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祭も佳境へと向かい、完全に陽は沈み夜になっていた。
俺とメイリーンは、気がつけばアルマ商店まで来ていた。
当然、アルマさんもメイリーンも店にはいないため店には『本日休業』の張り紙がしてある。
そろそろ、話すか…
話さなきゃならないことを。
「そいや、あの剣折れちゃったごめんね…」
「また作ればいいんだから気にしないで」
俺は、まずは剣の話題から入る。
そして、裏庭へと二人で歩いていく。
「ここで、あの剣を作ったんだっけ?」
「そうでったね〜」
二人で、懐かしむ…
俺は、もう来ないかもしれないな此処には。
「俺、さぁ…明日旅に出るよ…」
俺は先ほどのキーンさんのとの会話を思い出す。
「なぁ、坊主、お前…旅にでないか?」
「……旅ですか?」
俺は素っ頓狂な声を出した。
「これは、真剣な話だ。
これ以上、この村にはお前を置いておけない可能性が高いんだ」
「っ⁉︎……なんでですか?」
キーンさんから突然切り出された話は驚愕の内容だった。
「置いとけないんだよ」
キーンさんが悔しそうに拳を握る。
「あの戦いの後、ウルセル伯爵が直々に軍を率いて来られたんだ」
確かに、あの時伯爵軍が来ることは知らされていたがそれがどうしたんだ?
「辿り着いた時には、全部事が終わった後ってことも気に食わなかったんだろうが、俺と村長にお前の身柄を引き渡すように俺たちに命じたんだ…」
「伯爵様が?」
「あぁ…誰から聞いたのかお前の【指揮】スキルにも目をつけていてな」
「俺のスキルがどうかしたんですか?」
「【指揮】スキルは持っているやつが少ないかなり希少なスキルでな…王国軍にも3人しかいないスキルなんだ。
それを、持っているやつを発見したら、そこらの伯爵や公爵なんて自分の軍に加えたがるし王国軍に行けば一生雇ってもらえるくらいの希少なスキル…それをお前は持ってる」
俺は初めてそんな話を聞いた。
確かに、キーンさんも最初に【指揮】スキルを見た時は驚いていたがこんな価値があるなんて聞いてない。
「あの時は、俺が1年や2年の修行を積ませてから王国に送り出してやろうと思ってたんだが…ウルセル伯爵はタチが悪い。
ここで捕まったが最後、きっと王国には差し出さず一生飼い殺しにされる」
「っ…」
「それにな、最近ウルセル伯爵には黒い噂があってな…反乱を起こそうとしているらしい。
そんなところにお前を送り出すわけには行かねぇんだ」
キーンさんは苦虫を噛み潰したような表情をしていた。
「明日の昼にウルセル伯爵がもう一度この村を訪れる。
前回の時は、お前はもう旅立ったことにして押し返したがどこから漏れているのかお前が怪我人だということも知っていてな…帰り際に『でわ、3日後もう一度この村に来るとしよう…次はキーン殿の家でゆるりと茶会でもするかのう』って、言い放って行きやがった
」
「…それって」
「ああ、3日後お前を連れて行くって事だ。
幸いこのことを知ってるのは俺と村長だけ、それにお前は俺たちの見込みより早く起きたんだ。
今からでも遅くはない別れを告げるべきやつに別れを告げてこの村を出る準備をするんだ」
「でも、俺がいなくなったら」
俺がいなくなったら村長にキーンさんを含め村の人たちがウルセル伯爵に何かされるはずだ。
それは、俺が犠牲になってでも止めなきゃならない。
「大丈夫だ…あの方にはもう言ってある。
お前はもうこの村にいない、ってな。
だから、お前はきにするな」
俺は、先ほど聞いたキーンさんからの情報をメイリーンに説明した。
そして、明日旅立つことをもう一度告げた。
「いや……行っちゃいや」
「ごめんメイリーン」
「なら…私も連れてって」
泣きながらすがり付いてくる…
彼女はこの村に来てから間違いなく俺の心の拠り所だった。
そんな彼女を傷つけたくはない。
でも…
「俺と一緒に来ると、メイリーンまで危ないんだ…だから、ごめんね」
俺はこれから伯爵から逃げるのだ。
伯爵は王国に反旗を翻す可能性のあるほど危険な人物だ。
逃げるとなれば殺される可能性も高い。
俺と一緒に来るとメイリーンまで命を狙われる可能性がある。
「ごめんな…」
俺がもう一度メイリーンに謝ると、メイリーンは泣きながら何処かへ走っていた。
「これで、よかったんだよな?」
夜空に浮かぶ月を見ながら、俺は独り言をつぶやいた。
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