朝起きたら、猫だった。
しいなここみさまの「朝起きたら企画」参加作品です。
作者は量子力学や研究室について全くもって知識がありません。ご容赦ください……
にゃーん。
空間に、間の抜けた鳴き声が響く。
――どうやら私は猫になっているようだ。
◇ ◇ ◇
普段の私は、大学で量子力学の研究をしていた。
昨日の夜は、研究に没頭して帰るタイミングを逃してしまった。全員が帰った後我に帰った私は急いで荷物を抱えて扉に手をかけた。
――仕掛けられた罠に気づかずに。
どうやら私は研究室内で相当疎まれていたらしい。
取っ手を回した瞬間、引っ掛けられていたピアノ線が引っ張られ、繋がれていたらしい棚が開き、実験で使っていた毒ガス発生装置と放射性物質が解き放たれてしまった。それと同時に私の後頭部に鉄槌が直撃する。
シュレディンガーの私は、衝撃で気を失ったようだ。
◇ ◇ ◇
こうして、起きたらシュレディンガーの猫だったのだから、驚きである。
ふと天井を見ると、紫色の煙が吹き出していた。
――あぁ、毒ガスが蔓延する。
次、起きるときには私はどこにいるのだろうか?
猫の私も、人間の私も、シュレディンガーの箱の中なのだから。




