表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/29

舞い込んで来たお姫様。 6

運命の赤い糸。いつかは結ばれる男女についている。一本の糸である。本来は足首についている様だが、今や手の小指の方が一般的だ。

で?

「で、呪いを解くためには、その赤い糸の相手、『運命の人』『適合者』によるキスじゃないと、呪いは解けないみたいなんだ」

そう言って恥ずかしそうに頭を掻く岩波さん。なんだなんだ? 誰だか知らんが、呪いを掛けたその人は、随分と少女趣味な奴だなぁ。ロマンチックじゃねぇか。

「で、それがこの娘の場合、匠だったんだな」

悠斗が、腕を組み、小さく呟く。女の子は、顔をやや俯かせ、周りの様子を伺っている様だ。

その姿は、俺達にか弱い小鳥を彷彿とさせた。

「………………」

少し、女の子を見つめていると、女の子の隣に座っていた匠が、不意にその子を抱き寄せた。少女は、一瞬驚いた表情で固まったが、直ぐ安心した様に目をつむる。つか、匠よくそんな行動に出れたな。俺は恥ずかしくて無理だ。

「うるさいわ裕樹。……所で、お前も『姫様』って言ってたよな。なら、お前の呪いはなんだ?この娘みたいな、単純なやつじゃなさそうだが……」

匠が、岩波さんに質問する。

「私の、と言うより、私の一族の呪いは、この右眼だよ」

岩波さんは苦笑して、右眼に付けている眼帯を指差した。

「この右眼で人を直接見ちゃうと、その人の思考をすべて悪意に染め上げちゃうんだって。(よこしま)な考えとか、殺人意識とかを呼び起こしちゃうんだってさ」

……見ただけで他人の邪気を呼び起こす右眼。何と言う、何と言う中二病を体現した様な呪いだろう。

「お前高校生にもなって」と一蹴してやりたいが、雀の子の出来事がある為、そうする事が出来ない。実際に呪われているのなら、一蹴するのはかなり失礼だしな。

「その、岩波さんは、その目で人を見た事があるの?」

俺は、かろうじて質問を繰り出した。随分と頬が引きつっていたと思う。

「…………一回」

かなり長い間が空いて、岩波さんは呟いた。

「ごめん、変な事聞いた。で、まとめると、この世には呪われている人達がいて、その呪いを解く方法は自分に適合した人からの『魔法のキス』って事か?」

「うん。他にも色々あるんだけれど、あ!そうだ、これも伝えておかないと」

気を取り直す様に、彼女は両の掌を顔の前で合わせた。そして言葉を続ける。

「その子みたいな『獣化系の呪い』は、呪いが解かれると、適合者と同じ年齢になるの。だからその子は多分十六歳。でも、今まで雀として世間を見ていても、世間の波に入った事は無いからいろいろ戸惑うと思う。だから、しばらくはその子の事、ちゃんとみていてね」

岩波さんは、主に匠に向かって言っていたと思う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ