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140字小説  作者: 束田慧
5/30

作品No.41〜50

作品No.41-1【自己紹介だけで140字】


パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ホアン・ネポムセーノ・マリーア・デ・ロス・レメディオス・クリスピン・クリスピアーノ・デ・ラ・サンディシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソ、と申します。スペイン出身で画家やってます。代表作はゲルニカです。よろしくお願いいたします。



作品No.41-2【まだまだだな。俺なんか名乗るだけで140字】


寿限無寿限無、五劫のすり切れ、海砂利水魚の水行末、雲行末、風来末食う寝るところに住むところ、やぶら小路ぶら小路、パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの長久命、長久命の長助、と申します。よろしくお願いいたします。



作品No.42【屋根裏の住人】


俺は他人の家の屋根裏に住み着いている。

全員出払った時に降りては食料を頂戴して食いつなぐ日々だ。最近は妙にハイカロリーなものが多く、少し太ってきたようだ。

ある朝、真下から聞こえる声で目が覚めた。家族が何か話しているようだ。聞き取れたのは、「そろそろ食べ頃かな」という声だけだった。



作品No.43-1【私はクロ】


吾輩は黒猫。名前はまだない。

母の飼い主に捨てられ、段ボールの中。道行く人々は愛でるだけで拾ってくれない。

ある雨の日、老夫婦が通りかかった。

「最後まで面倒見れるかねぇ」

「大丈夫。最期まで、2人で生きよう」

「そうね。そうしましょう」

こうして、吾輩は…私は『クロ』と名付けられた。



作品No.43-2【吾輩は猫】


私は黒猫のクロ。

優しい老夫婦に拾われて幸せに暮らしている。

しかし、突然不幸に見舞われた。主人の1人が事故で死んでしまったのだ。最期まで2人で生きようと約束していたのに。

ふと鏡に映る自分の姿を見て、私が不幸をもたらしたのでは、と思い当たる。

ならば私は…吾輩は、名前を捨てよう。



作品No.43-3【私は幸せなクロ】


吾輩は黒猫。名前は…ない。

虫の知らせでかつての家に戻り、床に伏す主人と対面した。

「クロ…お前は私の幸せそのものだ。戻ってきてくれ」

うわ言のように呟く主人。その時気付いた。吾輩は…私は不幸をもたらしていなかったのだと。

せめて最期は主人のもとで。そして…

天国でまた会いましょう。



作品No.44【多少の欲は必要】


人間の欲深さに嫌気が差したヤハウェは、七大天使を召喚し、大罪を司る七大悪魔を屠る聖戦を仕掛けた。

激戦の末に大罪の悪魔達は討たれ、結果として人類は、自信を失い、競うことをやめ、他人に興味を持たなくなり、休むことを忘れ、夢を失い、やせ細っていき、数を減らし――そして、滅亡した。



作品No.45【アポカリプティックサウンド】


毎週金土日の夜になると、あの音が聞こえてくる。

地の底から響くような、終末を告げるようなあの音。

最初は何事かと恐怖したが、今では眠りを妨げる煩わしい音でしかない。

今日は金曜日。平日はずっと留守にしている階下の住人が帰ってきた。

――ああ、今週も週末の音に悩まされるのか。



作品No.46【AI戦争】


教師の激務が問題視されている昨今、テストの問題をAIに作らせる学校が増えてきた。

しかし、それを逆手に取って、AIにテスト問題を予測させる生徒が後を絶たない。

教師陣は対抗すべく、AIが予測できない問題をAIに作らせる。

これを機に、教師と生徒によるAI戦争が勃発した。



作品No.47【対向車】


「自分の前後に全然車がいないのに対向車がつながってくると不安にならない?」

「何だよ、突然」

「みんなが何かから逃げてるのに、自分だけそこに向かってるような気がしてさ。今まさにそんな心境」

「は?さっきから対向車なんて全然いないけど」



作品No.48【目覚まし時計】


ふと目を覚ました俺は、目覚まし時計を確認した。

時刻は5時。まだ1時間も寝れる。そう思って二度寝しようとしたが、違和感に気付き再び時計を見る。

針が動いてない。

慌てて壁掛け時計に目をやると、4時を回ったところだった。

ホッと胸をなでおろし、目覚ましの電池を換えて今度こそ二度寝した。



作品No.49【1円を笑うものは1円に泣く】


『1円を拾う為にしゃがむのは1円以上の労力だ。だから俺は拾わない』

そんなことを言っていた友人が事故にあった。

見舞いに行くと、残酷な姿に成り果てた彼は自嘲気味に笑いながら言った。

「買い物で1円足りなくて、取りに戻る道中で轢かれてな。一生しゃがむことも出来ない体になっちまったよ」



作品No.50【登山】


登山中にAとBが行方不明になった。Aはすぐに保護されたが、Bが見つからない。

Aが言うには、

「頂上で昼食後、下山中に熊に遭って、逃げる途中で落ちてあの場所に。Bがどうなったかは…」

翌日、Bは別の場所で遺体となって発見された。

周辺に熊の足跡があり、弁当が食い荒らされていたそうだ。

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