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俺は、朝からテンションマックスで修行の手伝いを行っていた。
なにせ、自分のレベルも上がったし新しいスキルも覚えることができたのだ。
ここのところ、キーンさんは自分から攻めてくるようになり以前にも増して実践トレーニングと言った感じになんってきた。
右サイドステップからの左ジャブか…
その動き読めたぜっ‼︎
「【旋風剣】」
俺は気合を入れて技能を発動する。
「まってたんだよ!そいつをなっ‼︎」
俺の剣がいつもと同じように下から斜め上と振り上げ始める。
それに伴って俺は体を回転させることで旋風を起こそうとする。
キーンさんは素早いステップで回転の逆側に回り込む。
一瞬でキーンさんに背中を取られる。
それに、気がついた俺は剣を止めることができずようやく視界の端にキーンさんが映る頃に重い重い左ストレートを顔面に食らう。
「ッ〜〜!」
初めて使った時からそうなのだが俺の技能がキーンさんに決まったことは一度もない。
それに、キーンさんも初めて使った時以外いっさい技能を使っていない。
まぁ、その初めての技能はこの目で捉えることはできなかったわけだが…
「まだ、気がつかねぇか?
技能つうもんは、確かに強力だがただ使ってるだけじゃ本当に強いやつにゃ全く通用しねぇんだ。
技能に頼らない戦い方を身につけろ」
つまらなさそうな声のトーンと顔でキーンさんに見下したように言われる。
ここのところ毎日この台詞をはかれているが正直、技能なしでキーンさんを倒せるはずもないし考えてタイミングを見て使っているつもりだが…
まぁ、いいや
そろそろお昼だ。
昼食を食べ終えた俺は昨日と同じ作業を終えて今日の農作業は終了。
ダッシュでアルマ商店へと向かう。
そして、商店の目の前に来て俺は気がついた。
【骨細工】スキルを習得した今、俺にはメイリーンに会いに来る口実がなくなっていたことに…
昨日帰り際に
「また明日〜〜」
なんて言ったから、顔だけは見せる口実はある。
そんな訳のわからない理由付けをして俺は店の中に入る。
「あ、いらっしゃ〜〜い。
ほら、メイリーンウジアキ君来たわよ」
店の奥から何かの牙のようなものや何やら細長い骨を持った、メイリーンが現れる。
「ウジアキ君、今日は武器の作り方教えようと思ってたんだけど…裏庭行こ?」
やっぱり、メイリーンは俺にとっての天使でした。
【骨細工】スキルを習得したからなのか、武器を作る作業は削って鋭さを出したり、骨や木など何かに穴を開けた部分に骨を嵌め込み固定したりすると言った作業だったが今日は言われた通りにサクサクと作業を進めることができた。
「じゃあ、いよいよ剣を作ってみようか〜」
そういいながら、メイリーンは一本のほぼ真っ直ぐに伸びた1メートル近い骨を取り出した。
「これは、昨日王都からの承認が持ってきてくれたんだけど巨大熊の骨よ。
これを使ってウジアキ君の武器を作りましょう」
満足そうにその骨を俺に手渡すメイリーン。
「あの〜…これってどれくらいのお金がかかったの?」
さっき、王都からの商人というワードが出たからな…
一応確認する。
「えーっとね…確か、銀貨5枚‼︎」
俺は慌てて財布の中身を確認する。
と言っても麻袋みたいな物なのだが、中に入っていたのは銅貨23枚だけ。
これは、キーンさんが買い出しの際に余ったお釣りやお金は俺のものにしていいと言われて貯めておいたものだが到底銀貨5枚には及ばなかった…
「め、メイリーン…言いにくいんだけど、
俺、銀貨5枚も持ってないんだ…」
俺は絶望に打ちひしがれた顔でメイリーンに白状する。
最悪だ、こんなかわいい女の子の前でお金を持っていないことで恥を晒すなんて。
「え?お金なんていーよ。
これはプレゼントだから〜〜」
ニッコリ笑った彼女の顔は天使の微笑みでした。
そこから俺は高ぶるテンションをなんとか抑えて、細心の注意と最高の集中力を持って骨を削っていった。
そして、俺の希望もありおおよそ日本刀のような形状の剣を作ることに成功した。
やっぱり日本人なら誰もが憧れる日本刀…
まぁ、骨だけどね。
俺はこの刀に【日本刀】と名付けた。
メイリーンに意味を聞かれたが適当にはぐらかした。
おそらく日本の存在なんて全く知らないメイリーンには説明のしようがないからな。
俺たちが作業を終えて帰ろうとする時には既に陽は落ちてお月様が出ていた。
「じゃあ、また明日ね?」
メイリーンは、何の疑問もなく俺が明日も来る、と、そう信じている。
「うん、また明日な」
俺もそう応える。
多分、用事なんてなくても口実なんてなくても会えればそれでいいんだ。
そんな、甘い考えが俺の頭を支配していた。
次の瞬間までは…
タッタッタッタ
いざ、家へと帰ろうとした俺の元へ誰かが走ってくる音がする。
かなりの距離を走ってきたのか男は身体中から汗を流し長く伸ばした茶色の髪の毛が顔じゅうにまとわりついていた。
「た、大変だ‼︎
闇狼の群れが堀を囲んでいて自警団の奴らが、その撃退にあたったんだ。
最初は良かったんだが奴らの群れのリーダーとやりあってた自警団の団長がやられて…その間にみんな返り討ちにあって…」
その言葉を聞いて俺は一気に不安にかられた。
俺はその男の胸倉を掴み場所を聞き出した。
そして、俺は駆け出していた。
嘘だろ?自警団の団長はキーンさんだろ…
まさか、殺られてるわけ無いよな。
そう思いながら全速力で俺は騒ぎのあった方へと駆け出していた。
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