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アナザーハンター・アウトサイド  作者: 加鳥このえ
第一章 ハンターの定義
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第6話 異世界人の生活とは?①

 フィアード町というところに来た。しかしここは町というよりも村に近く、だがそれでも町としての形は(たも)っているといえるだろう。これはオレの持論だが、町と村の大きな違いは他のところから来た人をもてなせるかどうかだろう。つまり、買い物ができるところがあるかということであり、オレは今、いわゆる商店街と呼ばれるような場所に来ている。


 この町へはシェリーダさんという人と共に来た。だがそのシェリーダさんという人は、姉と喧嘩し始めたので置いてきたのだ。


 そんなシェリーダさんの家庭の問題について、あれやこれやと首を突っ込みたい気分なのだが、流石にそこまで行くとプライバシーの侵害になるのでやめておく。経験が、それだけはやめておけと(ささや)いているのだ。


 しかし気になる、父親のことや姉のことが。


 そんな思考をしながら、目を輝かせていると、声が聞こえた。


「ビューニュー売ってるよ! 一本百ギニル!」


「ギニル?」


 興味が移ってしまった。


 そうか考えてみたら当たり前だ。国が違うと通貨も変わる、異世界ならもっと変わる。


 ギニルがこの国の通貨なのだ。


「メニュー……」


 そう呟くと、パソコンのウィンドウのようなものが空中に現れる。そこのポイントの欄をタッチした。


 そこではポイントを通貨に変換することもできるらしく、どうやら十ポイントが百ギニルになるようだ。


 遠くでビューニューと叫ぶ女性の手には牛乳のようなものが入った(びん)がある。


 一体何だろうと思い、近づいた。


「こんにちは!」


「あらこんにちは! 買いたいのかい?」


「ごめんなさい、今お金なくて。それはなんですか?」


「これかい? これはモーモースのミルクさ」


「モーモース! それはどんなモンスターなんですか!?」


「ああ……。それ以上はお金が必要かな」


「……なるほど」


 嫌そうにこちらを見るビューニューを持つ女性。


 くそう、お金がなければ何も知れないのか。


 たぎる好奇心をぐぐぐっと堪えて「わざわざありがとうございます、では」と言って旧時代のロボットのように不器用に歩いてこの場を去った。


 とどのつまり、スライム一匹でビューニューを一本買えるのだ。スライムは十ポイント。


 ビューニューが牛乳だとすれば、スライム一匹で牛乳一本。おそらくあの瓶入り牛乳は一リットルほど。


 お得なのか、お得に見える。


 だが寿命十二時間が五十ポイントなので、牛乳五リットルが寿命十二時間だと考えると高く見えた。


「……」


 とりあえず、一ポイントは十ギニルの価値があるのだけは覚えておこう。十ギニルは牛乳百ミリリットルほどだ。


 そんなことを考えながらこの商店街を歩く。


 服を売っている店や、肉を売っている店、魚に野菜、そして小物に至るまで、いろいろなものが売られている。


 商店街といっても、現代のように建物が並んでいるのではなく、屋台のようなものが並んでいるのだ。


 オレはお金さえあれば色々買うのになー、と思いながら、小物を見つめていた。


 オレが見つめるのは、魔法陣のようなものがクルクルと回る時計であった。


「気になるかい?」


「……はい」


 オレはふと店主を見る。それはヨボヨボのお婆さんだった。店名を見ると、『夢と現実の境界線ミントのボーダーライン』と書かれてある。


「これはなんですか?」


「未来を聞く時計さ」


「未来」


「五十万ギニルだよ」


「高いですね」


「それほどの価値があるということさ」


「なるほど。素晴らしい商品を置いているんですね」


「ああ」


 オレは他のものも見る。謎の液体だったり、小さな人形であったり、キラキラとした宝石であったり、どこか、魔術的なものを感じるラインナップだ。


 ぶっちゃけて言えば異国の地で見つけた怪しい店って感じでもある。


 気になる。気になるが……金がない。


「ごめんなさい、実はお金がなくて……」


「そうかい。だが安心しろ、私はいつでも……そばにいる」


「……はあ、わかりました」


 お婆さんはそんなことを言って、椅子に座って寝始めた。


 疲れていたのだろう。オレは他の場所を目指し始めた。


 ふと耳に挟む。


「ああ、今から牧場の手入れに行くんだよ」


 オレはその言葉を聞いて、ワクワクした。なぜなら牧場には生き物がおり、それは異世界特有のものであるからだ。


「ははっ」


 オレはワクワクしながらそう言う人の元へ向かう。知りたいことを知るために。

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