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140字小説  作者: 束田慧
3/30

作品No.21〜30

作品No.21【帳消しゴム】


すごいものを手に入れた。

ある事柄を書いて消すと、それが帳消しになる消しゴムだ。仕事のミスも、妻との喧嘩も無かったことになる。

その妻が、カレンダーに何か書いている。

「何書いてんの?」

「あなたの誕生日〜」

「1日ずれてるよ」

「あらほんと。消しゴム借りるね」

――あっ、それは



作品No.22【頼れる男】


俺はカオル。今日も人の頼みを聞いてやる。

『カオル、助けて』

友達が言うので、手伝った。

『カオル君、あれ買って』

彼女が言うので、奮発した。

「かおる、あいつウザい」

引きこもりの兄貴が言うので、一緒に黙らせた。

まあ、全部オンラインゲームの話だけどな。今日はババアが静かで捗るわ。



作品No.23【最終電車の君】


恋をした。

最終電車で一緒になるあの子。

がら空きなのに隣に座るあの子。

終点の1つ手前で降りるあの子。

ある日彼女は、終点駅に設置された献花台に花を供えて手を合わせていた。

その時、僕は思い出した。

僕はずっと前から彼女に恋していたんだ。僕のために花を手向け、手を合わせる彼女に。



作品No.24【黄泉の扉】


とある学校で宿直の教師が行方不明になった。

この学校の七不思議の一つ『黄泉の扉』を開けた、と専らの噂だ。

噂は噂でしかないが、図書室には『黄泉の国』という似た名前の小説がある。

気になった司書が久々に読み進めていると、途中で怪訝な表情になり呟いた。

「こんな登場人物いたっけ?」



作品No.25-1【明日の犠牲者】


とあるサイトが話題になっている。

翌日死ぬ人の一覧が表示され、実際に死んだ人もいるそうだ。

1ページ毎に1万人の名前が書いてあるらしく、イタズラにしても気の遠くなる話だ。

そのサイトを見たという男が、友人にこう話したという。

「例のサイトを見つけたんだが、70万ページとかバグだろ」



作品No.25-2【人口増加】


「お前が昨日投稿した小説、なんで70万なんだ?80万じゃないの?」

「え?…ああ、そうか。それ再投稿なんだわ。10年くらい前に書いた。今のデータに直しとくべきだったか」

「なるほどね。しかし、たった10年で10億人も増えたかと思うと恐ろしいな」

「確かに。増えすぎて逆に滅びそう」



作品No.25-3【予言書】


「そういや、どっかの国で予言書が見つかったらしいな」

「なんだ急に」

「いや、そこに書かれてる予言が『100年後、第三次大戦で80億もの人類が死滅するであろう』みたいな感じでさ。それが書かれたのが、1920年頃らしいんだよ」

「ぶっ飛びすぎだろ…いや待て、何かおかしくないか?」



作品No.26【目となり耳となり】


私は耳が聞こえない。

『君の耳になる』と言ってくれた恋人は、信号無視の車に気付かなかった私をかばって、失明してしまった。

泣いて謝る私に、彼は手話で、

『今まで以上に、僕は君の耳となって尽くそう。だから、僕の目になってほしい』

と言って、指輪を差し出した。



作品No.27【悪魔の契約】


悪魔と契約した。

他人のモノを代償に、俺の望むモノをくれる破格の契約だ。

大企業を潰して俺を大富豪にしたり、有名人を破局させてハーレムを作ったりとやりたい放題だ。

望むものは全て手に入れた。あとは健康で長生きできれば、と望むと悪魔は言った。

『今日は機嫌がいい。全人類の寿命をやろう』



作品No.28【この素晴らしき残酷な】


私は宇宙人トミー。日本でアルバイトをしながらこの星を調査している。

数日前、特別任務を課された。

仕事前にお子様ランチを食べるのが日課だ。この旗が実にいい。

今日も恐々とした空気の中、この素晴らしき残酷なランチをいただくとしよう。

…おっと、日の丸だ。この日課ともお別れのようだ。



作品No.29【怪物】


この街に怪物が出たという話を聞いた。

どこかの狂った科学者が、自分の子どもを実験台にして作ったキメラなのだそうだ。

まだ日が落ちて間もないというのに、街の大通りには誰もいない。

怪物のせいで外出禁止令でも出ているんだろう。

僕もそろそろ帰らなきゃ。

あれ…?

僕の家って…どこだっけ?



作品No.30【パラレル】


幼馴染と海に来た。

2人きりで海だなんて傍から見たら恋人に見えるかもしれないが、俺はまだ告白できずにいる。

パラソルの支柱をはさんで座っている俺達の距離は今日もパラレルだ。

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