プロローグ 旅立ちの火に
むかしむかし
世界は魔王の恐怖に怯えていた。
魔王はいくつもの町を踏み潰し。
いくつもの国を焼き尽くした。
魔王の力は強大で誰も適わなかった。
人々は魔王に支配され、世界は魔王の手に落ちてしまう。
誰もがそう思ったとき、
女神さまの祝福を受けた勇者が現れ、
数多の魔族を打ち倒し、いくつもの町や国を救い、
ついに魔王の元までたどり着きました。
勇者は仲間たちと共に魔王と戦ったが
魔王は強く、勇者たちは瀕死にまで追い込まれてしまった。
しかし勇者は仲間たちや勇者を信じる人間たちの『想い』を力に変えて剣を振り、魔王をその一撃のもとに沈めた。
…………………………
「ねえねえお母さん、僕もこの勇者みたいになれるかな?」
「信じていればきっとなれるわ、愛しいわが子よ……」
そして数年後……
15歳となった少年レイディアッシュ・バーリルは夢を見ていた。
床と壁の区別もつかないほどその空間は白く、そして静かだった。
「バーリルよ、あなたに魔王討伐の使命を授けます。あなたに目覚めるであろう火の力と他の勇者との絆をもってかの大魔王を打ち倒すのです。」
若い女性の声が聞こえる、疑問や反論を許さない只々何かを伝えるための声。
そして返事をする間もなく目が覚める。
そして気づいた、それまでなかった紋章が右手の甲に現れている。
そして誰に言われるでもなく理解した、この紋章こそ火の力の証なのだと、そして己のなすべきことを。
剣術道場の師範である父は「それでこそ男の旅路よ!」と、母は「いってらっしゃい」と言って送り出してくれた。
かくしてレイディアッシュ・バーリルは魔王討伐の旅に出た。
レイディアッシュ・バーンリル
火の勇者で火を操る能力を持つ。
父が烈火流剣術の師範であり道場を経営している。