55:推測という名の察意。
緑風四権候、湊波戸浪は外見も能力も不明であるが、青水四権候の瀬川進之亟はむしろ、すべての手の内が明らかとなっている。
もっとも、それで不都合になる点はなにひとつない。彼は詩神や先代危神と同じく、剣の腕のみを頼りにしてこの地位に上り詰めたひとつの極致とも呼ぶべき人物だからだ。……いや、剣の腕『のみ』というのは少々語弊があるかもしれない。しかし、一切の異能を身につけていないのは事実だ。
その彼が、威圧感をもって井澄と八千草を睥睨する。己の力量にいささかの疑いも抱いていない者特有の、相手の気配も呑みこみかねない〝格〟とも呼ぶべきものが、あたりを満たしていた。
傷の多い腕と胸元がのぞく、濃紺の着流しを身にまとい。痩せた体をぴんと背筋立てているが、皺と切り傷の寄った喉元は五十を過ぎて現れ出した加齢の浸食を物語る。
白髪混じりの髪は毛先が地を向かぬ短さに整えられ、隙間からのぞく右耳はいつか斬られたのか抉れかけている。横一文字の終端は鼻の頭で、魚の骨を思わせる、太い傷痕が右顔面を横断している形だ。こうして見る者の視線が傷を辿るうち、いつしか目を合わせることとなる瀬川は、唇を噛んだような顔ですべてを視線にて射抜く。
「近ぅ寄れや」
濁った瞳を向け、瀬川は告げる。同じ四権候でも、他の三人とは明らかに異質な雰囲気が、ひしひしと感じられた。それは、他者への害意。どこまでいっても商人である九十九、客を相手にする月見里、なにをしているか不明な湊波とはちがい、青水たる瀬川は純粋に他者を害することでこそ利を得、周囲を従えている。
下手に出ることなど一切ない。蹂躙して貪ることを是としてきた者の、支配的な振る舞い。抗うこともできず、井澄と八千草は膝を擦るように歩を進める。彼の間合いへと近づくたびに、その身に降りかかる圧が増していく。
ようやく会話をできる距離にまで近づくと、瀬川が実寸より大きく見えるような気がした。
「五層からはるばる、御苦労だったな。して、手前は」
名を問う瀬川に身を震わし、慎重に言葉を選びながら、八千草は答えた。
「お目通り叶って恐悦至極でございます。私は、橘八千草と申します」
「……ほお。乃公の呼び出しに、年端もいかぬ女子を寄こすか」
「申し訳、ございません。私は本日緑風四権候・湊波戸浪の代理として馳せ参じました」
頭を垂れる八千草に、遠慮と仮借の認められない目が注がれる。情もなにも感じられぬ顔つきには、小揺るぎもしない明確な敵意しかのぞけない。
「まあいい。呼んでも奴が来ないことまでは、わかっていた。くれば儲けものと思っただけだ」
言って、ふいと視線を外すとふすまの方を見やる。どうやら茶を運ばせた様子で、先の案内役の男がそそくさと椀を置いていった。瀬川は静かに一杯を飲み下し、鼻を鳴らす。それが茶をすすめている所作なのだろうと察して、井澄と八千草は茶を飲んだ。わずかに底に、ほんの一口分だけ残しつつ。これを見てとって、しかしなにも口にせず、瀬川は腕組みする。
「単刀直入にいこう。そも、乃公は手前を呼ぶつもりだった。さてでは何故ここまで呼び出されるに至ったかは、理解してるか」
美的な装飾の要素を剥ぎ、ただ斬れるようにすべく研いだ刃を思わせる細い目が見開かれた。鈍さと鋭さの折衝点がごとき眼光は人の意識の間隙に滑り込み、容易く身の自由を奪う。硬直する八千草たちを前に、瀬川は黙して待った。
ややあって、問われた八千草が応じる。
「……先日の、赤火船舶〝藤〟での一件で、我々があそこへ居たことについて、でしょうか」
「半分だ。正鵠を射るとまでは言えん」
ばさりと斬り捨て、指を立てると同時に膝を立てる。息を呑む二人の前で、瀬川は言い放った。
「二つだけ問う。心して答えよ。――まずひとつ、手前らは銀塊について、赤火の九十九からなにか聞いたか」
この質問に、八千草と井澄はたじろいだ。二人が予想していた問いは、販路拡大のため赤火と手を組むことに関してだった。まさかそこに一切触れないとは、思いもしなかったのである。
とはいえ、銀塊。それはあのとき、御者が触れていた問題だ。青水の者が精錬所から鋳塊の銀塊を盗み、彼を追った赤火の者が手にかけたという事件。これに関わるのではないだろうか。そして、この事件とは赤火船舶への襲撃にも繋がる要因のはず。
やはり疑われているのだろう。赤火と共謀しているのでは、と。
「いいえ、特には」
八千草はこれへ、虚言なく簡潔に答えた。井澄はさらなる詰問がとんでくることに身構えた。
しかし瀬川は八千草から目を外すことはなく、両手の指先と指先とを合わせながら、軽くうつむくのみだった。この態度の真意について考えるいとまもなく、次の問いに移る。
「ではふたつ。〝銀世界〟について知ってるか」
「……雪かなにかでしょうか」
「ハ、雪景色か。笑わせよる」
ここでようよう目を閉ざし、同時にわずか、威圧が緩む。
安堵しかけて息を吐こうとした途端に、彼は目を見開く。月見里に受けたのと同じ、弛緩させた隙を狙う攻め気。さすがに二度同じ轍は踏まず、井澄は丹田に力を込め、その圧力に耐えぬく。瀬川が八千草にばかり目を向け、意識をそちらに置いていると見せかけていたのも、そうすることで弛緩するであろう井澄の態度からこちらの真意を読み取らんとしていたにちがいない。
井澄が精神的な守りを固めたと見て、瀬川の意識は徐々に逸れていったようだ。けれど脱力せず、この屋敷を出て店につくまで、井澄は気張り続けると決めている。八千草を守るべく。
「銀世界を、知らんか。ならば一旦は信用しよう」
心にもないことを、と井澄は思う。斜めに皺の横切る頬を、ひくりともさせないで瀬川は言ってのけていた。
だが問いには、どこか芯の通った感触があった。確かな意志の元に、どうしても問わねばならないことだったと感じさせた。銀……銀。青水が煉丹術師を招いていたことと、なにか関係があるのだろうか。
考え至って、井澄は違和感を覚えた。
どこか、作為的な。それこそ、そう。
ここに来て、井澄は彼らの言葉に感じ入った。靖周や山井や踊場の言う、島全体になにか起きようとしているとの言葉だ。瀬川が、なにかを為そうとしている人間なのか……? 疑念はあれど口にも態度にも表せず、そうするうちいつしか瀬川は、井澄たちに注意を払わなくなっていた。
「ふん。ではもう問いはない。楽にしろ」
到底無理なことを命じて、瀬川は立てた膝を崩した。肘置きにまた腕を戻し、いかにもくつろいだ様で頬杖をつく。張りつめた空気だけが、妙なほど変化なくそこに在った。耐えがたい現状は針のむしろのごとく、井澄と八千草は膝を崩すなどできないまま姿勢を保ち続けた。
瀬川はそんな二人の苦心を見るでもなく、薄目を開けて煙草盆を引き寄せた。ごつい、喧嘩煙管ではないのかと疑うようなつくりの煙管を重そうに持ち上げ、瀬川は刻み煙草を詰める。
「ここからは、世間話だとでも思えばいい」
とてもじゃないが、瀬川は世間話などしていそうには見えない。だが逆らうこともできず、硬直した空気の中で、二人は瀬川と向き合うことになった。
燐寸を擦り、ゆるゆると煙をあげた。とくにすすめられることもなかったので、二人は一服することもできない。
「ときに緑風の娘。金をくれてやる」
そして初手から、世間話とは思えぬ入り方であった。後ろに控えるのみである井澄は意見することもできず、八千草がどのように答えるか見るに終始する。
「お金、ですか」
「言い値を出す」
「……なにを、お買い上げになるおつもりで」
「おぼこ娘に用はない」
言って瀬川は燐寸の燃えさしを手の内に砕き折った。これは彼なりの、冗句だったのかもしれない。
「要らんわけではないだろう」
「そうすることで、我々にどういう利があるのでしょうか」
引かぬ態度で八千草が言えば、面白いものを見たという風に瀬川の眉が少し上がる。
「さてな。とりあえず受け入れろ。乃公が意は、後にわかる」
なにか匂わせる物言いは、一方的な取引、約定を思わせる。つまり素直にはいとうなずいて良いものではないのだが、瀬川には有無を言わせぬ力がある。
くゆらす煙管の、紙巻煙草より細く幽玄な煙の上り方を見ながら、彼の口の端にひずみが宿る。
「アンテイクは、店番を常に一人置いているそうだな」
「ええ」
「そちらにいま、人手を割いた」
「……それは、」
表情を一変させる八千草の前で、瀬川は眉ひとつ動かさずに煙を吐いた。
「誤解するな、脅しではない。乃公と手前の間で為される取引を、円滑にするだけだ……もう一度だけ言うぞ、言い値を払う。黙って受け取れ。これはただの世間話だ、手前らに金を握らせ、黙らせるだけだ」
「それで、あなたはなにを得るとおっしゃるのですか」
「――幻灯機」
と、ここで思いもよらぬ単語が出てくる。困惑する八千草と井澄を見て、瀬川はやはり、と確信を強める顔をした。先の問答、銀塊や銀世界というものが、あの幻灯機に関わっていたのだろうか。
「どうやら本当に、理解しておらんのだな。手前ら、悪いことは言わん。赤火と手を組むのもやめろ」
続けざまに意見を差し込み、瀬川は左手に煙管を打ちつけ灰を落とした。次々に繰り出される、向こうだけが全容を把握したやりとりに、八千草は戸惑いを隠しきれなかった。
「手を、……お言葉ですが、瀬川様。我々緑風は、赤火と手を組むつもりなど」
「流通に関して一枚噛むんだろう。販路拡大に加えるとは、奴らもいよいよ乃公とことを構える準備に走りよるか」
「……、」
「沈黙が価値を出すとばかり思うな。青水にも情報網はある、おまけに珍しくも湊波自身が専門家と話しあいなぞしておれば、否でも目につき耳に入る」
仕立屋がまともに仕事をしていたのが、むしろ裏目に出ていた。奴は居てもいなくても厄介事のたねだ。井澄は心の中で毒づく。
「九十九は義なく利のみ求める狗よ。貪欲に餌へ嗅覚走らせ、しかし忠なく人に仇為す化生だ」
「青水はちがう、と?」
これはいささか過ぎた言葉のように思われたが、世間話といったのは本当なのか、八千草の言葉に瀬川は激昂する様子もなかった。軽いうなずきと共に、目を伏せて語る。
「我らはいうなれば、狼よ。牙と爪は常に研ぐが、群れたらんとする義はわきまえておる。しかし奴は、他者に媚びへつらうことで群れをも瓦解させかねん害悪だ」
「群れ」
「手前らは、なにも勘付いておらんようだが」
識者の、格下に対する落胆と優越を滲ませて。彼の掌は地に向けて小さく円を描き示した。
「この島は、異常だ。それでもこれまではやってこれた。群れと呼ぶことは憚られるが、集団としては一個の形を保てていた。だがそれもここまでだ。御することかなうかもわからん、流れができつつある。曖昧な時節の訪れだ。誰そ彼時が迫っている」
持って回った言い方で、警戒だけを抱かせるように彼は言う。
とうとう彼までもが、言う。なにか流れができつつあるという事実へ、触れた。井澄は先ほど、瀬川と青水こそがその『流れ』なるものを作り出そうとしているのではと疑ったが、彼は赤火を疑わせる言動を繰り返す。
単なる葉閥としてのいがみあいからくる感情論、なのだろうか。あるいは、なにか決定的な確証を得ているからこその言動なのか。
「誰が敵かを見極めねばならん。手前らがどうするかの選択は与えた。決めろ」
「赤火と縁を切り、青水と組めと?」
「異なことを言いよる。信も気も置けない、杯交わさぬ者どもと組む手など乃公は持ちあわせておらん」
杯という言葉にぎくりとして、井澄は嫌な汗が背を伝うのを感じた。瀬川がこれに気づいたか、いぶかしげに眉根を寄せる。だが場はそのままで、杯が運ばれてくる様子はなかった。
「組む手を出すな。孤独にいろ、それだけでよい。それだけで、青水が緑風に手を下すことはなくなる」
「しかし……」
「くどい、いい加減往生際だと理解しろ」
腹の底に刃を突き立て、縦に断ち割るような声音がすべてを封じた。ドスのきいた声、という言葉の意味を、二人は身を以て知った。
別段彼は怒りを抱いているのではない。脅迫とさえ思ってはいまい。ただ言の葉を、刃として振るうことができるだけだ。振るえば断てると知っているから振るうだけ。そうして相手と状況を意のままとすべく、彼は力を誇示するのだ。当たり前のこととして。
あるがままあるがゆえに揺るがないのだ。
「この機逃さば手前らに引き返せる場はない。赤火は緑風を食いつぶすのみだ。販路拡大は、真の目的を悟らせぬための囮に過ぎん」
言って、瀬川は手を打った。途端にふすまが開き、背後から現れた男が手にしていたのは、まるで紋切り型の千両箱だった。あご先で受け取るよう示し、瀬川は黙して煙管に刻み煙草を詰めた。これ以上、情報を明かすことはないらしい。
手掛かりはもう与えられた、ということだろうか。あとはそれをどうするも勝手――ただし、青水の前に立ちはだかるのならば容赦しない、と。彼はこの意思を伝えるためにこそ、今日この場を開いたのではないか。
答えは当然得られない。井澄たちにできるのはもう、推測と行動しかない。
次の言葉が、この場のやりとりとしては最後となるだろう。継ぐ言葉の選択肢はさほど与えられていない。ないない尽くしの中、八千草はちらと井澄を顧みて、口元を手で隠しながら一歩退いてこちらに寄った。こそりと、確認をとる。
「井澄、煉丹術師は、西洋の錬金術師と近しいのだったね」
てっきりこの千両箱の受け取りについての話だと思っていた井澄は、肩すかしをくらった。茫然として、なぜここでそんなことを、とは思うものの、問い返してあまり長く相談するのは瀬川の機嫌を損ないかねない。八千草の思惑を信じることにして、手短に応じる。
「ええ、まあそうですね……さまざまな反応により金物が変質し化けることを学ぶ、一種の学問ですから。おおまかな体系としては似ています」
「ありがとう」
会話を打ち切った八千草は唇を結んで、先の位置にまで膝をすって戻ると座りを正した。
煙管を喫む瀬川が、井澄が、見つめる中で、彼女の口から飛び出したのは――
「……青水が招聘したという煉丹術師の御方は、成果をあげられましたか?」
という問いかけだった。これまでの問答からわずかばかり外れた問いは、予期せぬものだったか瀬川の毒気を抜いた。彼はこれに「いや」と一言返していた。自分でも、返答を与えたことにいささかならず驚いている様子だった。
「そうですか」
得心いった語尾にて、八千草は頭を下げる。場の全員になにがしかのわだかまりを残したまま、会話は終結した。
「……ふん。問答は今度こそ終幕だ。さあ、返事をしろ」
最後の最後に疑問を残された形になりながらも、瀬川は催促する。
八千草は膝上に手を揃え、千両箱に目をやった。
「はい。お答えいたします」
ちいさな彼女の背が、震える。四つ葉の一角緑風を、仮の立場とはいえ背負ってしまった重圧に、耐えかねた一瞬であると井澄には映った。
けれど堂々と、彼女は叫ぶ。
「緑風は――」
そして途切れた。
外から響いた幾人もの男どもの怒号が、八千草の言葉を端からすべて掻き消してしまった。突然の事態に染みついた習慣が働き、井澄は思わず手中に硬貨幣を取り出してしまう。しまった、と思ったときにはカッ、と煙管が盆に叩きつけられており、瀬川が膝を立てきびすを返していた。進行方向には床の間があり、鎮座する白鞘の刀が一振りあった。
もはや斬り殺されるまでわずかな暇を乞うこともできない。会合の場で、先に攻勢に入ってしまったのは井澄のほうだ。咎はすべて己にある。急展開で駆けだした状況は、転がる岩のごとく止めることはできない。
八千草も構えようとしたが、彼女はアンブレイラを入口に置いてきている。せめて彼女だけでも守らんと、井澄は両手にとった硬貨幣を、最後の希望のごとく握り、
――なにもできなかった。
「……あの狗らしいやり方よ。手前らは、乃公引きつける囮か」
いつ迫った。いつ抜いた。肩に触れそうになっている抜き身の乱れ刃に、冷や汗伝う井澄の頬が写り込んでいた。
純粋なる殺意が、室内を呑みこんでいた。他者を食い物として生きる青水の化身は、怒気なく理詰めで殺意を扱う。膝立ちになりかけた井澄を一刀のもとに押さえこんだ瀬川は、視界に入る者に恐怖を叩き込む眼光で見下す。
立ち上がりかけていた八千草も止まる。動けるのは瀬川のみだ。それこそが、彼を青水四権候たらしめる能力。異能ではなく、術ではなく、鍛え上げ場数を踏んだ侠者にのみ宿る力。
殺気の操作。
「よもやこの屋敷に攻め込まれるとはな」
「な、なにを、私たちは、」
「黙れや。刻むぞ」
思わず上ずった声をあげてしまった井澄に、瀬川は静かに告げる。本気の一言のみで、心が折れてしまいそうになる。
井澄たちが金縛りを解くべく躍起になっている間も、瀬川は背後のふすまの向こうに視線をやっていた。怒号は低く続いているが、少しずつ、数を減らしているようだ。敵襲という語が井澄の脳裏に浮かんで消える。
「邸内を、縦横無尽に殺気で荒らしてくれよって。あの話はやはり虚言か……」
瀬川の言葉に応じて井澄は気配を探ろうとするが、膨大すぎる瀬川の殺気に呑まれているいま、井澄はなにも感じることかなわなかった。震える身が、この場から逃れよと叫んでいる。自分自身を御することが不可能となっていた。
動かぬ身の代わりに状況をなんとか打開すべく、頭だけが急速に冴えていく。あの話、あの話とは、なんだ。先に狗と呼んだのは、鑑みるにおそらく九十九のことだろう。次いで耳にした引きつける、囮という言葉からは、狗、つまり九十九と井澄たちが組んでいるという語意が伝わってくる。
あの話。虚言。瀬川の発言は、なにか『あるはずが無い』と判じていたものに対して、認識をあらためたことを示唆している。
導き出された答えが閃くとほぼ同時、ふすまを開けた男が、瀬川に伝えた。
「大事です……! 〝詩神〟黒衛が、邸内を襲撃しています!」
それは井澄が至った答えと、寸分たがわぬものだった。
乃公=一人称。俺、の意。