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あれから、よく眠れないまま朝を迎えた。


7月6日。


…いよいよ、今日が蒼の16歳最後の一日となった。




それなのに。




「ウワ、すごいクマ…」




そんな日を、こんな酷い顔で過ごさなければならない羽目になるとは心外だ。


両頬に手を当て、指で目の下にできた隈を伸ばしたり縮めたりしながら蒼は鏡の中の自分と睨めっこを繰り返した。




蒼には17歳の誕生日を迎えたら、実行しようと思っていることがあった。それは別にやろうと思えばいつでもやれるようなことではあったが、蒼はこのタイミングがベストだとずっと決め込んでいたのだ。


そのことを思い出すと、途端に蒼の目に生気が戻った。




…あとは、度胸だけだ――――




頑張れ、面宵蒼。

キミは明日からまた一つ大人になるんだ…なんて。


鏡の中の自分に語りかけると、心なしか自分の顔が少し明るんだような気がした。自然と笑みさえ溢れてくる。なんて単純なのだろうか。




「よし、そろそろ行きますか」



蒼の背中を優しく押すように、朝の爽やかな風が窓から部屋中に吹き渡った。



きっと、今日は大丈夫。

絶対そうだよな。



小さく伸びをし自転車の鍵を指に引っ掛けると、蒼はちゃんと 行ってきます、とまだ朝食を取っている最中の両親と妹に挨拶を告げ、家を飛び出した。



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