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舞い込んで来たお姫様。9

教室に残って居た人達に呪いの事を説明し終えると、教室にはシンとした空気が漂っていた。

顔色から察するに、みんな半信半疑なのだろう。呪いの事は信じられないし、バカバカしい。だのに、雀から人になった瞬間を見ているから、笑い飛ばすことが出来ないでいる。

「とりあえずその事は、本当って事で良いんだな?」

迷い無い目を向けて、陽介が聞いて来た。こいつの中で、多分答えが出てるんだろう。

「俺達は本当だと思っているよ。お前は信じるか?」

「ああ、信じた方か良い事が多くて……」

まぁ、この子が突然人になったのも、岩波さんが入学してから六月のこの日までずっと眼帯してるのも、信じた方が良いのか。

あれ?でも岩波さんの方なら、別の理由でも当てはまりそうだが……。

「そっか、別に信じても信じなくてもいい事だしな。っと綴!」

陽介との話を一旦切り、俺は綴を呼ぶ。教室の中は何時の間にか、信じるか信じないか、あちこちで話し合いが行われている。

「なんだよ?」

綴が近づきながら問いかけて来た。

「なんだよ?じゃねぇよ。お前、俺達に荷物取らせに来たのは、この子について説明させる為だろ?」

質問したのは、俺ではなく、匠だ。女の子はさっきと変わらず、匠の後ろに隠れている。

「まぁな。誤魔化さずしっかりと説明してもらうには、こうした方がいいから」

悪びれる様子もなく綴は言った。その態度に、俺と匠は溜息を吐く。

「でも、クラスメイトがこんなにも残ってるのは、みんな気になっていたからなんだぜ。

みんなどうでもいいと思っていたら、お前らに説明させるのは無理だったかもな」

綴は続ける。ずいぶんと軽い調子だが、言ってる事はもっとも。怒る気も失せ、俺は再び溜息を吐く。

「えと……あの……この後一体どうすれば?」

ふと、匠の後ろに張り付いていた女の子が、俺に向かって尋ねて来た。まずクラスにはいない様な美少女が、やや戸惑った様な眼差しでこちらを見ているだなんて、思わずカメラを取り出したくなってしまう。持ってないけど。

「悠斗、どうすればいいと思う?」

とりあえず俺は、隣に居る悠斗に質問を丸投げした。

「え?俺?」

 自分に来るとは予想していなかったのか、素っ頓狂な声を上げる悠斗。瞬間笑いそうになってしまったが、俺はなんとか耐えきり

「お前じゃなくてもいいんだけど、とりあえず、この後どうするか決めないと」

と言った。

 悠斗は、顎に手を当てて少し考えるそぶりを見せた後、ふと気がついた様に呟く。

「どうするも何も、普通に帰宅すればいいんじゃ……」

……そうだよね。

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