76:現状把握という名の情報弐。
読まなくても支障はありません
最終章前なので情報整理用の人物紹介欄です
「備考」部分を主として75話までのネタバレを含みます。
沢渡井澄
二つ名:〝爪弾き〟〝異刀鋸〟〝黒糸矛爪〟
齢:十八
身の丈:アンテイクでは一番高い
目方:十四貫
服装:
黒のスリイピイスに身を包み、伊達眼鏡をかけている。細身ではあるが必要な筋肉量はある。舌に銀の短剣型刺飾金。
性格:
真面目几帳面。結構な書きとり魔で、手帖によって集めた情報を整理している。一年も住んでいないのに島での暮らしに慣れ、情報網も広い。仕事のさなかでも八千草を敬愛とも性愛ともつかない目で見ており、ときおり妙な行動に走る。
得物:
硬貨幣による指弾・羅漢銭(間合い五間)と鋼糸を操ることによる拘束・斬撃(間合い一間)。研削剤を用いた斬撃強化。中距離から間合いをとって戦うが、本来は物陰から狙う暗殺技。体術はからっきし。
能力:
〝身体強化魔術〟身体能力を強化する魔術。手首をぐるりと一周、刺青を彫ることで常時発動している。前述の指弾などの威力増強のため。刺青は「I needs some reinforcement.」と記されている。
〝殺言権〟舌の刺飾金を媒介にした術式。統合協会で手に入れた言語魔術。自分の認識した言葉の言霊を殺すことでその存在を抹消する。言葉を聴いた人間のうち対象者甲の記憶からは消し、対象者乙には残すなどの細かな振り分けも可能。一日に三回までしか使えない。
備考:
書きとり癖は言語魔術を手に入れたことによる副作用で、記憶が虫食いだらけになっているから。部分的に記憶を失っているだけなので総体的に相手を観、話を合わせることができているが、時々齟齬が生じていたのはそのため。記憶はここ二、三年のものが一番多く、それ以前は消失個所が多すぎる。
かつて出会ったころの記憶、別れた日の記憶などは残っているが、以前の橘八千草との記憶もほとんど残っていない。そのため「亘理井澄」と「沢渡井澄」のちがいについて苦悩し始めている。
橘八千草
二つ名:〝音無草〟
齢:十九
身の丈:四尺七寸二分
目方:十貫一斤一匁
服装:
ゴチツク調のドレスをまとい、長い黒髪を緋色の髪留めで一部だけ結っていたが、壊れたため現在は手首にさげる腕輪としている。片時もパイプを手放さない喫煙者。靴だけは常に編み上げの長靴。
性格:
代理店主を務めるだけはあり、この島では珍しいまっとうな人格の持ち主。だが逆にそのために知り合いは少ない。井澄より半年ほどこの島での暮らしは長く、登場当初からつきまとっている彼をぞんざいに扱っている。彼の好意にはまったく気づいていない。だが次第に彼女の方が惹かれつつあり。
得物:
刀仕込みアンブレイラ〝朱鳥〟を用いた剣術。片手打ちの取りまわしやすい刀であり、長脇差ほどの間合いにより室内でも力を発揮できる。実は柄に協力な撥條が仕込んであり、緊急時には刀身を射突することができる。有効な威力を保てる間合いは一間。
能力:
〝日輪〟視界内に超高温の爆焔を巻き起こす異能。発動媒介も詠唱も要しない、彼女が人外であることの証。人格が以前の橘八千草(井澄が呼ぶところの八千、以下八千と表記)であるときのみ使用できたが、徐々に現在の橘八千草(井澄が呼ぶところの八千草、以下八千草と表記)もその片鱗を使用可能となりつつある。
備考:
肉体に死の危険が迫った時、自動的に八千の人格に入れ替わる。互いに記憶は別保管であるらしく、共有はされていない。矢田野山を焼き尽くし陽炎事件と呼ばれる災害を引き起こしたことで、八千はその力の利用価値を見出された……と思われていたが実際には玉木往涯によって、力の発現からすべてが仕組まれたことだった。
情報操作で周囲の恨みを買い、負の力を集めることで人工的に生みだされた人外。日と火と干を司る異能者。歴史の闇にその実情を葬られた、明暦の大火を起こしたのと同じ異能の保持者。
三船小雪路
二つ名:〝食神鬼〟かつては〝赤無垢〟
齢:十六
身の丈:五尺三寸五分
目方:十三貫
服装:
西洋のシャツだけを着て、裾の長さで股下まで隠している。その上から赤い着物を羽織っている。足には太腿まで隠す長足袋。髪は総髪のようにまとめて前髪だけ垂らす。馬の尾のような髪型。寒いときはウエストコウトと帯を巻く。
性格:
享楽的で戦闘狂。なによりも戦いを愛し、己が傷つくことすらいとわない、というか愛しいと思っている……と思われていたがすべては演技。なによりも愛する兄のため自己暗示をかけ、大嫌いな痛みも兄のためと思いこむことで快感に変えていた。戦いに臨むのも、兄が戦う必要を少しでも減らすため。
普段は子供っぽく、わりとなににでもはしゃぐ。空気は読める方。ここは兄に似たか。実際のところ情が深く、周りのために自分をなげうつことに喜びを見出す性質。
得物:
なし。徒手空拳。やろうと思えば色香も得物足りえる。
能力:
〝摩纏廊〟鵺の髭である髪紐を媒介とした攻性補助用術式。詠唱は「纏え天地擦る力の流れ」。触れたものの摩擦係数を操る。足を滑らせたり、摩擦を強めて急停止したりと移動時の歩法としても用いる。
摩擦を強めた手足で相手の皮膚を削ぎ取る『衣我得』
指一本触れただけでも相手の動きを制する『一指不纏』
全身の摩擦を強化して鑢の如き鮫肌と化す『忌蝕獣』
接触時に滑らせてから摩擦強化することで強制摩擦を起こす『削裂装甲』
などの技を持つ。
一度に摩擦を変化させられる物体は二つまで、能力付加を為せる物体の大きさは自分の身の丈くらいまで、という制約がある。
備考:
賢くはないが、状況から諸々のことを悟っていた。そのためか、それともほかの要因によるかはわからないが、兄に対して特別な感情を抱いており、今日まで隠し通して生きてきた。
三船靖周
二つ名:〝殺陣鬼〟
齢:二十四
身の丈:妹より低い
目方:十三貫一斤
服装:
厚手の作務衣に、つぎはぎを充てるでなくそれのみで作ったような羽織をまとう。髪は短く後ろでひとつに束ねており、伊達煙管をくわえる。
性格:
享楽的で女好き。遊郭に出入りしており、このあたりの情報網を持つ。一人には縛られない主義とのことで所帯を持つつもりはない……などと言っていたが、実際には女性と関係をもてない体質。遊郭では日々の愚痴や鬱憤を話しにいっていた。五層五区に愛する妹と二人きりで、この島が四つ葉となる以前からここに暮らしている。
得物:
四振りの短刀を用いた短剣術。同時に四つ使うのではなく投擲に使うぶんを持ち歩いているだけで、基本的には右逆手に一振りのみ構えて戦う。また伊達煙管にも三寸の仕込み刃、吹き矢として用いる毒矢が仕込んである。
能力:
〝空傘〟符札を媒介とする神道系術式。風の神より加護を頂く。視界内の自作符札に念を込めることで、人間一人くらいなら容易く吹き飛ばす突風を発生させる。
符札さえあればいくらでも使えるのだが、術式は書きこんだ直後から少しずつ力を失っていくため一日に使える枚数は実質的には二十枚が限度。書いて一日経過するだけで威力はがた落ちするという。前述の羽織の中に大量に仕込んでいる。
備考:
居留地で自分を売って幼少期から少年期を過ごした。妹と自分を食いつながせるためで、中途で湊波に拾われて殺しなどの稼業に手を染める。この記憶から居留地を極端に嫌っており、嘉田屋に頻繁に訪れるのも少しでもあの場から離れたいがため。
山井翔
二つ名〝黒闇天〟
齢:三十路
身の丈:五尺五寸
目方:十三貫三斤
服装:
留袖の上から白衣を着る。髪は編み上げて結い団子状にまとめており、額を広く出している。後述の杖を持ち歩く際は布を巻く。
性格:
享楽的で女好き。男性も好きだが女人がもっと好き。また守銭奴であり、医者としての仕事の際は身内からでも搾り取る。そのかわり仕事の腕は確かで、医者としての務めはきちりと果たす。義理堅く人情に厚い。この島では生きづらい類の人物。
得物:
人頭杖という、人間の顔の部位がごちゃまぜに表出した杖。厄を感知し、自分に向けられた敵意に反応すると赤い煙を吐く。その量の多寡と噴き上げる速度で、相手のおおまかな位置や行動を判断できる。
能力:
〝厄廻払い〟人頭杖を媒介に、自分の周囲に黒い煙状の厄をまとって戦闘を行う。詠唱は「悪厄集えば災を成す。禍福糾える縄の如し。裏面済世・厄廻払い」発動中は潰れた左目が開き、黒色の液体を垂れ流す。また左顔面がひび割れて皮膚がめくれあがり、大変な外見と化してしまう。
閻魔の妃、黒闇天の異能。厄の黒煙は半径三尺を満たし、自由に移動させることが可能で触れたものに倦怠感を覚えさせ動きを鈍らせる。彼女自身が杖術を修めていることもあり、これを併用して前衛に立つことも可能。
また己の傷を抉り杖に厄を食わせることで、傷の治癒力向上・感染症予防に加えて厄を凝縮した〝煤〟の弾丸を精製し、遠距離へ撃ちだすことができる。また相手から受けた傷より精製した煤は、相手を視認していれば呪詛返しの効果が付加され確実に命中する。
備考:
「医者としてより多くの人を救うため」かつて黄土から抜け緑風に移る際に、覚悟の証として左目を潰した。本土の医者の家系の出。居留地で西洋薬学などにも手を出しており、治療の際は東西あわせたさまざまな方法を患者に施す。
長樂重三
二つ名:〝渦中の繰り手〟
齢:四十五
服装:
西洋のシャツにチョツキを合わせた、一般的な男性。
性格:
わりと親しみやすい人柄。本土にいたころに治水技術を買われてきた。赤火の所属ではあるが、バーを開いている職務上いろんな人間と繋がりがある。井澄とは互いが互いに利用してやろうと目論んでいる様子。赤火の主九十九美加登の腹心。ほかの赤火陣営からの信頼も厚く、また悪運が強く大抵の場で生き残る。
得物:
船幽霊の柄杓。穴が開いた柄杓。怪談で有名。
能力:
〝死丹水〟媒介は柄杓。詠唱は「出でよ死丹水」「変じよ死丹水」。柄杓の穴から大量の汚泥を噴射し、一帯に撤き散らす。あるいは視認した水を汚泥に変える。汚泥は単純に吹き飛ばして叩きつけるだけでなく、生き物が触れると時間経過と共に接触部位が老化する能力がある。
〝変若水〟媒介は柄杓。詠唱は「出でよ変若水」「変じよ変若水」。柄杓の穴から大量の清水を噴射し、一帯に撒き散らす。あるいは視認した水を清水に変える。清水は死丹水の効果で破壊したもの・老化させたものを元に戻す効力がある。
設楽奏鳴・夜想・小夜
二つ名:〝惨銃士〟
齢:十四
服装:
三つ子の全員同じ海松色のロングコウト。
得物:
国友製後装式単発風砲参號器・人呼んで〝苦絶ツ風〟。スナイドル銃の部品を分解して組み上げられている。放気筒は手押しポンプで空気圧を詰める。
能力:
〝蟇目〟本来は弓から放った矢の鳴らす音で魔を祓う術式。三人が懐に入れている矢が媒介。詠唱は「千早振る、高天原の神集い、魅入る憑き物、退ちのきて去ね」相手の術式防御を貫く術を弾丸に付与する。また祓いの効果で己の敵意・害意を放出せずに遮断する。
備考:
三幕で生き残った最後のひとりもレインを銃撃した後にやり返され、死亡。
式守一総
二つ名:〝冥探偵〟
齢:二十六
服装:
三つ子の全員警官の制帽、被外套に詰め襟。
得物:
軍刀。警官が持つ一般的な装備。抜けば玉散る氷の刃。剣技は薬丸自顕流と思われるが、そのほかの剣術も修めている。
能力:
〝剱境負戒〟鞘の呪紋を媒介とした結界術。左の手刀を振り下ろすことで、己を軸とした円の間合い五尺以内に存在する物体を圧力で吹き飛ばす。壁際で使えば自分を押し出すことも。二歩半で槍の間合いも詰めることが可能。
吹き飛ばせる重さは三十貫が限度で、あまりに重たいと圧力に耐えて留まる。また作中の井澄のように鋼糸を命綱にするなどでも対処可能。しかしいずれの場合も体勢の崩しには繋がる。
備考:
落命した二人のきょうだいから軍刀を受け継いでおり、これによりひとりで三振り分の剱境負戒を運用できる。遠間に投げつけて発動するなど応用の幅は広がったが、そもそも多人数戦で優位に立つための術式であるためもあり一人での運用は消耗が激しいという弱点がある。
両腰に佩いた刀にまず目がいくため被外套に隠れた背中の三振り目に気づかれにくいのを利し、身を屈めて走りながら奇襲の抜刀ができるように鍛えている。
大路晴代
二つ名:〝罰刀〟
齢:六十五
服装:
自ら設えたドレス。販売もしており、こちらが副業。
得物:
仕込みの杖。八千草の朱鳥も彼女が所有していた一振り。
能力:
なし。
備考:
橘八千草の剣の師。情報屋を務めていた。四つ葉建立の際に働くことを要請される程度に使える人材とみなされていた。だが勘が鋭かったために島の秘密……四つ葉は四つ葉としてそもそも作られたのであり、たまたま四派閥に分かれたのではない、つまり政府によって意図的に製作されたなんらかの実験場であると気づいた。不都合な真実を告げられぬようにと口止めに現れた湊波によって黒死病を投与され死亡。
踊場宗嗣
二つ名:〝報導者〟
齢:二十六
服装:
鳥打帽にチョツキ。いかにもブンヤといった風体。顔つきは幼く二十半ばに見えない。
得物:
ペンは剣よりも強し
能力:
なし。
備考:
大路と同じく島の秘密に届いたため、湊波によって殺害される。しかし大路の死から事前に策を打っていたためしばらく生き延び、その職務精神に感銘を受けた幸徳井はわずかながら道にそむいて井澄に情報を与える。
楠木千里
二つ名:〝孤毒者〟
齢:三十二
服装:
留袖に割烹着。右腕に常に包帯を巻いており、振り分け髪の幼げな印象。
得物:
毒。右腕は毒手。
能力:
なし。
備考:
初代危神の内縁の妻。危神の死後に身ごもっていたことが判明したため島の外へ逃れる。後述の玻璃と共に手の目の里を探しに行った。
映浄玻璃
二つ名:〝手の目〟
齢:二十七
服装:
丈の短いシャツ。露出が多い方が目を使いやすいとのこと。
得物:
なし。
能力:
手の目という人外の特性を生かして賭場でイカサマを繰り返していた。かつて麻雀勝負でアンテイク面子に(術を駆使されて)敗北を喫し、そのことをいまだに若干恨んでいる。
幸徳井朋樹
二つ名:〝幻影車手〟
齢:四十六
服装:
なんの変哲もないシャツ。食品を扱うため清潔さには気を付けている。だが髭はそらない。
得物:
符札。
能力:
〝奇怪避役〟人払い・音消し。目立つ列車を完全に隠ぺいする。
備考:
日本国術法統合協会対師館鶯梭機関所属。島に来て平時デマゴギーの伝達実験を行っていた。
虎爪
二つ名:〝煉丹術師〟
齢:五十三
服装:
大陸風の詰め襟。亀のような顔立ちで顎が無いように見える。
得物:
なし。
能力:
煉丹術。さまざまな金属を変成させたり、真贋を鑑定できる眼を持つ。
石神名執
二つ名:〝塔解〟
齢:三十五
服装:
日本国術法統合協会に多い、黒のスリイピイス。肩章もつけていたが潜入のため外す。魚顔。
得物:
日本国術法統合協会支給の銀の短剣。術式制御用の銀の刺飾金。
能力:
〝言壊〟被術者を、被術者間でしか意志疎通がとれないようにする。外界との言葉の繋がりも遮断されるため詠唱で外界に働きかけて現象を起こすこともできなくなる。本来は暗号通信用の能力。井澄よりは緩いが回数制限も存在する。
備考:
言語魔術寮に所属し、井澄よりは深度の深い情報にも手を出せていた。赤火船舶の戦いで井澄により首を切られ死亡。
平睦巳
二つ名:〝弐重唱〟
齢:三十一
服装:
潜入のためか袴羽織を用意していた。
得物:
言語魔術制御用の銀の刺飾金。
能力:
〝朽約束〟〝文解〟 二つの言語魔術。統合協会唯一の二種言語魔術会得者であり、どちらの術式もすさまじい威力を誇る。
備考:
能力の詳細を見せる前に焼死。
呉郡黒羽
二つ名:〝異刀鋸〟〝黒糸矛爪〟
齢:享年三十
服装:
場にあわせ、一番溶け込むものを選んでいた。
得物:
鋼の糸。両手首に仕込んでおり、もはやカフス釦の錘も必要なく自在に操れた。そしてそれに触れても肌が切れることがない頑丈な手袋、珍機織。大路晴代作。
能力:
なし。身体強化もなく経験で敵に迫る。
備考:
本名クレア・グレゴリー。英吉利王室のために暗躍し刃を振るう一族の出。沢渡井澄の師。洛鳴館で村上英治の障害となりうる者を潰してまわる予定だったが、玉木往涯がこれを察して差し向けた湊波戸浪と戦闘。相手を人間だと思ってかかったのが運のつきとなり、死亡。
呉郡礼衛門
二つ名:〝異刀鋸〟〝黒糸矛爪〟
齢:四十
服装:
毛皮のコウトなどを羽織っている。呉郡一族らしい赤毛の髪に似合う服を選ぶ。
得物:
鋼の糸。珍機織。そして鋼の糸を仕込んだ鋼鉄製の剣玉。間合い五間ほどの長さを誇る糸で相手を切り裂き、そうでなくとも先端についた鉄球によって波状攻撃を行う。
能力:
なし。
備考:
本名レイモンド・グレゴリー。一族として忠義を果たすことにこそ意義を見出している。血のつながりはそこまで重く見ていない。
呉郡黒衛
二つ名:〝詩神〟
齢:二十九
身の丈:五尺八寸四分
目方:十七貫四斤三匁
服装:
赤毛をだらしなく伸ばしており、その隙間から鋭い眼光がのぞく。赤いシャツに黒のチョツキを身につける。動きやすさを重視した軽装であり、剣は素肌剣術を旨としている。
得物:
十字鍔を持つ全長三尺三寸、刃幅一寸半ほどの両刃西洋剣。
能力:
なし。
備考:
一刀流と西洋剣術を混合させた独自の剣術を扱う。全方位どこからきても受け流すと同時に反撃を終える〝雷切落し〟、体幹の力を全力活用できる握り〝二束〟、裏刃の斬撃、握りを緩めて片手持ちになることによる間合い伸ばしなどさまざまな技法を誇る。瀬川との死合いに臨み、剣客としての矜持の中に死亡。
桧原真備
二つ名:〝危神〟
齢:三十四
身の丈:五尺九寸八分
目方:二十貫一斤
服装:
虎の画が入った着流し。筋骨隆々としておりそれを見せつけんばかりの風体。独特の髪型。
得物:
拿枕一文字助真という粗雑なつくりの刀。
能力:
なし。
備考:
〝無刃剣戟〟という、抜刀の衝撃を大気に伝えて遠間の相手を斬る秘剣を有する無尽流という抜刀術流派の三代目。そのほかに大上段から振り下ろす抜刀〝天旋〟、その場で後ろ脚を軸に反転して鞘を刃から抜き鐺で相手を突き崩しつづく刃の突きでとどめを指す〝獄廻〟などの抜刀術をもっていたが、長年の怠惰が原因で小雪路に敗北。以降精神的外傷となったらしくアンテイクの人間を観るだけで震えるように。
列車内で殺害されているのが三幕終盤で発見される。
桜桃
二つ名:〝怪神〟
齢:三十八
身の丈:五尺六寸
目方:十四貫
服装:
群青色の大陸風詰め襟にゆったりした白ズボン、足の甲が出た靴。三つ編みにして髪を流している。
得物:
なし。功夫、徒手。
能力:
〝延透勁〟力の伝達速度を遅延する能力。己の体にかかるあらゆる力を遅延し、その発動を遅らせる。ただし効力は一瞬のため、持続する力には弱い。だがその気になれば重力すら一時的に無効化し、天井を歩くなどの離れ業も可能。しかし真に恐ろしいのは彼女の強烈な震脚を数回分遅延させて溜めこんだ発勁である。
備考:
閃抜閃攻・最終死拳という名で己の拳を誇る。青水の恐怖政治を円滑にすすめるためにわざと兇暴な性質だと演じており、実際は理知的で計算高い。瀬川とは密約のもとにある協力関係であり、彼女は実は座敷牢に閉じ込められているフリをして悠々自適な生活を送っている。
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二つ名:〝盗神〟
齢:
身の丈:
目方:
服装:
得物:
能力:
備考:
瀬川進之亟
二つ名:〝剣征〟
齢:五十七
身の丈:五尺七寸四分
目方:十六貫四斤
服装:
仕立てのいい着物を、切創だらけの体にまとう。厚ぼったいまぶたの隙間に、黄色く濁った白目がのぞく。
得物:
菊花を模した鍔のある刀。無銘。匕首。これまた無銘。
能力:
なし。
備考:
殺気を消して動きを読まれないようにするのでなく、殺気を全力にすることで出だしを読まれないようにした異質な剣聖。殺気の出し入れによって相手の行動を確定してしまう魔剣〝獅子嚇し〟にくわえ、殺意が即時行動に連なるため意識の変動がなくそれゆえ先読みをされないという身体特性をもっている。
青水四権候。島の秩序が保たれることをこそ望んでおり、危険を呼び込もうとしている九十九を警戒している。
月見里さと
二つ名:〝繰輪〟
齢:五十二
身の丈:五尺四寸一分
目方:十二貫五匁
服装:
華美な装飾を排してただ淑やか。髪型も束髪、簪や笄などでごてごてしていない。
得物:
なし。
能力:
〝房中術〟陰陽の気を交わらせることで対象者のあらゆる力量を底上げする。ここ数年は使っていない。
備考:
保守派。島の動向よりも自分の領地の内部に対して思いを巡らせることに徹している。
九十九美加登
二つ名:〝人材覇権〟
齢:五十六
身の丈:五尺五寸
目方:三十貫六斤
服装:
室内の装飾品と同じく値の張るものでかためている。だるまのように丸い体型に似合う程度ではあるが。
得物:
符札
能力:
〝勇叉魚神〟鯨を模した異能。彼の周囲に雨を呼び、うねる海流の鞭を自在に操る。水の中に渦巻くのは原初へ回帰させる力であり、すなわち触れたものをすべて溶かし飲みこむ。かつて九十九と瀬川が争った際にもこの異能が使用され、港の地形が大きく変化した。
備考:
湊波と共に統合協会より四つ葉を建立すべく送られた「四権候としての」人材。
湊波戸浪
二つ名:〝仕立屋〟
齢:四十九
身の丈:可変
目方:可変
服装:
ぼろきれ
得物:
病原菌。
能力:
〝潮引鼠〟彼の身を鼠に変貌させている異能。彼の本体は石の身に鉄の牙をもつ八万四千の鼠。そのすべてが彼であり、普段の彼の姿は鼠の集合体。声はそれらしく聞こえるよう整えた、群れの鼠の鳴き声。もはや人の身に戻る術は無く、彼にもそのつもりはない。
備考:
自らを媒介することで黒死病を撒いている。赤痢など、用途に応じて使い分けることも可能。矢田野山の陽炎事件目撃者である人々を殺戮したのも彼の黒死病である。
レイン・エンフィールド
二つ名:〝錬金術師〟
齢:二十八
身の丈:五尺六寸
目方:十四貫八匁
服装:
日本国術法統合協会支給の黒いスリイピイス。金髪碧眼のシルエットにあう、スキニィでタイトな衣服。
得物:
ウエブリ・リヴォルヴァとピイスメイカー、支給された銀の短剣。
能力:
〝ゲオルク・ファウスト式錬金術〟〝プレラティ式錬金術〟戦況に合わせた一時変成と、エリクシルを用いた恒久的な変成。質を変えることも可能であり、これを用いて彼女は〝汞の王〟と名付けた強力な弾頭を作り上げる。
〝身体強化術式〟河豚毒すら十数秒で回復させる。しかし回復専門の能力というわけではない。
備考:
かつて井澄の思い人である橘八千草を銃撃し、記憶を失わせた張本人。
村上英治
二つ名:〝数奇卿〟
齢:三十
身の丈:五尺七寸
目方:十五貫
服装:
日本国術法統合協会支給の黒いスリイピイス。前髪をすべて後ろにかきあげており、皮肉った笑みを浮かべている。
得物:
支給された銀の短剣。術式制御用の銀の刺飾金。
能力:
〝思考錯誤〟
備考:
井澄と共に暮らし、そしていまも救おうと尽力を続けている。術法研究の部署「鶴唳機関」にて往涯の下で研究していた時期もあり、その際に「異支路」の力の一端を盗みだし己に付与した。
玉木往涯
二つ名:〝事代〟〝件〟〝次席〟〝隠神不通〟
齢:七十三
身の丈:五尺九寸
目方:十六貫
服装:
和装にインバネスを羽織っている。鶴のように長い首に、蜘蛛の巣が張ったような頭髪。
得物:
符札。
能力:
陰陽道術式に精通。人外・件としての未来予知。
備考:
世界の救済を願う者