、アイテムポーチ見たこともなかったの?あんたどんだけ田舎もんなの?」
嘲笑されているがそんなことが気にならないほどの衝撃だった。
確かに、ミーシャの荷物は俺に比べればかなり少なく腰に下げているその小さな袋と肩から下げている鞄が一つだけ。
それも、俺のものよりもかなり小さいコンパクトな鞄。
「なぁ、そのアイテムポーチは容量無制限なのか?」
「あんたねぇ…そんな国宝級の魔道具なんてただの村娘が持ってるわけないでしょうが」
「あ、ぁぁ、そうか、なるほど」
「私のは、父が知り合いの冒険者から貰った20個までの物を収入できるアイテムポーチよ」
ふむふむ…
収納できる容量に限りはあるがあれがあればかなり便利な代物だな。
「冒険者になれば誰もが先ず最初に手に入れようとするものの一つに来る道具だから、そこそこの値段はするはずよ」
まぁ、さっき魔道具と言っていたあたり特別な魔法が付与されていたり、特別な素材を使っているんだろう。
「だいたい、いくらくらいなんだ?」
「えっとー…確か、ものにもよるけど最も初歩的なものとしてアイテム10個で重量制限有りの物で銀貨5枚が相場だったはずよ」
取り敢えず旅の当面の資金としてキーンさんにもらった銀貨が9枚残ってるから、初歩的なものよりは少しマシな物が買えるか。
そんなことを思いながら、料理を開始しだしたミーシャを見る。
ミーシャは、さきほどのアイテムポーチから食材を取り出して手際良くカットして水筒から取り出した水を鍋に入れてその中に野菜を入れていく。
どうやら、今夜の食事はスープのようだ。
コトコトと煮込む音がとても美味しそうに聞こえる。
俺は、この世界に来てから初めて【料理】スキル持ちの人の料理を食べるはず…だ。
あのおばちゃんが【料理】スキル持ちかは、はっきり明言していないからわからないけど多分スキル持ちならあの場で明かしていただろうし、持ってないんだろう。
そんなことを考えていると
「ねぇ、あんた王都まで行ったらやっぱり軍に入るの?それとも騎士を目指すの?」
「え?」
いきなり、マジなトーンでミーシャにこの先のことを聞かれて驚く。
王都についてから…か、具体的なことは考えてなかった。確か、俺の持ってる【指揮】スキルはかなり有用な物で国も欲しがってるとか言っていたし軍や騎士になるのもいいか…
「何の目的もなく、王都に行く。
なんてことはないんでしょう?
あんた、噂通り【指揮】スキル持ってるみたいだし」
「まぁ、特にまだ決まってはないけど生活ができる程度に金が得られればそれでいい」
確かに、国や軍の直属の組織に入ることで俺は当面の金や生活に困ることはなくなるだろうが、俺は生粋の日本人でありましてやただの現代人。
軍や、騎士団のようなところに入って生活したいか?
と、言われれば答えはNOだ。
「へぇ…じゃあ、冒険者にでもなるの?」
一瞬、ミーシャは驚いたような顔をしてこちらを見上げるがすぐに鍋へと向き直り菜箸で野菜を突き刺す。
「俺は、人を支持したり集団をまとめたりすることに自信がもないし…冒険者の道も有りだな」
この世界に来てから、武器を手に持ちこうしてモンスターを狩っているわけだが日本にいた頃では考えられないものであるが、今もこうして生きていることを考えると冒険者になることが最も楽かもしれない。
「あんた【指揮】スキルの有用性はわかってるの?」
俺のなんとも情けない答えに少し幻滅しながらもミーシャは俺の分とミーシャの野菜スープを分けていく。
「確か、国の軍隊にも3人しか所有してるものがいないスキルだっけ?」
それを聞いてミーシャがますます幻滅していく。
「はぁ…あんた、本当に何にも知らないのね。あんたの持ってる【指揮】スキルは戦場で兵士に使えば見方を鼓舞することで味方の戦意を高揚させたり、パニックに陥ったり高揚しすぎて行き過ぎる兵士に指示することもできる。あんたのスキルの発動次第で戦局を大きく動かすこともできる代物よ」
「へぇ」
俺は、そういうことをする自信がないから騎士や軍隊には入りたくないんだよな…
「それに、歴代の英雄達もそのスキルを持ってる人たちが多いのよ」
英雄…か。
男なら一度は誰でも憧れたことがあるだろう
その言葉の響きは俺には似合わない。
でも、この国の歴史にもかかわりそうなことだし聞いておくか…
「へぇ、英雄ってどんな人がいたんだ?」
「先ずは、建国王ミリガルド・アズグレードが代表的ね、この国を一から起こした英雄。
次は、500年前に大規模な反乱が起こった時の国軍の将軍、戦鬼ラウル・フィリップ。
60年前の戦争で敵国の兵士5万を500人の兵士で足止めし国の勝利に貢献した現国軍将軍
オルバ・アールトン。
他にもたくさんいるけどこの人たちが代表的な英雄ね」
「へぇ、英雄か」
俺は、出来上がった野菜スープを受け取りながら少しだけ英雄について考える。
日本にいた時はそんなものには絶対になりえないものだった。
なにせ、才能がないから…
でも、ひょっとしたら俺にもそれになる資格がこの世界にはあるのかもしれない…
そんなことを考えながら俺は味のことなど忘れて野菜スープを飲み込んだ。
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