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140字小説  作者: 束田慧
4/30

作品No.31〜40

作品No.31【天才俳優】


俺は天才俳優。

足を引っ張る若手に、「凡人がいていい世界じゃない」と言ってやった。

翌日、そいつはおろか他のスタッフも撮影現場に来なかった。どうなってんだとスマホを取り出した瞬間着信が。

『我は神。凡人は全て消した』

その言葉に愕然とした瞬間、ドッキリ札を持ったマネージャーが現れた。



作品No.32【ナビ】


元カノが死んだ。

元々メンヘラだったが、別れてから鬱になり車に飛び込んだらしい。

墓参りくらいは、と住所を聞いてナビで向かう。

30分ほど走った頃、ナビが『目的地周辺です』と告げた。まだ先なのに。

一旦停車して再設定していると、ナビから覚えのある声が聞こえた。

『私、ここで死んだの』



作品No.33【動物園】


猿の親子と目が合った。

しばしの沈黙の後、子どもが言う。

「餌あげてもいい?」

「いいよ」

ここは餌やり自由の動物園。咎める者はいない。

子どもは、リュックの中から何かを取り出し檻の隙間から差し入れた。

「やったー!チョコレート大好き!」

『餌』をつかみながら、私の子どもがそう言った。



作品No.34-1【かわいいお宝】


仕事から帰ると、玄関に『←お宝』と書かれた紙が置かれていた。出迎えた妻は首を傾げるが、ニヤニヤしている。

仕方ない、付き合ってやるか。

家中に置かれた矢印をたどると、最後は押入れにたどり着いた。

ふすまを開けると何とそこには…!

…すやすやと寝息を立てる娘がいた。

何これかわいい。



作品No.34-2【最高のお宝】


昨日は娘と宝探しで遊んだ。

今日は何を仕掛けてくるのかとワクワクしながら帰宅すると、また『←お宝』の紙が。ふっ、芸のない…仕方ない、また付き合ってやるか。

同じ手順でお宝にたどり着くが、意外な展開が待っていた。

押入に娘はいない。代わりに、なくしたはずの俺のお宝が!

何これ最高かよ。



作品No.34-3【夫のお宝】


昨日は娘が仕掛けた宝探しに、夫が付き合っていた。

これは使える…!

思いついた私は、同じように矢印を置いた。押入れにアレを入れて。

帰宅した夫は再び矢印をたどり、アレを見つけて上機嫌になった。

これで、借りたまま忘れていて返しにくくなったレトロゲーム機のことは有耶無耶にできたかな。



作品No.35【出世】


男は出世を願っていた。

警察官になった当初は正義感に溢れていたが、今では上に行くことしか頭にない。

手柄の為なら違法捜査や強引な逮捕も厭わなかったが、思うように昇進は出来なかった。

ある時彼は、出世開運で有名な神社に赴いて手っ取り早く昇進したいと願い、程なく二階級特進を果たした。



作品No.36【スクープ】


私はとある週刊誌の記者。

今、あるアイドルのスキャンダルを追っている。以前にも一度すっぱ抜いたが、まだボロが出るはず。

そう思って付け狙っていると、彼女は突然振り向いてこちらに走ってきた。

物凄い形相に思わずカメラを構えた瞬間、冷たい感触が襲い、最期にして最高のスクープが撮れた。



作品No.37【聖剣の勇者】


ハインは勇者の末裔。

血族のみ扱える聖剣で魔物を屠っていたが、先代亡き後は、従者のアデルに討伐を任せ、自身は放蕩三昧。

当然剣の腕は落ち、馬車を急襲した魔物にあっさり敗れ、乗り合わせたアデルが、取り落とされた聖剣で魔物を倒した。

後で分かったことだが、アデルは先代の隠し子であった。



作品No.38【海賊】


男達は略奪の限りを尽くした。

運悪く海賊に襲われた客船内に狂乱の声が響く。

だが、海賊の一人が、

「お前は死んだはず!?」

と驚愕の声を上げた瞬間、乗客達が一斉に不気味な笑みを浮かべた。

気付いた時にはもう遅く、海賊達は取り込まれてしまった。

この日の標的は、運悪く幽霊船だったのだ。



作品No.39【多重人格】


妻が失踪した。

捜索願は出したが一向に見つからないので、SNSで情報を募っている。冷やかしばかりだが、一つだけ気になる書き込みがあった。

『真実を知る勇気はあるか?』

その問いに『教えてほしい』とDMを送ると、驚愕の返答が返ってきた。

『俺はお前の別人格。妻は、他の人格が殺した』



作品No.40【空色】


犬を拾った。瞳の色にちなんで「ソラ」と名付けた。

ソラは勇敢で、いつも僕を助けてくれる。本当は僕の方が守ってあげたいのに…そう思っていた矢先、僕達は事故に遭った。車から僕をかばって、ソラは…

それから2年。僕に弟ができた。何故か瞳が空色の弟は「空」という。今度は僕が空を守るんだ。

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